韓国人男性に恋する日本人女性のために作られた韓国語会話本が『愛されハングル 恋して覚える韓国語』(学研パブリッシング・編/学研プラス・刊)だ。「誕生日はいつですか?」「電話番号を教えてください」「彼女はいますか?」などの恋愛基本トークがハングルでたくさん載っているアグレッシブなものだ。この本をハングル勉強中の女子高生の娘に見せてみた。
まずはほめ言葉を仕込む
高校3年生の娘は最近、韓流ダンスユニットのBTSが好きで、毎日のようにミュージックビデオを観ている。ライブやファンミーティングに行ったことはまだないので、韓国語を使う機会はないかといえば、そんなことはない。クラスの女友達にも韓流ファンが何人もいて、皆でハングルを勉強しているのだという。
いったいどんな言葉を勉強しているかというと、まず「モシッソ」(かっこいい)などのほめ言葉らしい。ちなみに「モッチダ」はイけてるという意味だそうで、娘たちは友達と会うと口々に「チンチャ モッチダ!」(マジでイけてるね!)とほめあうようになったそうで、実にポジティブだ。そういえば私も韓流俳優のファンだった頃があり、まず覚えた言葉は「オッパ サランへ」(お兄さん愛してる!)だった。素敵な相手をほめたいという熱い思いが単語を覚える原動力になっているのだ。
女子にとっての重要ワードとは
娘はちらっと本を見やり「大事な単語がない気がする」と言った。女子高生にとって大事な単語とは何か。それは「トイレ」だった。確かにデートの時にだって行きたくなる時は行きたくなる。「お手洗いに行ってくるわ」とか「お手洗いはどこかしら」は必要な会話かもしれない(ちなみに調べたら「トイレはどこですか」は「ファジャンシル オディエヨ」だった)。
それにしてもどうして韓国語を覚えなくてはならないのか。お互いに英語を多少は使えるのなら、英語でいいではないか、と私は思ってしまう。私は以前、韓国人男性を東京タワーに案内したことがあるけれど、あの時も英語だったがどうにか通じたものだ。トイレはどこだって、英語ではダメなのだろうか。けれど娘は応援している彼らが日常的に使っている言葉だからこそ知りたい、覚えたいという気持ちになるらしい。
読めるようになると世界が広がる
女子高生は頭が柔らかく、言語習得力もそれなりにはあるらしく、娘はすぐにハングルが読めるようになった。文字が読めるようになると、駅名や人名が読み取れたりと、世界が一気に広がるらしい。韓流ドラマの単語も少しずつ聴き取れるようになり、ますます学習に熱が入るが、彼女は大学受験生だ。英語の勉強を頑張らなくていいのかしらと母が心の中で心配していることを知っているだろうか。
娘には見せなかったけれど、この本は、先に進むと、韓国人男性とかなり深い関係になっていく。ラストのほうでは「あの日、髪の長い女と会っていたじゃない」「他に好きな人ができたんだ」などという修羅場的な会話が展開されているし、「今夜は帰りたくない」「私、妊娠したの」などという衝撃的なやりとりもある。
けれど今は、娘にはこの修羅場は見せないでおこう。韓流アイドルに憧れ、目を輝かせて新しい言葉を覚える今の楽しさを大切にしておきたいからだ。恋愛するということは、決してキラキラしたことだけではなく、むしろ親しくなればなるほどドロドロしたことも増えていく。そしてその時こそ会話をしっかりして自分の気持ちを相手に伝えなくてはならないはずだ。いつか娘にそんな日が来たら、この本覚えてる? とiPadで表示させてみようと思う。
【書籍紹介】
愛されハングル ―恋して覚える韓国語
著者:学研パブリッシング(編)
発行:学研プラス
恋して韓国語を覚えよう!「メアドを交換してください」「今度デートしましょう」「キスして」「避妊はしてね」…。“男性とのお付き合い”に特化した『使える言葉』だけを掲載した異色の韓国語参考書が登場。メール、ツイッターで使える最新用語も掲載。