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2019/11/20 21:45

ミッツ・マングローブの語りで振り返る愛と郷愁の「平成」――『熱視線』

「年末ですね」なんて会話がちらほら囁かれるような時期になりました。

 

「年末くらい平成を振り返りたいなー」という方にオススメなのが、ミッツ・マングローブさんの『熱視線』(ミッツ・マングローブ・著/朝日新聞出版・刊)。これは、2016年5月から週刊朝日で始まった連載「アイドルを性(さが)せ!」を書籍化したもので、ミッツさんが熱視線を送るアイドルや政治家、有名人について綴ったエッセイ集です。時代を彩る有名人たちを、ミッツさんはどのような視線でみているのか? それを覗き見るだけでもユニークで新たな気づきを提供してくれます。今回はそんな『熱視線』からおすすめのコラムを抜粋してご紹介します!

 

覚えていますか? 去年の紅白歌合戦

年末といえば、紅白歌合戦。70回目を迎える今年の出場歌手もすでに公表されました。五木ひろしさんは49回目、石川さゆりさんも42回目の紅白となるそうで、3つの時代を歌い続けるすごさを数字からも感じ取れます。ミッツさんは、今年の年明け一発目のコラムで、平成最後の紅白歌合戦について語っていました。

 

いずれにせよ「平成最後と謳った割に昭和感が強過ぎ」と感じた人も少なくないようで、何かにつけ昭和にありがたみを見出し、事あるごとに「昭和が終わった……」と嘆き続けてきたのが平成だとすれば、そんな30年が終わろうとしてもなお、「昭和はまだまだ終わらねぇぞ!」という事実が立証された、そんな紅白だったのではないでしょうか。

(『熱視線』より引用)

 

サザンが出て、ユーミンが出て、サブちゃんが出て……確かに、昭和を引きずっていましたよね(笑)。さらに令和になった今年、なんとAI技術で蘇った美空ひばりさんが出場するとかしないとか……。令和になっても昭和の大スターを出しちゃうという演出! NHKのサイトで選考基準を見てみましたが、今年の活躍・世論の支持・番組の企画や演出の3点から総合的に判断して決めていると書かれてありました。

 

音楽の配信方法や聞き方も変化し、オリコンチャートよりもYoutubeの再生回数が重視される時代になっても、世論は「昭和」を忘れられないというのがあるんでしょうね。国際中継や派手な演出で頑張りながらも、昭和スタイルから抜け出さない紅白。今年から違った見方をしてしまいそうです(笑)。

 

 

そんな昭和を追いかけた”平成”を象徴する『ちびまる子ちゃん』

もうひとつ平成を語る上で忘れられないカルチャーといえば、アニメではないでしょうか? 平成とアニメの歴史はきってもきれず、多くの名作とコスプレや同人業界など多くの礎を築いた時代とも言えるでしょう。そんな平成を代表する『ちびまる子ちゃん』もミッツさんの視線から覗いてみると、「確かに」とうなずけることを教えてくれます。

 

先日、『ちびまる子ちゃん』の作者さくらももこさんが亡くなりました。美空ひばりさん(平成元年逝去)もそうでしたが、時代を代表する才能や存在は往々にして「何もそこまできっちりしなくても」と言いたくなる駆け抜け方をします。さくらももこさんもまた、平成に無頓着だった私に「平成はここにいたよ」と旗印を付けるかのように逝ってしまった。何よりも、これがある意味『ちびまる子ちゃん』で描かれている家族の未来だという事実がたまらなく辛い。

(『熱視線』より引用)

 

これを読んで思い出も引き出され、ウルウルとしてしまいました。私も幼稚園の時に、なぜか3巻くらいの中途半端な漫画『ちびまる子ちゃん』を1冊だけ買って、「私も大人だな〜」なんて思っていたことがありました。1990年から始まったアニメ『ちびまる子ちゃん』を見ていた時は、5歳。小学3年生になるのを夢見ながら「ガーン」とか「ひでき〜」とか「いけずぅ」を真似していたことを思い出します。自分の思い出とリンクできるってこう考えると幸せですよね。なんだか平成が愛おしく感じられるようになりました。

 

 

ミッツさんの視線で世の中を見ると、世界が広がり楽しくなる

『熱視線』には、今をときめくアスリートから、歌手、芸人まで75本のコラムが掲載されています。ミッツさんから見たマツコさんの話は、無意識を意識させられるするどい視点が書かれてあるし、今や大人気スターとなった星野源さんについても「なるほど」と思ってしまうような視点で綴られています。

 

本書の冒頭文には、「これを読んでミッツと語り合いたいなんて死んでも思わないでください」と書かれてあるのですが、読み終わったらほとんどの人が「語りたい」と思ってしまうはず。

 

だって誰もが知っているあの人やこの人をそんな視線で見ているなんて、語らずにはいられないですもん! 読めば読むほど語りたい欲求が高まってしまうので、近々ミッツさんのお店『来夢来人』に足を運んでしまいそうな私です。平成から令和に変わった今年、「今」という時代をどう切り取るのか、そして今までどう切り取られてきたのか、ミッツさんが歩んできた軌跡を知りながら、自分の人生も振り返ってみるととても楽しく前向きになれること間違いなしです!

 

【書籍紹介】

熱視線

著者:ミッツ・マングローブ
発行:朝日新聞出版

歌手、タレント、アスリート、俳優…“斜め上から目線”でつづる、いまあの人が輝くワケ。“斜め上から目線”でつづる、いまあの人が輝くワケ。

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