「おばあちゃんが、足を骨折しちゃったみたいなの」
母親から電話があり、祖母の入院を知った私。都心から電車で2時間ほどの距離にひとりで住んでいる祖母の所へ見舞いに行きましたが、その時にはすっかり元気はなくなっており、「あそこで転ばなきゃ…」と落ち込みモード。
入院によって寝たきりになるケースも聞いたことがあったので、「なんとか元気になってもらわなきゃ!」の一心でできる限りのことをしてみました。無事に退院できましたが、すぐに前と同じような生活には戻れない…もともと一人で暮らしていたのに、おばあちゃんどうなっちゃうの!?
今回は、初めての介護で困ったこと、知っておけば良かったことを『高齢者の日常生活サポート』(桑原紀子・著/学研プラス・刊)より抜粋してご紹介させていただきます。
高齢者は「太ももの付け根」の骨折に要注意
私の祖母は道で転倒してしまい、足首を骨折していました。転んだ後、骨折していることに気がつかぬまま歩いて自宅に戻ってしまい、夜になり腫れと痛みを感じて、翌日病院に行ったそうなのですが、結構な時間放置してしまったため、「退院まで時間がかかるかも」とお医者さんからは言われておりました。
祖母は約1ヶ月の入院生活でしたが、骨折してしまった際、本来はどのように対処するのが良かったのでしょうか?
立てない、歩けない場合は救急車を呼ぶ!
1.移動せず、その場で楽な姿勢をとる(ケガした部分は触らない)
2.転倒したときに、頭を打ったり、ほかの箇所をケガしたりしていないかを確認する
3.出血性ショックの症状がないか、しっかり観察する(顔色が真っ青/冷や汗をかく/ぐったりしている/脈が速く、あるいは弱くなる/呼吸が速くなる)
4.出血性ショックの症状がある場合は、頭を下げて、足を少し高くして寝かせる
(『高齢者の日常生活サポート』より引用)
救急車を呼ぶかどうか迷ったら、#7119へ。また一人暮らしをしている方で、交通手段がなくて悩んでいる場合は、フリーダイヤル0120-199-958の一般社団法人 全民救患者搬送協会へ連絡してみましょう。民間救急車を案内してくれます。
また高齢者の場合、太ももの付け根(大腿滑稽部)の骨折は治るまでに時間がかかってしまうため、骨折がきっかけで持病の悪化や呼吸器・循環器の合併症が起こり寝たきりになるケースもあるそうです。普段から足を鍛える体操をしたり、つまづきやすい所を片付けたり、手すりをつける等、できるところから予防したいですね。
「デイサービスには行きたくない…」そんな時、どうするのがいいの?
退院してから自宅に戻っても「お風呂は入りたくない」「どこかに行くのも疲れちゃう」「動きたくない」とおばあちゃんのモチベーションが下がったまま。日常のなかで少しでも楽しみに感じてくれればいいな〜と、お風呂も入れるデイサービスへ申し込んでみたのですが、不安になったのか、勝手に電話をしてキャンセルしようとする始末。こんな時、どんな言葉をかけてあげるのが良いのでしょうか? いくつか例をご紹介します。
「気の合う人が見つかるかもしれないし」
「みんな同じことをするのではなく、選べるらしいよ」
「お父さんの好きな●●をする仲間がいるんですって」
「つまらなければ、いつでもやめられるから、一度行ってみたら?」
(『高齢者の日常生活サポート』より引用)
もちろん本人の気持ちが最優先ですし、家族が毎日そばにいてあげられれば一番いいのでしょうが、なかなかそうもできないのが現状。家族とも「おばあちゃんかわいそうかな?」と話もしていましたが、要介護認定の申請をしていくなかで、地域の方と話をしてみると、デイサービスは活用しないともったいないと思うくらい、有難い存在でした。
一度はキャンセルしようとした祖母でしたが、行ってみたらすごく楽しかったようで、「競争で2位になった!」「お風呂が気持ちよかった」と今では毎週の楽しみになっている様子でした。分担できるところは、サービスを活用し、家族だけで抱え込まないようにするのも大切なポイントかもしれませんね。
介護が必要になってから考えるのではなく、元気なうちに
祖母の骨折をきっかけにたくさんのことを知れましたが、現在32歳の私。あと20年もしないうちに自分の両親、旦那のご両親も介護が必要になるかもしれません。元気なうちにできることはないのでしょうか? また、両親とどのようなことを確認しておけば良いのでしょうか? いくつか確認事項をお伝えします。
・介護が必要になったら、どこに住みたい?(例)自分の家、介護施設、家族と同居
・介護が必要になった場合にも、やりたいことはある?(お風呂には1日おきに入りたい、趣味のサークルは続けたい、など)
・寝たきりになっても、これだけはしたくないことってある?(介護施設に入りたくない、延命治療はしたくない、など)
・年金や保険など、通帳やお金の管理は、将来的にはどうしようと考えているか? など
(『高齢者の日常生活サポート』より引用)
わからない未来を先延ばしにするよりも、備えておくことが本当に大切だなと感じました。地域のサービスを把握したり、国の制度などを知っておくのも大切ですが、まずは本人たちがどうしたいのか、何をされるのが嫌なのか聞いておくことが第一歩だと感じました。今まで遠ざけていたな、親の意見を聞いたことがないなという方は、これをきっかけにフランクに話し合ってみてはいかがでしょうか? 何もしなくても生きている限り、毎日年齢は重ねていきます。備えあれば憂いなしですぞっ!
【著書紹介】
高齢者の日常生活サポート
著者:桑原紀子(監修)
出版社:学研プラス
意外と危険度の高い、高齢者に見られる日常生活面での危険。なぜそうなりがちなのか、どう予防すればいいかがイラストでわかる。また熱中症や脳梗塞など、すぐに救急車を呼ぶかどうかの判別方法など、緊急の場合の対処方法も紹介。