自らを「ブス」と言い切る女性によるマーケティング理論がかなり斬新だ。要約すれば「見栄えが劣ると感じる人は、努力して見栄え以外のことで人並み以上を目指すべし。そうすれば総合点は美人と大差ない。むしろ美人は経年劣化するので逆転勝ちすることもある」というものである。
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『ブスのマーケティング戦略』(文響社・刊)を書いたのは、税理士の田村麻美さん(34歳)。昭和54年生まれの彼女はとある得点表を考え出した。自分を5つのカテゴリに分けて、その総合点で物事を考えるというものである。カテゴリは見た目、経済力(仕事)、学歴、居心地(人柄)、相性(個性)である。
つまり20代の美人は見た目が100点なので、それほど仕事や学歴を頑張らず、コミュニケーション力もそれほどは必要ないという。男性のほうから寄ってきてくれるからだ。
しかし美人ではない人は見た目の点数が低いので、仕事を超頑張ったり、猛勉強して良い学歴を手に入れたり、コミュ力を上げたりして他の分野で点数を上げ、総合点で美人に追いつく必要があるという。そして筆者は、美人は40代になれば見た目は100点から一気に下がって10点になるので美人ではない側の勝機さえあると説いている。しかし本当にそうだろうか。
令和の美男美女はパーフェクトを目指す
彼女の言うことは一理あるし、決して美人ではない私も、そうであったらどんなにいいだろうと思う。だが、令和の時代、その理屈が通るとは限らない。
理由は、美人が勉強や仕事も頑張り始めたからだ。テレビを見ると、高学歴女性がクイズ番組などで活躍しているし、高学歴・美人・女性社長という3拍子揃った才色兼備なお方も見かける。麗しい方々が知的なことにも努力をし始めているのだ。すべてにおいて高得点の女性が今後も増え続けたら、見た目で減点される側の女性はかなり厳しい状況に陥ってしまう。
急増する美魔女とイケオッサン
また、本では美女は40代になると見かけが10点になると書いているけれど、近ごろは決してそうではない。私の知人でもうじき60代に達しようというのに40代にしか見えず、スリムで美しくおしゃれで幸せそうな人妻がいる。
美魔女という言葉があるように彼女たちは何歳になっても筋トレや肌の手入れ、トレンドキャッチを怠らない。それどころか野菜ソムリエの資格を取ったり英語力を上げたりと、むしろ加点して総合力を上げている人さえいる。
また、男性も同様で、40代になっても筋トレを怠らない、おしゃれなイケオジも増えている。美魔女がヨガ・スクールやパン教室を開講したり、イケオジが起業塾などの講師になったりと、自己実現の歩みを止めないのだ。こうなると、美人ではない側も自分の顔の良いところを強調するようなメイクを覚えるなどして外見の得点を少しでも上げる努力をする必要がある気がしてならない。
満足する人生を送るための共通項
ただ、美人であれそうでない人であれ、人生100年時代、どうやらたどり着くところは同じらしい。それは「学習し続ける」ということ。
料理やヨガの教室であれ、社会人大学院であれ、共通しているのは自分の好奇心を満たし、キャリアアップにもつながりそうなものを選んでいるというところである。著者は33歳で早稲田の大学院に入学した際に「満ち足りたブス」になれたと書いている。学びには終わりはない。あくなき探求は高得点を生み、承認欲求どころか自己実現欲求をも満たすのだ。
先ほどの5カテゴリの中で、自分がどの分野の得点が伸びたら一番うれしいかを考え、まずはその1分野での得点アップを頑張ってみることだ。得点がアップしたら、その得点をさらに積み上げていくのもいいし、ほかのジャンルも伸ばしてみるのもいい。結局、美人であれそうでない人であれ、大切なのは、日々何かに努力をし続けることなのだと思う。
【書籍紹介】
ブスのマーケティング戦略
著者:田村麻美
発行:文響社
税理士である著者の爆笑半生記と、まじめなマーケティング理論&行動提案が組み合わさった、画期的な1冊! この本はブスの自虐エッセイではないれっきとした実用書である。税理士、大学院生、一児の母、そしてブスである著者が、これまでの人生で学んだ戦略を、具体的な行動提案として記したものだ。この戦略の目的はふたつ。1.ブスの幸せな結婚 2.ブスの経済的な自立である。
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