我が子がとにかく寝ない。
抱っこでようやく寝かしつけても、布団におろした途端に泣いて起きる。
「お願い、今だけは静かにして!」というタイミングに限って、何故か泣き出す。
子どもが重くなってきて、正直抱っこが辛くなってきた。
授乳がうまくいかず、おっぱいタイムがしんどい。
ひとつでも当てはまったというパパママに、ぜひ読んでほしい本がある。
正看護師であり一般社団法人 育母塾の代表理事、救急救命災害レスキューナースとしても活躍されている辻 直美さんの著書『どんなに泣いている子でも3秒で泣き止み3分で寝る まぁるい抱っこ』(講談社・刊)だ。
ギャン泣きしている我が子が3秒で泣き止んだ!
辻さんが提唱している「まぁるい抱っこ」とは、赤ちゃんがもっとも心地良く、抱っこしている側も辛くない抱っこ法のこと。
どんなに泣いている赤ちゃんでも、ものの数秒で泣き止む。それほど赤ちゃんが心底リラックスできて、体も心も委ねてきてくれるという、まさに魔法のような抱っこなのだ。全国各地で、「まぁるい抱っこ」が学べる講座も開催されている。
初めて辻さんの講座を受けたとき、私は辻さんを「神様」だと思った。
というのも、まさに講座がスタートするというその時、当時3か月だった娘が突然泣き出した。「どうしてこのタイミングで…」と焦りつつ、なんとか泣き止ませようと四苦八苦していた私に、「ちょっと、抱っこさせてもらってもいい?」と講師である辻さんが声をかけてくれた。
辻さんは3か月の娘にやさしく話しかけながら、抱っこしてくれた。すると…3秒、いや、まさに抱っこした瞬間、あんなに泣いていた娘が泣き止んだのだ。表情も緩んで、ご機嫌に。それはもう鳥肌モノの衝撃だった。
そしてこれは偶然の出来事などではなく、ほかの赤ちゃんでも辻さんが抱っこすると途端に泣き止む姿を、幾度となく目の当たりにしている。
「まぁるい抱っこ」5つのポイント
それでは早速、『どんなに泣いている子でも3秒で泣き止み3分で寝る まぁるい抱っこ』から、まぁるい抱っこのポイントをお伝えしよう。
1.赤ちゃんの頭の位置を抱っこしている人(以降「ママ」とする)の「デコルテ」に合わせる
ママの体の軸と、赤ちゃんの体の軸を合わせることが基本。そして、赤ちゃんの頭の高さは、ママのデコルテの位置で。3歳くらいまでの子どもであれば、ママの鎖骨からおへそあたりまでに収まる大きさなので、この位置を意識すると赤ちゃんの体をしっかりと受け止められる。
2.赤ちゃんの脚は「M字開脚」
「M字開脚」とは、膝を曲げてガニ股のような形で脚をM字に開いた状態のこと。赤ちゃんが自然にリラックスでき、安心できる姿勢だ。股間がママの方を向いていて、膝がお尻よりも高い位置にあるのがポイント。
3.赤ちゃんのお尻は「ゆるやかなV字」に
赤ちゃんのお尻から膝にかけてのラインが、ゆるやかなV字になっているかをチェック。赤ちゃんが気持ち良いと感じているときやリラックスしているとき、力が抜けてお尻が柔らかくなる。抱っこしていてお尻が硬いときは、緊張しているか体勢が心地良くない証拠かも。
4.横から見たとき「も」の字を描いている
抱っこしている姿を横から見たとき、赤ちゃんの頭から膝までがひらがなの「も」の字のようになっていればOK。赤ちゃんの頭がママのデコルテにペタンと密着し、体全体をママに預けられている姿勢だ。
5.赤ちゃんを「持ち上げる」のではなく「包み込む」
赤ちゃんが安心してママに体を預けられるように、持ち上げるのではなく腕全体で包み込むようにすることを意識する。コツは、利き手と反対の腕をまっすぐに伸ばし、肘が内側にくるように手のひらを外側に向ける。そのまま肘を曲げ、手のひらだけ内側に向ける。利き手側も同様に、腕を伸ばして手のひらを外側に返し、二の腕で赤ちゃんを支えて肘を曲げ、手のひらを内側に戻す。これは古武道の動きをヒントにしたやり方で、余計な力をかけずに、ふんわり包み込むように抱っこできる秘訣。
「M字開脚」はオムツ替えにも授乳にも役立つ
これら5つのポイントのうち、特に重要なのが「M字開脚」だ。抱っこのときだけでなく、育児におけるさまざまなシーンで役立つ。
たとえば、オムツ替え。両脚を引っ張ったり、持ち上げたりしてしまうと、股関節脱臼(太ももの付け根にある股関節の骨が外れてしまうこと)になる危険性が。足裏を合わせてM字の形になるようにし、お腹に軽く押し当てると、赤ちゃんが嫌がることなくオムツ替えがすんなりできる。
また、授乳もスムーズになる。まぁるい抱っこの形を意識して授乳すると、赤ちゃんがゴクゴクと自分からおっぱいを飲むのだ。苦戦していたゲップも、M字開脚で一発解決。
しかも、便秘は治るし、「背中スイッチ」なんてどこ吹く風、まぁるい抱っこの形がキープできるような寝床を作れば、抱っこからおろしてもスヤスヤ気持ちよさそうに寝ている。
ちなみに、まぁるい抱っこは小さな赤ちゃんだけの方法ではない。大きくなった子どもも、驚くほど重さを感じず、子どもとの密着感が味わえる抱っこだ。それに、立ってする抱っこがすべてではなく、座っていたってもちろん可能。2人同時の抱っこもなんのその。
まさに良いことづくしである。
パパも抱っこに自信が持てる!
何より、まぁるい抱っこはパパにこそおすすめしたい。
我が家も、上2人までは私の抱っこでないと泣き止まなかった。それが3人目では、まぁるい抱っこをマスターした夫が抱っこすると、ピタリと泣き止んでスヤスヤ寝るようになったのだ。「ママの抱っこじゃないとダメ」という状況は、変えられる!
『どんなに泣いている子でも3秒で泣き止み3分で寝る まぁるい抱っこ』はDVD付きなので、実際に動画を見ながらまぁるい抱っこのやり方を確認できる。
「抱っこなんて誰でもできるから、習うほどのものじゃないでしょ!」と思っている人にこそ、ぜひまぁるい抱っこのパワーを知ってほしい。私自身の子育てのバイブルであり、出産した友人たちに贈り続けている、全パパママに薦めたい、広めたい一冊だ。
【書籍紹介】
DVD付き どんなに泣いている子でも3秒で泣き止み3分で寝るまぁるい抱っこ
著者: 辻 直美、狩野 正嗣
発行:講談社
辻さんの講座には、子供が泣き止まない、抱っこのしかたがわからない、何を欲しているのかわからない、という悩みを持ったお母さん方が大勢詰めかけています。辻さんに抱っこのしかたを教わると、それまで大泣きしていた子どもがピタリと泣き止むため、夜も寝られず悩んでいたお母さんたちは大助かり!赤ちゃんとのコミュニケーションに悩むお母さんに向けた、抱っこのしかた、お世話のしかた、スリングのやり方を動画でわかりやすく解説するDVDブックです。はじめに「まぁるい抱っこ」でママもベビーもハッピーに「まぁるい抱っこ」で健やかな子育てをしよう!