本・書籍
2018/3/8 6:00

「忙しいときほど机をかたづけてしまう」のはPCN症候群なのかもしれない

仕事が立て込んでいる上に、仕事以外でこなさなければならないことが次から次へと押し寄せている状態をイメージしていただきたい。時間が足りないのはわかっているので早起きするが、午前も午後も思ったとおりに作業が進まない。焦るばかりで、時間の流れも早い気がする。
 
それなのに、机の上を片づけてみたり、いくつかあるメールのアカウントを順番にチェックして、いつもより丁寧に返信したりしてしまう。やるべきことは山ほどあるのに…。
 
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PCN症候群

毎年2月半ばから3月半ばまで、必ずこういう状態に陥る。バレンタインデーという言葉を聞いたとたんに、確定申告を期間内に絶対に済ませなければならないという強迫観念めいた気持ちというか、決意が脳裏をよぎる。領収証を整理して、それを月別・科目別に分けて…なんて考えるだけで、手のひらに汗がにじみ出てくる。
 
仕事の段取りは締め切りの時期に応じて組み立てていくのだが、いつもよりやることが増える事実に、必要以上の負担を感じてしまう。
 
確定申告の書類作りなり仕事なり、ちゃっちゃと進めていけばいいのだが、そうはいかない。SNSにアップするネタを探したり、誰かの投稿にコメントをつけたりもしてしまう。
 
こういう状態を、PCN症候群というらしい。どうでもいいことを優先し、本来しなければならないことを後回しにしてしまう。プロクラスティネーション=先延ばし行動とも呼ばれている。みなさんにも、思い当たるところがありませんか?
 
 

プライオリティーを無視してしまう

すぐにやっておかなければ後になって大変なことになるのはわかっている。でも、明確な理由がないまま、意図的に行動を遅らせてしまう。PCN症候群という言葉を定義するなら、そういう言い方になるだろうか。
 
主な特徴は、プライオリティーの無視だ。そういえば、最初にやるべきことを最後に回しているような気がする。「そう難しくなく、済ませるまでに時間があること」から取りかかって、それをこなして満足してしまうので、優先順位が高いはずのことがらに向けるべきやる気が残らない。
 
筆者の場合、まだ症状はそれほど進んでいないようだが、放っておけばどうなるかわからない。PCN症候群について、もう少し具体的に知っておいたほうがよさそうだ。
 
 

プロクラスティネイターのプロフィール

アメリカの心理学専門誌『サイコロジー・トゥデイ』の電子版には、“プロクラスティネイター”(あれこれ理由をつけてはものごとを先延ばしする人)の典型的なプロフィールが示されている。
 
・些細なことを大げさに感じる
やるべきことの厳しさや退屈さ、あるいは辛さばかりを強調する
 
・無理なスケジューリング
夜型であるのに、朝早く起きてこなしていくようにするようなスケジュール、あるいは余裕がまったくないスケジュールを立ててしまう
 
・なにかにつけて言い訳をさがす
「気持ちがのらない」「時間ができたらやる」「~しないと仕事を始められない」…いずれもプロクラスティネイターの典型的な言い訳
 
・完璧主義者である
完璧という状態の定義が厳しすぎ、何かが少しでも違うと我慢できず、ものごとが進まなくなる
 
・プロクラスティネイターであることを自分で刷り込んでしまう
「もっと早く始めていればよかった」「いつもグズグズしている」といった負の要素を常に引きずり、結果としてさらに強めた上に自分で刷り込んでしまう
 
プロクラスティネイターは常に難しい仕事を避けたがるので、気が散るような要素を自ら進んで見つけようとする。「追い込まれた状況の方が実力を発揮できる」といったニュアンスの発言をする人もいるが、これも先延ばしの言い訳にすぎない。
 
救いはある。最初のステップとして示されているのは、「明日まで待たない」という姿勢だ。これは当たり前だ。それに、あまりにもあっけない。ただ、これを実現するのは意外に大変かもしれない。何か、わかりやすいツールはないだろうか。
 
 

颯爽としていたいなら、明日まで待つな!

そこで筆者が注目したのは、『「まず動く!」人が、仕事は9割うまくいく』(秋庭道博・著/学研プラス・刊)だ。この本テーマは、まさに“明日まで待たない”という姿勢にほかならない。「デキる人が持っている7つのスピード習慣」というサブタイトルがつけられている。章立てと併せて見てみよう。
 
第1章:行動が「早い」人は、人に信頼される
第2章:相手の気持ちや立場を察するのが「早い」人は、人を満足させる
第3章:アタマとカラダの切り替えが「早い」人は、人を安心させる
第4章:仕事に精通するのが「早い」人は、人に尊敬される
第5章:空気を読むのが「早い」人は、人に好かれる
第6章:自分のやる気に火をつけるのが「早い」人は、人に応援される
第7章:先を読むのが「早い」人は、人生すべてうまくいく!
 
秋庭さんは訴える。
 

「行動が早い人」は颯爽としています。颯爽としている人のところには、人も集まります。情報も集まります。そして、そういう人がビジネスや時代をリードする人でもあるのです。

『「まず動く!」人が、仕事は9割うまくいく』より引用

 
ダメなやつらのプロフィールも具体的だ。
 
・スタートが遅い
・手順が悪い
・集中力がない
・継続力がない
・頭の切り替えが遅い
 
一番悪いのは、自分がこうした質を持っていることにまったく気づかない状態だ。逆に言えば、少しでも思い当たるところがあるなら、そこを意識して直していく気持ちを固めればいい。そして、その気持ちを行動に移していく。もちろん、明日まで待たず、今すぐに。
 
かみしめるようにそう言った筆者は、すでに颯爽とした人になる気満々だ。
 
 
【著書紹介】

GKNB_BKB0000405910005_75_COVERl

「まず動く!」人が、仕事は9割うまくいく

著者:秋庭道博
出版社:学研プラス

現代はスピードが求められる時代。とくに仕事では、常に進化と変化を余儀なくされ、対応できないと容赦なく切り捨てられると言っても過言ではない。「行動が早い」こと、即ちデキる社員と見られる!30代でぜひ身につけておきたい、必須ビジネスルールだ。
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