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2020/6/12 21:45

お金の使い方が変わる!?——『2025年、人は「買い物」をしなくなる』

新型コロナウイルスの影響で日本の4月の消費は大幅に減少しました。そのなかで前年と比べ90%以上もの下落をみせたものは、パック旅行費、遊園地入場料、映画・演劇などの文化施設入場料、航空運賃、そして外食による飲酒代でした(総務省調べ)。外出できず、レジャーも遠出もできず、施設も休館していたため、お金をそうした方面に使うことができなかったのです。

 

 

その一方で、増えた支出もあります。60%以上もの急増を見せたのは、パスタなどの保存食、パソコン、ゲームといった、巣ごもり生活に必要な品でした。多くの人が外出を控えていた状況だったので、街を気軽に歩き、少し喉が渇いたらカフェでお茶をする、というような、今まで当たり前だったことにお金を使えなかったのです。

 

 

おうちライフは充実したけれど

先行きの不安から、お金を出来るだけ使わず貯金するようにしたいという人も少なくありません。日本人の平均貯蓄額はすでに2019年の時点で1512万円と過去最高を記録し、貯蓄理由に半数以上が「いざという時のため」と答えています(明治安田生命調べ)。たび重なる災害に備える気持ちもあるのではないでしょうか。

 

 

買い物をしなくなる予測の理由

2019年11月に出版された『2025年、人は「買い物」をしなくなる』(望月智之・著/クロスメディア・パブリッシング・刊)は、デジタルマーケティングに長けた著者が今後の人々の消費行動を具体的に予測しています。人々は買い物をしなくなると言い切る理由のひとつに「所有をしなくなる」があります。

 

近ごろはサブスク全盛期。映画や音楽もDVDやCDを単品購入するのではなく、見放題、聴き放題のサイトに登録し、シチュエーションや気分によって使い分け、楽しむ人が増えています。これらのサービスはサイトにアクセスした時に鑑賞できるもので、所有しているわけではありません。また、高級バッグや車なども、購入ではなく、定額でレンタルする人が増えています。飽きたら別の品物に交換もできるので、消費者からすればありがたいシステムでもあるのです。

 

つまり、お金を全く使わなくなるのではなく、消費者の行動が「購入」から「サブスク(定額制)」や「レンタル」に変化するということなのです。すっかり浸透したフリマサイトも、著者に言わせると一種のレンタルなのだとか。使って飽きたらまたフリマサイトで売却する人も多いので、確かに所有感覚は減っていると言えるでしょう。

 

 

お金の使いかたの変化

本書には、ネットショッピングのさらなる普及や、あらゆるものにショッピング機能が付くようになるという予測もされています。確かに今やインスタグラムのファッション画像にショッピングサイトへのリンクが貼られていて、いいなと思ったら即購入ができるようになっています。

 

逆に言えば、ネットで上手に拡散すれば、小さな島に住んでいる誰かの手作りの品物に世界中から注文が入るという、夢のような時代になっています。ということは、都心に住まなくてもできるビジネスが増えているということです。自分がどこで何をしたいか(売りたいか)という目的意識をしっかり持つことこそが、今後は大切になってくるのでしょう。

 

 

【書籍紹介】

2025年、人は「買い物」をしなくなる

著者:望月智之
発行:クロスメディア・パブリッシング

ショッピング体験の発展で、人々は「買い物」をしなくなる。もちろん、お金を支払って何かを買うことがなくなるわけではない。なくなるのは、これまでの買い物におけるさまざまなプロセスだ。店に行くことや、現金を用意すること、商品の現物を見ること、さらには商品を自分で選ぶことも含まれる。その過程で私たちを待っているのが、本書で詳しく述べる「デジタルシェルフ」である。

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