親として子どもに教えるべきことは山のようにあるが、教えづらいものの2トップが「性教育」と「お金」のことではないだろうか。どちらも、学校ではほとんど教えてもらえない。
性教育の授業は一応あるけれど、まったくもって情報が足りない。将来、我が子を性犯罪の被害者にも加害者にもしないために、家庭でしっかりと教えていかなくてはいけないだろう。
そして、生きていく上で切っても切り離せないものが「お金」だ。
なぜかこの国では、お金のことを話すと「いやらしい」とか、「子どもはそんなこと知らなくていい」と言われがちである。お金をたくさん得ることは、きっと誰もが望んでいること。少ししかないよりは、たくさんあったほうがいいに決まってる。なのに、「お金が好き。もっとお金儲けしたい」なんて言うと、「卑しい」だの、挙句の果てには「お金だけが幸せじゃないよねー」などと言われてしまったりする風潮だ。
そんななか、「子どもがお金の勉強をすることはいいことだ。できるだけ早いうちからお金について考える習慣がつけば、その分、お金に関する『しなくてもいい苦労』が減る」と唱えるのが、村上ファンドの創始者としてその名を轟かせた投資家・村上世彰氏である。
今回は、村上氏の著書『いま君に伝えたいお金の話』(幻冬舎・刊)を教科書に、お金について考えてみる。
そもそも「お金」ってなんだ?
私たちの生活には、すべてお金が関わっている。けれども、いざ「お金ってどんなもの?」と聞かれると、うまく答えられない人も多いだろう。
お金とはズバリ、「①何かと交換できる、②価値をはかることができる、③貯めることができる」という3つの機能があると村上氏。そして、「お金について大切なこと」として、次の4つを挙げている。
・自立して生きていくためには、お金は絶対に必要である
・やりたいことをやるには、余分なお金があったほうがいい
・困ったときに、お金は君を助けてくれる
・君がお金を持っていれば、人を助けることができる
(『いま君に伝えたいお金の話』より引用)
この4箇条は、実に的確だ。
そしてまた、お金には恐ろしい魔力があることも、村上氏は強く述べている。お金と仲良くなるためには、相手の良いところも悪いところも知ること。そして、対等に付き合っていくこと。ここを怠ると、お金の魔力に惑わされてしまうのだ。