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2020/3/10 21:45

宮沢賢治は春画コレクター! 川端康成は借金大王!!――『文豪どうかしてる逸話集』

日本の文学賞として有名なものが「芥川賞」と「直木賞」です。毎年選考の季節になると、マスコミを賑わせているのはご存じでしょう。

 

この2つの賞を作ったのは、文藝春秋を創設した小説家の菊池寛。芥川賞は純文学を対象としたもので、芥川龍之介の名前を冠しています。直木賞は、大衆小説を対象としたもので、直木三十五の名前を冠しています。二人とも菊池寛の友人で、菊池が二人の名前を後世に残すために作ったのがこの2つの賞なのです。

 

年齢とともに変わるペンネーム

直木三十五。読み方は「なおきさんじゅうご」です。本名は植村宗一。なぜ「直木」なのかはわかりませんが、「三十五」というペンネームにはそれなりに意味があります。その理由は『文豪どうかしてる逸話集』(進士素丸・著/KADOKAWA・刊)に、このように書かれています。

 

直木三十五のペンネームは、31歳の時に三十一として以降、年齢を重ねるごとに三十二、三十三と改名し、35歳の時に「いい加減にしろ」と菊池寛に怒られて、直木三十五で定着した。

(『文豪どうかしてる逸話集』より引用)

 

年齢とともにペンネームを変えるなんて、かなりおもしろい発想ですが、毎年ペンネームが変わるのは作家としてはどうなのだろうと思ってしまいますね。ただし、その才能は素晴らしいもので、43歳という若さで亡くなった彼の才能を惜しんだ菊池寛は、後に直木賞を作ることになります。

 

 

天才童話作家も性欲には勝てなかった

『文豪どうかしてる逸話集』は、このような文豪の裏話的な話が満載の作品。難しい話はほとんで出てこないので、ちょっと時間のあるときにパラパラっと読めます。文学に詳しい人はもちろん、文学に詳しくない人でも楽しく読めます。

 

いくつか文豪のエピソードを紹介しましょう。天才童話作家の宮沢賢治は、生前は学校の教師をしながら作品を書いていましたが、作品が認められたのは死後のこと。基本的には質素でストイックな生活をしていた人と思っていましたが、なかなか人間臭いエピソードもあるようです。

 

たとえば、彼は「性欲は人をダメにする」と言っていましたが、実は春画のコレクターだったとのこと。また、海外の過激な内容の発禁本の原書まで読んでいたそう。しかし、その本が友人に見つかります。

 

この本を友人に見つかった賢治は、
「いや違うし! 子供たちが間違いを起こさないように教えたいと思って買っただけだし!」
「こんなの大人の童話みたいなもので、全然たいしたことないし!」
「てか、誰かを傷つけるわけでもないし! 別に悪いことしてないし!」
と、ひらすら中学生みたいな言い訳をした。

(『文豪どうかしてる逸話集』より引用)

 

口調はそのままじゃないでしょうが、あわてて言い訳している宮沢賢治の姿が目に浮かぶようで、たいへん微笑ましいですね。

 

 

ノーベル文学賞作家は借金でもノーベル賞クラス

明治から大正、昭和にかけての文豪というのは、結構破天荒な人が多かったよう。夏目漱石一門である内田百閒も、かなりの人物。大学で教えていた百閒ですが、お金には無頓着だったようで、借金のことを「錬金術」と呼んでいたそう。

 

借金に関しては、川端康成も相当なもの。「金はあるときに払えばよい」という考え方で、ツケや借金をしても返さないのが当たり前という人だったようです。まったく面識のない出版社に行き、当時のお金で2000万円の借金して壺を買ったり、ノーベル文学賞の賞金をあてにして約1億円の美術品を買ったり(ノーベル文学賞の賞金は2000万円)と、桁違いな浪費癖があったようです。

 

また『伊豆の踊子』を執筆する際に伊豆・湯ヶ島の「湯本館」にしばらくの間滞在した川端だったが、この時の宿代数カ月分も1円も払わなかった。

(『文豪どうかしてる逸話集』より引用)

 

こういう人がノーベル文学賞を受賞しているのですから、才能というのはすごいものですね。

 

本書は、このようなエピソードがてんこ盛りとなっています。もしかしたら、あなたの大好きな文豪も載っているかもしれません。そして、意外な一面を知ることができることでしょう。通勤通学のお供に、ちょっと知的な(?)時間つぶしにいかがでしょう。

 

 

【書籍紹介】

文豪どうかしてる逸話集

著者:進士素丸
発行:KADOKAWA

素晴らしい作品を生む人間が必ずしも素晴らしい人間とは限らないし、またそうある必要もない。読んだらもっと好きになる、文豪たちのかわいくて、おかしくて、“どうかしてる”エピソードを、一挙ご紹介します。

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