デジタル一眼レフで写真を撮り始めて15年ほどになる。デジタル一眼レフで撮影するとき、僕はほとんど「RAW」というファイル形式で撮影する。
「RAW」は料理前の材料とレシピ
「RAW」とは、デジタルカメラの撮像素子で受光した状態のファイル。JPEGやTIFといった画像形式に変換される前の状態だ。
料理に例えれば、JPEGやTIFはできあがった料理。一方RAWファイルは、未調理の材料とレシピのセットといったところだ。
RAWで撮影する利点は、露出や色味などを調整しても画質劣化がほぼゼロに近いということ。JPEGやTIFはすでに圧縮変換されたファイルのため、各種補正をすると画質が劣化していってしまう。
つまり、RAWで撮影しておけば、画質劣化を気にせず自分の思い通りの写真に仕上げるということができるのだ。この調整を「現像」という。RAWで撮影をしたらこの「現像」という作業がセットになっていると思ったほうがいいだろう。
RAW現像基本の3ステップ
もちろん、僕もRAW現像を行う。パソコンにRAWファイルを取り込み、RAW現像ソフトで露出や色味の調整を行う。僕のRAW現像のおおまかな作業手順は次の通りだ。
1.ホワイトバランス
2.露出調整
3.彩度
このほかにも、もっと細かい調整をしているが、大きな流れはこんな感じだ。これがベストだとは思わないが、なんとなくこの手順で長い間RAW現像を行ってきた。ただ、ほんとうにこれでいいのかどうかはわからない。なんとなくこんな感じかなという感じだ。
『CAPA 2018年5月号』(CAPA編集部・編/学研プラス・刊)に「写真が劇的に変わるRAW現像超入門」という小冊子が付録になっている。RAW現像の基礎が学べるかもと思い、読んでみた。
その最初のほうに『まずはここから覚えよう! きれいに仕上げる基本の3ステップ「露出」「鮮やかさ」「色」』という項目がある。ここにRAW現像の基礎が載っていた。
RAW現像で上手に仕上げるコツは、①「露出(明暗とコントラスト)」②「鮮やかさ(彩度や色の濃さ)」③「色(ホワイトバランスや色温度)」の順に補正すること。
(『CAPA 2018年5月号』より引用)
えっと……。僕がやっている手順は違っていた。僕は最後にやるべきホワイトバランスの調整を一番始めにやっていた。最初に一番大きな色味を決めて、それから追い込んでいくというイメージだったのだが、どうやら違うらしい。
まず最初にイメージする明るさにすることで鮮やかさと色の濃さが決めやすくなり、適切な明るさと鮮やかさが再現できると、微妙な色の偏りや目指す色が把握しやすくなる。
(『CAPA 2018年5月号』より引用)
これからは、この手順を頭にたたき込んで写真を現像するとここに誓う。
自己流でも基本は知っておくべき
僕のように、写真の基礎をほとんど習ったことがない状態で写真を撮っていると、知らないことがいろいろある。これまでなんとか自力で学んできたが、果たしてそれが正解なのかどうかわからないままやってきた。
結果がよければそれでいいのだが、やはり「これでいいのかな」という思いはあった。しかし、今回RAW現像の基礎を知ったことで、安心した。
やはり、基礎を知っておくことは重要だ。その上で、自分なりの方法を身につけていくのが一番だと思う。「基本はこうだけど、俺はこう思う」というのは説得力があるが、「なんとなくこうやっている」では心許ない。
自己流もいいが、基本的なことは知っておくべき。これは写真だけでなく、すべてのことに通じているかもしれない。
【書籍紹介】
CAPA 2018年5月号
著者:CAPA編集部
発行:学研プラス
デジタル一眼カメラや交換レンズ、周辺機材の最新情報が満載。豊富な作例とわかりやすいハード記事で、多くの一眼カメラファンの支持を集める。撮影テクニック記事やプロ写真家の作品紹介、充実したフォトコンテスト記事も人気。