本・書籍
自己啓発
2020/8/10 21:45

なぜ人は「自分にしかできない何か」を求めるのか?−『残酷すぎる成功法則』

日本では、高度成長時代に1億総中流などと言われていた。人並みの生活を送れることで人々は満足できていたのである。けれど、近年、多くの人が中流以上の暮らしを望むようになっているという。それはなぜだろうか。

 

占いに訪れる「才能探し」の人々

都内で鑑定する占い師によると、最近女性たちの相談内容に明らかな変化が生じているという。今までは90%が恋愛運を尋ねてきたのに、近頃は恋愛運は50%と下がり、仕事運を聞かれることが増えているという。なかには「恋愛はもういいから仕事運だけお願いします」と言う女性もいるという。

 

仕事運を求めるどの女性も「今の仕事が平凡でつまらない。私の才能を生かせる仕事をしたい」と訴えてくると言う。そして「自分にどんな才能があるのかわからないので占って欲しい」のだとか。特に何かを専門に学んだわけでもなく、ごく普通の仕事を10年以上勤めてきた女性たちにその傾向が強く、「自分にしかできない何か」を求めているという。

 

ユーチューバーになりたい子どもたち

3年ほど前から、小中学生のなりたい職業ランキングにしばしばYouTuberがランクインするようになった。インスタグラマーへの憧れも強い。自分の思いや世界観を自分の言葉で発信することが高額収入を得ることがあるので、自由度の高い仕事だと感じるのかもしれない。

 

しかし大金を得ている発信者はごくわずかだ。後追いの人は、視聴者の奪い合いになっている。始めたばかりの配信者は、わずか100人の登録者すら集めることが難しいと嘆き、動画を面白おかしく編集するための作業に深夜まで追われて疲れているという。けれど多くの人は人気配信者の様子ばかりを見て、自分も活躍できるかもしれないと考えてしまうのだ。

 

成功者の存在は負けず嫌いを刺激する

残酷すぎる成功法則』(エリック・パーカー・著/飛鳥新社・刊)では、アメリカの人気ブロガーが多くの成功法則を探究し、数字などの具体例を挙げ、掘り下げて考察している。時には痛烈に批判し、時には納得できる事例を示すなど、リアルな解説がとても興味深い。

 

そして本書でも、近年、大きな成功を求める人が大勢出てきていると書かれている。私たちはメディアやネットの発達により、20代で大成功したシリコンバレーの億万長者の生活を知ることができるようになった。それにより「もっと才能にあふれ」「もっと幸福な」人がいるという一種の悔しさを味ってしまったのだ。

 

世界のトップを目指すこと

本書によると、今まで人間は100人ほどの小集団の中で、自分の役割を見出してきたという。確かにその集団の中で「歌が一番うまい」「パン作りの達人」など、自分のアイデンティティを満足させられる何かを見つけられていたのだろう。そして、それぞれの得意なものを集団の中で生かすこともできていたはずだ。

 

けれど、ネットや交通網の発達により「もっと上の存在」がより身近に感じられるようになってしまった。負けず嫌いな人ほどトップ・オブ・トップを目指し、頑張ってしまう。最近、世界を目指す日本人がとても増えた。日本一だけでは満足しない向上心はとても素晴らしいことだ。けれど、世界一になれるのは世界でたったひとりだけなのである。

 

ニッチなナンバーワンであること

では、世界一になれなかった多くの人たちはどう生きるべきなのだろうか。本書では、もっともっとと際限なく求めてしまうと、そこにゴールはないと言う。世界一になったらそれをキープしなくてはならず、そうした生きかたばかりしていたら人は疲弊してしまうかもしれない。

 

もしかしたら一番いいのは、ニッチなナンバーワンになることかもしれない。たとえば「自分はこの郷土料理のアレンジなら誰にも負けない」などだ。ニッチな世界で自尊心を満足させれば今を幸せに感じられるようになるかもしれない。

 

まずは自分の今までを振り返り、得意なことを自分自身で探してみることだ。それは「私の本当の才能は何?」と占い師に尋ねるよりもずっと納得できる結果を生むはずだ。

 

【書籍紹介】

 

残酷すぎる成功法則

著者:エリック・バーカー
発行:飛鳥新社

目標達成のために不可欠な要素として世間一般で広く信じられてきたことの多くは、手竪くて正論だが、今や完全に間違っている。本書ではそうした神話の長所、次いで反論や矛盾を取り上げる。裁判のように賛否両論を検証、最もプラスになる結論を導きだしていく(序章より)-「エビデンスがなければ成功法則じゃない」と自己啓発本のあり方を変えた衝撃の書。

楽天koboで詳しく見る
楽天ブックスで詳しく見る
Amazonで詳しく見る

TAG
SHARE ON