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2019/1/22 6:00

ビジネスに必要なことはすべて「ブラック・ジャック」が教えてくれる!!

『ブラックジャック』。みなさんご存じのことと思いますが簡単に説明しますと、手塚治虫が描いた医療マンガ。無免許の外科医ながら凄腕のブラックジャックが、法外な治療費で治療を引き受けるものの、人情味あふれるストーリーとなっており、ファンが多い作品です。

 

かくいう僕も、『ブラックジャック』は大好き。特に大学生のころ、ほとんど読み尽くしました。

 

一見冷酷そうなブラックジャックですが、自分に厳しく弱者に優しい性格。手塚治虫らしく、シリアスなストーリーの中にもほどよいギャグが散りばめられており、子どもから大人まで読みやすいマンガです。

 

「どんなアドバイス」ではなく「誰のアドバイス」かが重要

そんな『ブラックジャック』という作品から、ビジネスシーンのヒントを得ようというコンセプトの書籍が『もしブラック・ジャックが仕事の悩みに答えたら』(尾崎健一・著/日経BP社・刊)です。

 

簡単に言えば、「もし、仕事のことで悩んでいるビジネスマンがブラックジャックに相談したら」という、ドリフの「もしも」のコーナーのような感じです。さらにすごいのが、手塚プロダクションの協力を得て、実際のマンガのシーンが転載されていること。これがあるとないとでは、説得力が大きく変わります。

 

人事労務関係のコンサルティングを行っている著者は、なぜブラックジャックからビジネスヒントを見いだしそうとしたのでしょうか。「はじめに」に以下のように記されています。

新しい一歩を踏み出せるかどうかは、アドバイスの内容よりもむしろ、どんな状況で、どんな人からアドバイスされたかにかかっています。

(『もしブラック・ジャックが仕事の悩みに答えたら』より引用)

 

ブラックジャックは、自らの経験から得た価値観に沿って、一貫した思想を貫いている人物。それだけに、発する言葉の重みが違うということなのです。確かに、ブラックジャックに言われたら、うなずくしかありませんよね。

 

 

迷っていたら行動することでチャンスが広がる

本書には13のビジネス上の悩みがあり、それに合わせたブラックジャックのシーンが抜粋されています。かなり具体的な事例となっているので、読んでみると「俺もそうそう!」と思い当たることがあるかもしれません。

 

その13の悩みのなかで、僕がもっとも共感したのが「カルテ11 うまくいかなかったらどうしよう」です。これは、一般職から営業職への転換をためらっている営業アシスタントの女性の話。簡単に言えば、「チャンスはあるが行動を起こすのを迷っている」というもの。

 

これに対して著者は『ブラックジャック』の一話「気が弱いシラノ」という話を引用し、行動を起こすことの重要性を説いています。

 

僕は、長い間フリーライターとして働いているためか、たまに若いフリーライターに仕事のことで相談されることがあります。その多くが「こういう仕事が来たがやるべきか否か」というもの。

 

そんなとき、僕の答えは一択。「やったほうがいい」です。自分の知らない分野の仕事でも、やれば経験値として自分の中に溜まっていきますし、うまくいけばそこから仕事が増えていくかもしれません。仮に失敗してしまっても、経験値が減ることはありませんし、会社組織に属しているわけではないので、被害は少なくて済むはずです。

 

しかし、そうは思わない人も多いようで「知らない分野の仕事だから」「失敗したら相手に迷惑がかかる」「自分には荷が重い」などなど、いろいろな理由をつけて尻込みしているのです。

 

本書にも以下のように書かれています。

 

しかし、結果がどう転んだとしても、決断を下し、行動を起こすことには意味がある。その体験から得るものは大きいし、本当に嫌だったら、やり直すこともできる。総合職の試験を受けたり、実際に総合職をやってみたりしてから、「やっぱり私には向きません」と、上司や人事部に申し出てもいい。実体験があれば、断るときの迷いは減るだろう。

要するに、うまくやれなかったら戻ればいいし、「うまくやれなかった。自分には合わなかった」と分かること自体に価値がある。

(『もしブラック・ジャックが仕事の悩みに答えたら』より引用)

 

やらないより、やったほうがいい。僕はそんなシンプルな気持ちでずっと仕事をやってきたので、自分でも何が専門なんだかわからない雑文ライターになっていますが、それはそれでおもしろいのでアリだと思っています。

 

本書と合わせてマンガも読んでみよう

本書を読んでいると、ブラックジャックという人は本当に人の心を理解し、粋なビジネスの計らいをする人なんだなということがわかります。もっといえば、作者の手塚治虫がそういう人なのでしょう。

 

本書を読んでいると、もう一度ブラックジャックが読み返したくなります。まだ未読の方は、ぜひこの機会に本書と合わせてブラックジャックも読んでみてはいかがでしょう。純粋におもしろいマンガですが、本書のような見方で読んでみると、さらに奥深さが増し、自分の人生に大きな影響を及ぼすかもしれません。

 

 

【書籍紹介】

もしブラック・ジャックが仕事の悩みに答えたら

著者:尾崎健一
発行:日経BP社

仕事をしていれば誰もがぶつかる悩みを、天才外科医ブラック・ジャックに打ち明けたら、どんなアドバイスをするだろう? 巨匠・手塚治虫の名作『ブラック・ジャック』から珠玉の13編を、人事・労務コンサルタントの著者が読み解き、日々奮闘するビジネスパーソンの心に響くエッセンスを引き出します。

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