本・書籍
2020/5/12 21:45

相手の気持ちや空気を読みすぎてしんどい——そんな「HSP(繊細さん)」のストレスケア法とは?

周囲の人が気づかないような細かなことまで気がついて、ひどく疲れてしまう。そんなことはないだろうか。たとえば筆者の場合だと、

 

・なんだか、今日の○○さんは機嫌が悪い気がする。私、なにか変なこと言ったかな……。

・まだ飲み会は続きそうなのに、あの人ちょっとしんどそうだな。うまいことお開きになるよう持っていかないと。

・取引先に提案書を送ろうとメールを書いていたら、リスク回避のためにはこの点もあの点も気になる、補足を入れておかねば! なかなかメールが仕上がらない。私って仕事遅いかも。

 

といったことが多々ある。

 

特に、同じ空間にいる人の些細な顔色の変化や機嫌が気になって、その空間に居づらくなったり、余計なことを考えてしまったりしがちだ。

 

単にいろいろ気にしすぎ、細かすぎる性格だと思っていたら、どうやら「HSP」という気質、特性らしい。このことを『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』(武田友紀・著/飛鳥新社・刊)で知った。

 

 

5人に1人が当てはまる「HSP」とは

HSP(Highly Sensitive Person)とは、「人一倍繊細な人」という意味を持つ、気質をあらわす言葉のひとつ。アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士によって名付けられた。

 

「生まれつき繊細な人」は、性格や環境によってそうなったのではなく、生まれ持った気質で、なんでも5人に1人の割合で存在するとのこと。

 

病気ではないので、自分がHSPだからといって特別な治療をしないといけないわけではない。けれども、もし、なんらかの生きづらさを感じているのであれば、もう少しラクに生きられるテクニックを身につけたほうが良いだろう。

 

かくいう私も、アーロン博士によるHSP診断を試してみると、案の定バリバリのHSPだということがわかった。

 

実は、『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』の著者である武田氏も、自身がHSPなのだそう。そして、HSPのことを親しみを込めて「繊細さん」と呼ぶ本書には、どうしてもストレスを溜め込みがちな繊細さんが、生まれ持った力を活かし、元気で幸せに生きるためのノウハウが描かれている。

 

 

五感別「繊細さん」のストレスケア

他人の感情やわずかな物音、かすかな光などからも刺激を受けて疲れやすい繊細さんにとって有効なのは、自分のメンタルが左右されるノイズをできるだけ小さくしておくことだと武田氏。

 

たとえば、目から情報を取り入れやすい人の場合は、メガネやコンタクトの度を落として見えるものを必要最低限に抑えるのが対策の基本だという。なかには、視力は良いけれど、どうしても余計なものまで見えすぎてしまうので、伊達メガネをかけてレンズを1枚挟むことで、刺激を小さくしているという人も。

 

ほかには、音に敏感すぎる人の救世主は耳栓、触覚が鋭い人は肌触りの良い物を身にまとう、臭いに参りやすい人はアロマなど心地よい香りで自分を包む……といった具合だ。あらかじめ刺激から身を防御しておくことで、ストレスがぐっと軽減できる。

 

五感には入らないかもしれないが、部屋に置かれているモノの気配でストレスを感じる場合もある。確かに私も、引っ越し前後のダンボールだらけの部屋で寝ていると、圧迫感がものすごかった記憶がある。そんな人は、部屋を整理整頓することで余計な圧を防げるかもしれない。

 

そして本書で一番「そうか!」と感銘を受けたのが、いろいろな刺激で疲れたときの休息法。

 

まずは、体が感じるストレスに耳を傾けて、しんどくなってきたらしっかり休むことが第一。でも、家族がいる場合は「本当は寝室にこもってゆっくり休みたいけど、家族が心配しそう」「ママはどうしたの? なにかあった? と夫や子どもたちが気にしちゃいそうで、なかなか休めない」という、別の不安が湧いてくるのもまた事実だ。

 

そんなときは、「今日は仕事で忙しくて疲れたから、部屋で休んでくるね」とざっくりした理由を伝えてから休むのが良いと武田氏は述べる。

 

そうすることで、「自分が休むという行動を取ることで、家族の誰かが嫌な思いをしないかな?」という心配が減り、心置きなく休息がとれるのだそうだ。これは、まさに週末の自分を見ているかのようなケースなので、ぜひ実践してみたい。

 

 

ありのままの自分を出せば、生きることがラクになる

『「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる「繊細さん」の本』には、繊細さんと非・繊細さん(HSPではない人)、そして繊細さん同士がうまくやっていくパートナーシップのコツなども描かれているから必見だ。

 

そしてなにより、同じように共感しあえる繊細さん仲間を見つける一番の近道は、ありのままの自分を出すということ。私の経験上、繊細さんは自分よりも相手を優先しがちなため、求められている自分像を演じてしまいがちだと思う。

 

けれど、「表に出している自分」に合う人が集まってくることが、人間関係の基本構造だと武田氏。そのため、自分を出さないように「殻」をかぶっていると、その「殻」に合う人が集まってくるので、本当に自分とフィーリングが合う人に出会うことが難しくなる。

 

素の自分を出していれば、自然体の自分を好きだという人が集まり、居心地が良い空間が作れる。故に、格段にストレスが減り、生きやすくなるのだ。

 

いきなり「ありのままに生きる」のは難しいが、少しずつ素の自分を出していけたらと切に思う。

 

おそらく、我が家の長男も繊細さんだと睨んでいる。この先、できるだけ彼が生きづらさを感じないように、繊細さんの先輩として本書を手引にサポートしていきたい。

 

【書籍紹介】

「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる  「繊細さん」の本

著者:武田友紀
発行:飛鳥新社

「まわりに機嫌悪い人がいるだけで緊張する」「相手が気を悪すると思うと断れない」「疲れやすく、ストレスが体調に出やすい」「細かいところまで気づいてしまい、仕事に時間がかかる」そんな「繊細さん」たちから、「人間関係も仕事もラクになった!」と大評判。予約殺到の「HSP(とても敏感な人)専門カウンセラー」が教える初めての本!

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