世界的に有名な私立探偵といえば、やはりシャーロック・ホームズでしょう。僕は小学生のときにシャーロック・ホームズを読み、それ以降数年に1度全話読み返すということをしています。何度読んでもおもしろい。僕の読書好きの原点となった作品群と言えます。
なかなか面白そうなパスティーシュたち
シャーロック・ホームズの正典(作者のコナン・ドイルが記した作品)は、長篇4作、短編56作の60作品(このほか数本の経典外の作品あり)。しかし、世の中のシャーロキアン(シャーロック・ホームズの愛好者や研究者の総称)は、その正典だけでは飽き足らず、シャーロック・ホームズ作品を原案とした作品、いわゆるパスティーシュ作品も楽しんでいるようです。
僕が知っているシャーロック・ホームズのパスティーシュといえば、テレビアニメの『名探偵ホームズ』と、ゲームの『大逆転裁判』くらい。あまりパスティーシュのほうには興味がありませんでした。
しかし、『シャーロック・ホームズ語辞典』(北原尚彦・文、えのころ工房・絵/誠文堂新光社・刊)を読んでみると、パスティーシュのバラエティが豊富でおもしろそうなんです! 本書で紹介されている、興味深いパスティーシュ作品を挙げていきたいと思います。
●『漱石と倫敦ミイラ殺人事件』/島田荘司
国産ホームズ・パスティーシュではかなり初期のもの。ホームズが活躍していた時代に夏目漱石がロンドンでホームズと出会い、事件を解決するという物語。
●『ホームズは女だった』/中川裕朗
「メチャクチャ面白い」と評されている作品。前半が研究評論、後半がパロディ作品2篇という構成だが、前半も正典に登場する人物たちが登場するとのこと。
●『名探偵カマキリと5つの怪事件』/ウィリアム・コツウィンクル
ホームズの動物パロディはいくつかあるが、その中でも異質な昆虫パロディ。5篇収録されていますが、その中でもイモムシの頭部が入った琥珀にまつわる「イモムシの頭の怪事件」が気になる!
●『名探偵シャーロック・ホームズボン』/三田村信行
ホームズのズボンが意思を持ち探偵業を行うという、かなり斜め上な設定の作品。設定は異質だが、「日本産・ジュヴナイル・パスティーシュの傑作のひとつ」と称されています。
このほかにも、国内外のさまざまなホームズ・パスティーシュ作品が取り上げられていますので、ご興味のある方は本書を読んでみてください。
ホームズの映像作品にも興味が出てきた!
本書は、シャーロック・ホームズにまつわる用語事典となっています。シャーロック・ホームズが好きな人はもちろん楽しめますし、映画などで現代版シャーロック・ホームズを知った人にとっても、楽しめる内容です。
実は僕は、シャーロック・ホームズ関連の映画を見たことがありません。元々映画を見るという趣味がないことと、原作が好きなのでそれ以外にはあまり興味がないというのが主な理由です。
しかし本書を読んでみると、2010年にBBCが製作したテレビドラマ『SHARLOCK/シャーロック』や、2011年公開の映画『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』などの近代のものや、過去の映像作品などにも興味が出てきました。
これからは、パスティーシュ作品や映像作品などを通じて、今までよりもさらにシャーロック・ホームズの世界をより深く楽しんでいきたいと思います。
【書籍紹介】
シャーロック・ホームズ語辞典
著者:北原 尚彦、えのころ工房
発行:誠文堂新光社
「正典」「登場人物」「登場アイテム」「関連作品」「関連人物」など、シャーロック・ホームズにまつわる言葉を50音順に並べた、マニアから初心者まで、多くのファンが楽しめる情報が詰まった本。