対人スキルについて考えてみる。まったく自信がないわけではないが、絶対的な自信があるわけでもない。ただ自分から譲る、あるいは自分が折れることが少なくない。仕事でもプライベートでもよくあるシーンで体験する感覚について、よりよい形で理解したい。
こんな“思い当たる節”ありませんか?
〇なにかと自分を責めて「ダメ出し」する癖がある
〇仕事でも恋愛でも「無理してがんばりすぎてしまう」ことがある
〇なにかと自分を「追いつめる癖」がある
〇他人の期待に「過剰に応えようとしてしまう」ところがある
〇仕事や恋愛をがんばっているのに「報われない思い」がある
『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』より引用
『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』(根本裕幸・著/ディスカバー・トウェンティワン・刊)のプロローグには、14項目の“思い当たる節”が示されている。筆者の場合、上記の5つが当てはまった。
14の項目に共通するのは“罪悪感”だという。著者の根本裕幸さんは、カウンセラーという立場からさまざまな顔を持つ罪悪感の本質を解き明かし、手放し、自分を許すための方法を研究してきた。
明らかににだれかを傷つけてしまったというようなわかりやすい罪悪感ならば自覚できるのですが、そうでない罪悪感の場合、自分にそれがあることに気づいていないこともとても多いのです。
『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』より引用
筆者は押しが強い性格ではない。前述の通り、自分から譲ったり折れたりすることが多いタイプの人間だ。ただ、こうした姿勢がたとえ一部であっても罪悪感とリンクしている可能性については全く考えたことがなかった。自分を含めた誰か、あるいは何かに対して自覚できない形で罪の意識を抱いているということなのか。
相手本位で考えてしまう姿勢
どう考えても相手に非があるケースであっても、一瞬の感情の沸騰の直後、筆者のどこかにある自分を卑下する思考回路が動き出す。「どうせ自分なんか」というすねた感覚ではない。「ああ、ほかにもやることがあって忙しいんだろうな」という風に思ってしまう。いや、無意識のうちにそう思うよう仕向けることで余計な感情を抑え込もうとしているのかもしれない。
すべてを解き明かすキーワードは“罪悪感”なのか。その本質はどんなもので、どこから来るのだろうか。読み進めていこう。
罪悪感と愛は表裏一体
さまざまな様相で現れる罪悪感と、それに対する根本さんのスタンスは明らかだ。
罪悪感はちょっとしたことで生まれる感情ですので、それをすべてなくすことは提案していません。しかし、その罪悪感の裏側にある「愛」に意識を向けることで、私たちは自分を肯定し、ゆるし、そして、ずいぶんと生きやすくなるのです。
『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』より引用
罪悪感と愛が表裏一体であることが明らかになったところで、章立てを見ておこう。
・STEP1 なぜ私たちは、罪悪感を抱くのか?
1 罪悪感とは「自分は罰せられるべきである」と思い込む感情のこと
2 罪悪感の16の兆候と7つのタイプ
3 罪悪感が引き起こすさまざまな行動や問題・STEP2 今の罪悪感をすーっとなくす、自分の許しかた
・STEP3 罪悪感から解放された「ゆるし」の事例
罪悪感は「自分が悪い」「自分のせいだ」という明らかな形のものから、潜在意識の深い部分に潜んで自分を罰するように働くものまでさまざまある。筆者の場合、常に「自分が悪い」とか「自分のせいだ」と思うわけではないし、逆に相手がすべて悪いとは感じない。いや、先に述べた通り、無意識のうちにそうしようとしているのかもしれない。ならば、罪悪感に対する感情のインベントリーが必要となるだろう。
罪悪感はあえて否定しない
そういう過程を必要以上に難しくとらえることはなさそうだ。エピローグに、次のような言葉がある。
罪悪感を排除するために血道を上げるよりも、その感情と上手に付き合っていく方法を会得するほうが、より簡単に幸せになると考えています。
『いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本』より引用
そこにある感情はそのまま認め、特にネガティブな意識を持つことなくいればそれで問題ない。ネガティブな意識に真正面から反応し、駆り立てられるように排除しようとすれば、そればかりに心を奪われるということなのだろう。
自分の思いが認められるだけで楽になることがある。この本は、筆者にそんな一瞬を与えてくれた。根本さんの言葉で気が楽になる人は、かなり多いはずだ。
【書籍紹介】
いつも自分のせいにする罪悪感がすーっと消えてなくなる本
著者:根本裕幸
発行:ディスカヴァー・トゥエンティワン
罪悪感を手放し、自分をゆるすための方法とは? 予約の取れない人気心理カウンセラーによる、読むだけで癒される本。