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2019/12/18 21:45

ひとり月/9000円の食費でいい! 無駄なく食べる『清貧健康美食』とは?

「飽食の時代」「食品ロス」なんてことを聞くことが増えてきました。コンビニに入れば当たり前に食べ物があり、24時間営業の飲食店も増加し、現代を生きていくなかで「食べ物に困る」ということはほとんどなくなりました。

 

総務省が出している2018年の家計調査をもとに算出された一人暮らしの食費平均は4万4606円(参考:https://allabout.co.jp/gm/gc/474992/)とも言われています。それを9000円にしてしまおうというのが『うおつか流台所リストラ術』(魚柄仁之助・著/飛鳥新社・刊)という1冊。

 

こちらは、1994年に出版された魚柄仁之助の2冊の著書を編集・改変したものなのですが、25年経っても変わらない「食べ方」がたくさん掲載されています。「9000円になんてどうやって収めるのよ!」と思ったそこのあなたにこそ読んでほしい1冊なのです。

 

『清貧健康美食』6つの掟

あなたの食費はいくらでしょうか?

 

お恥ずかしながら家計簿をつけていない私…(笑)、パッと一か月あたりの食費が出てこなくて悲しくなったのですが、ちょっと振り返ってみると、ランチ800円×20日、週に1回の夕飯用の買い物3000円×5回、外食1万5000円/月と考えると4.5万円ちょっと。全国平均くらいは使っているんだと実感しました。これを9000円にするって無理じゃない? と私自身も思ったのですが、9000円にするために魚柄さんが提唱する『清貧健康美食』の掟を紹介いたします。

 

①外食をしないこと

②米、麦などの穀物や豆類、それにイモ、ニンジン、ダイコンなどの根菜類をたっぷり取り入れること

③連続性のある食事づくりをすること

④調理時間は極力短くすること

⑤台所道具はなるべく増やさないこと

⑥買う材料と買わない材料を自分流に分けること

 

「ごもっとも」と思ってしまったのですが、いきなりこの6つすべてをこなすのはちょっと難しいですよね。また「結局、手間をかけていかないとダメじゃない? 我が家は共働きなのよ!」と思った方も多いでしょう。私もそう思いました。でも魚柄さんの料理時間は1日65分で、朝食35分(お弁当作りも込み)、夕食30分だけなんだとか。ちょっと興味が出てきませんか? 「できるかも」と思うところからぜひ始めてみて欲しいのです。

 

 

安くて、長持ち! 『清貧健康美食』に大活躍の乾物

『うおつか流台所リストラ術』を読んでいるとしつこいくらいに出てくるのが、乾物です。出汁として使えるのはもちろん、

 

我が家の乾物を列挙してみましょう。鰹節、昆布、煮干し、ワカメ、ヒジキ、スルメ、ホタテの貝柱、寒天、シイタケ、キクラゲ、緑豆、大豆、アズキ、ひたし豆、白花豆(白インゲン豆)、緑豆春雨、麩、凍豆腐(高野豆腐)、かんぴょう、切り干しダイコン、割干しダイコン、板海苔、青海苔、姫エビ、干しエビ、ちりめんじゃこ、身欠ニシン、サンショウの実、ローレル、ユズ皮、ミカン皮、リンゴ皮、干しアンズ、干しプルーン……。おもなものだけでもこのくらいです。

(『うおつか流台所リストラ術』より引用)

 

無茶苦茶多い!!

 

乾物はスーパーで購入すると「ちょっと高いのでは?」なんて思う人も多いかもしれませんが、築地や上野などの乾物専門店に行くと1キロ単位ですがかなりお安く購入できます。魚柄さんの家では、煮干しは毎月82円、昆布は毎月275円しかかかっていないのだとか!

 

乾物は「サッと使えない」というイメージがあるので、なかなか毎日の食事に追加するのは手間のように思うのですが、お味噌汁の出汁を作るなら、鍋に昆布と煮干しを入れておくだけでいいし、高野豆腐も煮物の余った汁に入れておけば美味しい煮物に変わっちゃう等、「ほったらかし」で美味しくなるものばかり。

 

『うおつか流台所リストラ術』には、上手に手間をリストラした活用方法がたっぷりと、しつこいくらいに(笑)紹介されています。私も早速、煮干しをドーンと購入し、毎日の出汁に使っています。実際にやってみると、出汁の粉を入れているよりも美味しいし、慣れてしまえば手間だとも思えないほど簡単でした。やってダメならやめればいいので、まずは乾物ワールドに一歩踏み入れてみるのもいいのではないでしょうか?

 

 

健康は「○○を食べるだけで」では手に入らない

最近では、テレビや雑誌で○○は体にいいとか、効果が期待できると、食材が取り上げられ、それだけを食べるような生活をする人も中にはいるようです。健康になりたいのは誰もが同じ願いだと思いますが、魚柄さんも「○○ばかり食べている」という短絡思考は危険だと語られています。

 

短絡思考の基は、感情によるものが多いようなのです。

そうではなく、事実というもの、科学というものを冷静にとらえる目が大切だと思います。食べものなど何も気にせずムチャクチャな食べ方をして、それでも元気いっぱいの老人だっています。栄養学的にはまったく理解できないような人たちに共通しているのは皆、何かしらの目的を持って、非常に前向きな、積極的な生き方をしているということです。

(『うおつか流台所リストラ術』より引用)

 

料理本や健康本を読んでいると、「○○だけ」という表記が多く見受けられますが、実際の生活で大切なのは、毎日続けられることなんですよね。『うおつか流台所リストラ術』は、413ページの文庫本ととてもボリューミーな内容ですが、暮らしの中で大切なことにたくさん気がつかせてくれます。

 

すぐに来月から9000円! というわけにはいかない人が多いかもしれませんが、できることから始めて、少しずつ『清貧健康美食』にシフトすることができれば、気がついたら毎月の食費は9000円でしたとなるのではないでしょうか? 短絡的な思考にならないよう、自信を持って日々を過ごすためにも、『うおつか流台所リストラ術』は参考になることばかりです。

 

【書籍紹介】

 

うおつか流台所リストラ術

著者:魚柄仁之助
発行:飛鳥新社

健康美食の基本技術。何をどう食べればよいか、食生活改善30年継続の実績!身近な食材だけを無駄なく食べつくす、家庭料理の極意。

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