平成から令和に時代が変わり、人類史上初の10連休を終え「あぁ仕事に行きたくない」って人がものすごく多いと思います。しかし、私はこの連休中にあることをしたおかげで、5月病とは無縁な生活を送れております。それは何か?『メンタル童貞ロックンロール』(森田哲矢・著/KADOKAWA・刊)を読んだから!
この一冊のおかげで5月病は吹き飛び、母性まで目覚め、謎なやる気に満ちています。今回は、文字だけなのにお腹を抱えるほど笑ってしまう、令和注目のお笑い芸人「さらば青春の光」の森田哲矢さん初のエッセイ『メンタル童貞ロックンロール』をご紹介いたします!
「メンタル童貞」って何?
本のタイトルからも十分にゲスそうな、そしてクズそうな内容であるということは伝わると思うのですが(褒めています!)、ザックリとこの本の内容をお伝えすると、芸人である森田さんが、ご自宅のある五反田を拠点として合コンしたり、風俗行ったり、宅飲みしたり、地方でも風俗行ったり、また合コンからの流れで宅飲みしたり、再び風俗へ行ったりするエッセイ集。この本で最初に収録されているタイトルも「ヤリマンいい奴説」なんてもんだからそのゲスさは想像していただけると思います(褒めてます!)。
ちなみにタイトルの「メンタル童貞」ってどういう意味なのでしょうか?
実際に童貞ではないが、ここまでの人生において全くと言っていいほど女性にモテてこなかったため、女性の扱い方が一切わからず、そのくせ性欲は思春期から1mmも変わらないため、エッチな事がしたくてしたくて堪らないという一番タチの悪い種族です。
(『メンタル童貞ロックンロール 』より引用)
わかりやすい(笑)。草食男子なんて言われて久しいですが、そんな時代の狭間が生み出した野獣と言ってもいいくらい、野放しにしていては危険な種族ですね(褒めてます!)。そんなメンタル童貞の森田さんが織りなす日常は、一体どんなものなのでしょうか?
ゲスいのに元気が出る!
この書籍、とにかく分厚いんです。書籍の小口側に、森田さんのキラーワードとも言える「宅飲みする?」と書けるぐらい厚い349ページに、23のエッセイが収められています。まるで100周年とか記念して発行された社史レベル!
この「宅飲みする?」は、森田さんのお家芸といってもいいキラーワード。合コンで盛り上がった女の子を華麗にご自宅へ導きます。なのに! 自宅では何も起こらないというのが森田さんらしさ。毎回ヒロインに振られる「男はつらいよ」の寅さんに重ねてしまい、「これは令和の寅さんだな」と楽しんでおります。
合コンにおいてほとんどの女性を宅飲みに導いてしまう森田さんですが、1対1となると状況は一変します。どのようになるのか「合コンを捨てた男の過酷すぎる個人戦」に掲載されている攻防戦の様子をご紹介しましょう。
「僕の家この近くなんですが、来ます?」
菜々の上に覆い被さり、レフェリーがカウントを刻みます。1、2、
「いえ、今日は帰ります」
一瞬、え……? と思いましたが、流石に1回の大技では決めさせてくれない菜々。これぞプロレスの醍醐味と言っても過言ではないでしょう。僕は再びトップロープに登ります。
「よかったら僕の家で飲み直しません?」
再びレフェリーがカウントを刻みます。1、2、
「うーん、今日はやっぱり帰ります」
今回もカウント2で返してくる菜々。そしてまたトップロープに登る僕。
(『メンタル童貞ロックンロール 』より引用)
と、これがあと4回くらい続きます(笑)。
結果、菜々さんを宅飲みには導けず、「風俗を奢ってもらう」ということで解決し終了するのですが、このやり取りも笑いながら読ませてもらいました。まさにメンタル童貞! 帯にも「人生に絶望している方々、どうぞ下を見てください。あなたのずーーーーっと下に僕がいます。」と書かれてあるのですが、諦めない、食らいつきっぷりは本当に素晴らしく、ゲスいなぁ〜という気持ちを通り越して清々しい気持ちにさせられます。
「私が菜々さんならどうしたかな?」とか色々と考えながらこのエピソードを読みましたが、どう考えてもこの着地はおかしい。奢ってあげた菜々さんに幸あれ、そして森田さんにも幸あれ!
女は読むな? こんなにも母性がくすぐられる一冊はないから必読です!
なるべくライトなものを紹介してきましたが、こういうお話ばかりの本は「女子はNG〜」と思った方も多いでしょう。しかし、この本は違います! 笑いながら読んでいくうちに、元気が出るだけでなく、メンタル童貞に母性をくすぐられてしまうのです。
森田さんは合コンに風俗にと遊びまくっているので、めっちゃお酒を飲むのでは? と思った方も多いかもしれませんが、「梅酒の水割り、水多めで」と注文しちゃうほどお酒は強くないそうで、飲みすぎると頭痛がしてしまうんだとか。……かわいい! それにこんだけむちゃくちゃしてますが、律儀に1年近くとある約束を守っていたり(何を守っているかは「メンタル童貞ロックンロール」をお読みください)、メンタル童貞の素性を知れば知るほど、我が子の成長を見届ける母親のような気持ちになってしまうのです。
私の母性がくすぐられたところで「は?」って話ですが、勝手に森田さんにはいつまでもメンタル童貞でいて欲しいと願ってやみません。5月病でお疲れの方はもちろん、お仕事や恋愛でお疲れの女性の皆さんにもこの本を手にとって読んでいただければ嬉しいです。いつの日か映画化されることを楽しみに、応援していきたいと思っています! 頑張れ、メンタル童貞!!
【書籍紹介】
メンタル童貞ロックンロール
著者:森田哲矢
発行:KADOKAWA
異性にモテない、仕事がうまくいかない、人間関係で悩んでいる、そんな人生に絶望してる方々、どうぞ下を見てください。あなたのずーーーっと下に僕がいます。連載「煙だけでいい……あとはオレが火を起こす!」(ダ・ヴィンチニュース)をまとめた、さらば青春の光・森田哲矢の初著書!