本・書籍
2018/10/4 22:30

さわ子としおりはズッ友だよ! ── 図書室まんが『バーナード嬢曰く。』の人間関係を考察する

遠藤と長谷川スミカ

町田さわ子。神林しおり。そして遠藤もまた、教室や同級生たちを避けるようにして昼休みや放課後に図書室で過ごすタイプの男子学生です。遠藤も人並みに本を読みますが、その視線が追っていたのは活字ではなく町田さわ子でした。

 

遠藤がさわ子に恋をしているのかといえば、そうとも言い切れません。『バーナード嬢曰く。』第1巻までは、遠藤が思わせぶりな表情を浮かべることもありましたが、想定を上回る「さわ子の変人ぶり」を目の当たりにしたせいか、『バーナード嬢曰く。第4巻』(施川 ユウキ・著/一迅社・刊)に至っては浮ついた要素を見出すことが難しくなりました。

 

本作品のLOVE要素を一手に引き受けているのは、図書委員の長谷川スミカです。引っ込み思案なメガネっ娘。若きシャーロキアン(熱狂的なシャーロック・ホームズのファン)でありミステリ小説の愛読者です。第1巻から登場しているキャラクターであり、さわ子のことを見つめている遠藤のことをひそかに見守っている一途で健気な女子学生。恋愛相関図の観点からすれば、スミカと遠藤とさわ子は緩やかな三角関係ということになります。

 

本書『バーナード嬢曰く。』のメインヒロインは町田さわ子と神林しおりですが ── 巻を重ねるごとに女子ふたりの共依存度が高まっている現状があります。さわ子としおりは妖しい香りを漂わせており、もはや男子である遠藤が割りこむ余地はありません。その一方で、恋の野心を秘めた図書委員にとっては逆転のチャンスであり、実際に第2巻と第3巻にわたって地道にLOVEアタックを繰り返し続けていた長谷川スミカは、第4巻時点において「遠藤のベストパートナーの座」をさわ子から奪還しつつあります。今後も目を離せません。

 

 

本好きはみんなズッ友だよ!

遠藤とさわ子。さわ子としおり。スミカと遠藤。そして第3巻から第4巻にかけては、新たにスミカとしおりが親交を温めはじめました。本書『バーナード嬢曰く。』は、ブックガイドとして楽しめるほか、交わり合う人間関係も見どころのひとつです。お試しください。

 

 

【書籍紹介】

 

バーナード嬢曰く。(4)

著者:施川ユウキ
発行:一迅社

グータラな読書家“バーナード嬢”と、その友人たちが図書室で過ごすブンガクな日々――。『モモ』『注文の多い料理店』『奇界遺産』『電車男』『君たちはどう生きるか』『渚にて』……、古今東西あらゆる本への愛と“読書家あるある”に満ちた“名著礼賛ギャグ”、刮目の第4巻!

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