関ジャニ∞の錦戸くんが、ジャニーズ事務所を退所するというニュースが飛び込んできたのは、先週のこと。
12年来のエイター(関ジャニ∞ファン)であり、錦戸担の私にとって、あまりにもショックすぎる出来事だった。子どもが生まれてからはすっかりライブから足が遠のき、茶の間ファンになってはいたけれど。
そもそも、私のジャニヲタ人生は光GENJIがはじまりだ。あの時期、多くの女子たちがそうだったように、彼らが出演している歌番組を録画して繰り返し見ていた。「私はかぁくん派!」「私はバンジーが好き!」などと、おしゃべりにも花が咲いたものだ。
その後、SMAPの森くんに出会ったその日から、彼は私の中高生時代の青春そのものとなった。だから、オートレーサーになるとSMAPを脱退したとき、天地がひっくり返ってしまったかと錯覚するほど辛かった。
以降、森くんほど夢中になった人はいなかったけれど、なぜか「ジャニーズ」という肩書を持った人たちに強く惹かれ、KinKi KidsやV6、嵐などいろいろなジャニーズのライブに通った。大学時代と社会人になって数年はその熱が少し冷めたこともあったが、基本的にずっとジャニーズの面々を応援し続けてきた。
そして12年前、ついにSMAPと同じくらいの、いやSMAP以上に惹かれるグループに出会い、森くん以降は持つ気にならなかった応援うちわを持とうと思えた。それが、関ジャニ∞であり、亮ちゃんだったのだ。だからこそ、今回の脱退劇は辛すぎる。
さて、正直最近のジャニーズ事情にはすっかり疎くなったけれど、やはり「ジャニーズ」という看板は強力な光を放つと感じる。なぜ、私たちはジャニーズに惹かれるのか。
かっこいいから? それも間違いではないが、必ずしも美男子ばかりではない(あくまで個人的主観だが)のがジャニーズのいとをかしなところ。
では、なぜ。その答えをまるまる一冊かけて解き明かしているのが、いま話題の書『ジャニーズは努力が9割』(霜田明寛・著/新潮社・刊)だ。
元祖「ジャニヲタ男子」が10年間以上かけて導き出したジャニーズ論
「ジャニーズは努力が9割? 見た目が9割の間違いじゃない?」と多くの人は思うだろう。「ジャニーズ顔」なんて言葉があるくらいだし、そもそもルックスが良くないとジャニーズに入れないでしょ?と疑問に思うのは当然のことだ。
けれども『ジャニーズは努力が9割』の著者である霜田氏は、こう述べる。「才能とは、天から授かるものではなく、死ぬ気で身につけるものである」ことをジャニーズの面々ら教わったと。そして、「普通の男の子たちが、圧倒的努力によって才能を身につけ、光り輝く場所で活躍するスターになった」、その集合体がジャニーズであり、努力の仕方も活躍の仕方も、無数に存在するのだと。
実は霜田氏は、今でこそ珍しくなくなってきた「ジャニヲタ男子」のパイオニアである。9歳のときにSMAPに憧れ、15歳で同い年の山P(山下智久)が活躍している様子に刺激を受け、18歳でジャニーズJr.のオーディションを受けたという経歴の持ち主。
現在は、WEBマガジン「チェリー」の編集長として取材・執筆を行っている。「ジャニーズJr.のオーディションを受けた者は、その時点で『ジャニーズJr.研修生』であり、時間が経ってから連絡がくることもあるから、すぐに連絡がこなくても諦めないで待っていてください」という事務所の人の言葉を信じ、15年ほど声がかかるのを待ち続けながら。
そんな霜田氏は、おそらくどのジャニヲタよりも研究熱心だ。『ジャニーズは努力が9割』では、数多いるジャニーズの中から、特に努力の塊である16名をピックアップ、それぞれの努力の仕方を過去の膨大な資料から徹底的に分析している。
たとえば、「天才」や「スター」と称され、なんでもソツなくこなしてしまう木村拓哉は、「どんな無理難題でも軽々とクリアできるように、24時間“パーフェクトな木村拓哉”であり続けるために、影でものすごい努力をしている人」なのだそう。「なりたい自分のビジョン」をハッキリと持ち、その上で、時には仕事を選び、強烈な意思を持って「スーパースター」の座を勝ち取った努力の人。
たとえば、堂本剛はKinKi Kidsとして活躍する一方、自ら企画書を書き、事務所内でプレゼンした上でソロの音楽活動を始動。宣伝方法の会議にまで出席していたというから、驚く。過換気症候群やパニック障害などを患いながらも、「自己を表現する場」を自分の手で生み出してきた努力の人。
華やかに活躍する一面からは想像もできないほど、誰もが苦しみ、もがきながら、「個」を確立するための努力を惜しまない。ジャニーズには、そんな努力の人でいっぱいなのだ。
ジャニーさんは「日本一優秀な採用担当者」
先日、その訃報が日本のみならず世界中を駆け巡ったジャニー喜多川氏。彼の「人を見抜く目」は、他に類を見ないほど圧倒的な能力だったと霜田氏は語る。
なんでも、ジャニーさんには、少年たちの20年後の顔が見えていたという。だからこそ、ジュニア当時はスターとして形容しづらい存在だった子たちを見抜き、選び、SMAPや嵐などの国民的スターに育て上げてきた。
この「スターになり得る人材の見抜き方・育て方」が非常に興味深い。
裏表があり、相手を見て態度を変えるような子は、ジャニーさんのお眼鏡にはかなわない。歌でもダンスでも、「できる/できない」ではなく、「やるか/やらないか」が最重要。褒めて伸びる者とけなして伸びる者を見極めて接する。仲間同士で切磋琢磨し合い、デビューを狙って競争させることでさらなる能力を引き出す。
これらは、決してジャニーズの世界だけでなく、ビジネスにも通じる「導く力」なのではないだろうか。
「ジャニー喜多川は、『日本一優秀な採用担当者』でもあるのです」という霜田氏の分析は、まさに言い得て妙だ。
「ジャニーズなのに」が枕詞につくことで、より私たちを魅了する
なぜ、私たちはジャニーズに惹かれるのだろう。
それは、「ジャニーズなのに」期待以上のことをやってくれるから。同時に、「さすがはジャニーズ」という期待も裏切らないから。
この「ジャニーズなのに」という枕詞は、決してディスっているわけではなく、むしろ天井知らずの可能性を秘めているからこそ、使われる言葉だと思う。「ジャニーズなのに」芝居がうまくて、「ジャニーズなのに」芸人以上の笑いがとれて、「ジャニーズなのに」報道番組でも活躍する。だから、気になって仕方がない。
そして、ライブでは、歌って踊ってキラキラ輝く「さすがはジャニーズ」という姿を見せてくれる。お手振りや指差しで、ライブ参戦者のハートを射抜く。
私たちの期待を裏切らず、時に裏切ってくれるからこそ、「ジャニーズ」というブランドは消えないのだろう。これが、私なりに出した結論だ。
それにしても、霜田氏の分析力と比喩力、そしてまとめ論じる能力には感服した。嫉妬すら覚えた。ただ「ジャニーズ」というワードに惹かれて手にとった一冊が、こんなにも良書だったとは。私たちの人生を変えるヒントが溢れんばかりに詰まっている、自己啓発本だとすら感じる。
生粋のジャニーズファンはもちろん、むしろ「ジャニーズなんて…」と毛嫌いしている人にこそ、騙されたと思って読んでほしい一冊である。
【書籍紹介】
ジャニーズは努力が9割
著者:霜田明寛
発行:新潮社
本当の“才能”とは、努力できること。そう、ジャニーズは教えてくれた――。司会や演技に果敢に挑戦する者、アイドルを極める者、人柄を磨く者……努力の仕方は十人十色。厳しい競争を勝ち抜いた、彼らの努力や人生哲学に光をあてる。そして、彼らを見抜き導いたジャニー喜多川の「育てる力」とは? 膨大な資料から本人たちの言葉を選り抜いた、ゴシップ抜きのジャニーズ論。最強エンタメ集団から、人生を変えるヒントを盗む!
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