世界中の動物が手軽に見られる動物園。東京近郊ならば、上野動物園や井の頭自然文化圏など手軽に行ける動物園もあります。僕は純粋に動物が見たい場合や、写真撮影をしたいときなどに、ふらりと立ち寄ったりします。
ライオンはタダで手に入る!?
動物園には、さまざまな動物が飼育されています。それらの動物は国内外から購入しているもの。つまり、値段があるということです。
『子供に言えない動物のヤバい話』(パンク町田・著/KADOKAWA・刊)は、動物園などに動物を納入する際の動物のケアや、トレーニングなどのビジネスを行っている著者が記した本です。ほぼ独学で動物について学び、世界中の野性動物を見て得た豊富な知識と経験を元に書かれた、非常に興味深い内容となっています。
その中に、動物の値段についての記述があります。ライオンの値段は以下のように記されています。
たとえばライオンは、子供のライオンのほうが需要は高く、幼獣のうちはそれなりの値段がしますが、生後三、四か月経つと30万円くらいまで値段が下がります。生後一年も経てば、「持っていってくれるならタダでもいいよ」となる場合さえあります。
(『子供に言えない動物のヤバい話』より引用)
ライオンは、たいていの動物園にいる上、繁殖が比較的簡単ということで、意外と安いようです。一方、トラは種類にもよりますが、数百万円ほど。繁殖の難しさがその理由とのこと。
ゴリラやゾウは1億円クラス、オカピなどは輸入が難しいために5億円以上。キリンはメスであれば2700万円から3500万円。これらには輸送費なども含まれているようですが、そう考えると動物園って意外とたいへんそうだな、なんて考えてしまいますね。ちょっと動物たちの見方が変わってしまいそうです。
アルパカは植物並みにバカ
本書は、著者が実際にさまざまな動物の飼育などをした経験を元に、各動物の特徴が書かれています。僕が好きなアルパカについては、知能は植物レベルとのこと。
アルパカは「動いている草」みたいなものなんです。バカすぎちゃって、草が動き回っているように感じられるくらいなんです。エサと水があればそれでいいという意味でも、植物と大差ありません。
(『子供に言えない動物のヤバい話』より引用)
どうやら、アルパカは草食動物の中でもかなり知能は低いようで、ピューマなどの敵からひたすら逃げ続けた結果生き延びてきたという動物とのこと。そのため、人間にもほぼ慣れないようです。飼ってみると、つまらないと記されており、アルパカ好きとしてはちょっと残念。
僕はカピバラも好きなのですが、カピバラについては「協調性がなく陰険」なんだそう。
カピバラにはとにかく協調性がない。人間でいう転校生のように違うところから別のカピバラが来ても、絶対にグループに入れてあげません。
(『子供に言えない動物のヤバい話』より引用)
ただ、問題点はそこだけのよう。元々一緒の群れにいた同士ならば仲良くし、人間にも慣れるので、まだアルパカよりはマシですね。
動物園の楽しみ方が一変する可能性がある良著
このほかにも、ワラビーやチンパンジー、タカやワシ、は虫類やゴキブリまで、さまざまな動物についての独自の視点からの考察が書かれており、非常におもしろい本です。
また、動物園と動物の関係、動物と人間の関係、著者がどうして今のような職業に就いたのかといった章があります。タイトルには「ヤバい話」とありますが、どちらかというと人間や動物、動物園、地球環境、教育問題など、多岐にわたる気づきがある内容でした。
もし、ご家族で動物園に行くようなことがあるのなら、その前に一読していくといいでしょう。動物個々の知識というよりは、動物園をどのように見たらおもしろいのかという観点で楽しめるようになると思いますよ。
【書籍紹介】
子供に言えない動物のヤバい話
著者:パンク町田
発行:KADOKAWA
実は野生のままでいるより、動物園で飼育されるほうが長生きできる動物は多い。読んだその日から動物、動物園、そして人間を見る目が変わる!子供には話せないような仰天エピソードも多数収録!