本・書籍
2021/2/4 20:00

なんで?「学研の図鑑 スーパー戦隊」のウラ側を、担当者に聞いた!

1月15日に、なんとも興味深い出版物が販売されることがリリースされました。参考書や児童書などを出版している学研プラスが「学研の図鑑 スーパー戦隊」を発売するというもの。学研の図鑑というと、恐竜や昆虫・植物といった「ザ・図鑑」でお馴染みですが、一体どんな本なのでしょう? そして、なんで戦隊に特化した図鑑が? 担当編集者に聞いてコメントをもらいました。

↑「学研の図鑑 スーパー戦隊」3300円(税抜/4月8日発売) (c)2021 テレビ朝日・東映AG・東映 (c)テレビ朝日・東映AG・東映 (c)石森プロ・東映 (c)東映

 

同書は、「秘密戦隊ゴレンジャー」から最新の「機界戦隊ゼンカイジャー」までの全45スーパー戦隊がたっぷりと楽しめる一冊で、約300の戦士を図鑑の体裁で解説し、約270の強化形態までわかりやすいイラストで紹介した図鑑です。ロボット、乗り物、メカ生命体などが、それぞれ何とどのように合体して合体ロボが完成するのかが、ひと目でわかる相関図をスーパー戦隊ごとに掲載しています。ガチに本格的なやつですね。

 

また、2020年に創刊50周年を迎えた「学研の図鑑」の、図鑑づくりのノウハウが駆使されており、「くらべてみよう」という比較ページやメカの透視図など、大人も子どもも、好奇心を刺激する仕掛けがいっぱいです。

 

発表時からネットを中心に話題となった同書の、編集を担当した、学研プラス コンテンツ戦略室・芳賀靖彦さんに、同書のきっかけなどを聞きました。

 

きっかけは“キン肉マン”だった!?

―― なぜ今回、スーパー戦隊の図鑑をつくろうと思ったんですか?

 

芳賀靖彦さん(以下、芳賀) 『学研の図鑑 キン肉マン「超人」』を発売したときに、自分のオタク魂の結晶が人々を喜ばせることができるんだと知り、非常に感激しました。そんなときSNSで「自分の好きなマンガやアニメにも、超人図鑑のような編集者がいればいいのに」という意見を見かけ、そんな人たちのためにも図鑑をつくってあげたいと思いました。

 

レトロな「学研の図鑑」と相性がよいコンテンツといえば、すぐに「スーパー戦隊」しかない! と思ったのですが、実現を決定づけたのは、非常に強力な心当たりがあったからです。

 

それが本書の監修を務める松井 大(まつい ひろし)さんです。松井さんは、2004年から(株)企画者104で「特捜戦隊デカレンジャー」以降(※企画参加は2003年から)のすべての「スーパー戦隊」作品に資料担当として携わっている“スパ戦愛”あふれる男なのですが、私と同じ「キン肉マン」好きということもあり、もう18年の長きにわたって親しくさせていただいています。

 

その松井さんと、やはり「スーパー戦隊」のキャラクターデザインでおなじみのイラストレーターK-SuKeさんと、超人図鑑を酒の肴に会食した際に、「ぜひ、スーパー戦隊図鑑をつくろう!」という話で盛り上がり、企画を立案するにいたりました。

 

―― 現在の製作状況はどんな感じでしょうか?

 

芳賀 現在は、第4校を校正中。文字の赤字落としを進めながら、漏れていたイラストの追加や修正を鋭意進めております。

 

―― どのような人に読んでもらいたいですか?

 

芳賀 スーパー戦隊シリーズは長く続いているので、一定の時期しか見ていないとか、いまから見直すのはたいへん、と思っている人も多いと思いますが、今年は45作品記念のアニバーサリーイヤーですので、これを機会に過去作をおさらいしたいなら、この図鑑ほど最適なものはありません。

 

また、本書は総ルビでお子さん一人でも読めるように作っていますが、大人でも十分に楽しめる内容になっていますので、コレクターズアイテムにするのもよし、親子のコミュニケーションツールとしてもご活用いただくのもよし。「スーパー戦隊」を愛するすべての人に手に取ってほしい図鑑です。

 

―― 本の“顔”となる表紙ですが、アカレンジャー(ゴレンジャー)に決めた理由は何だったのでしょうか?

 

芳賀 表紙選びで辛いのは、スーパー戦隊の戦士は全員が主役で、それぞれに熱いファンがついているため、1人に絞りきれないところです。しかし、そんな魅力的な戦士たちの中でも、圧倒的に納得感があるのはアカレンジャーですね。おかげさまでケースは即決! では、ケースから出したときの表紙は? 裏表紙は? 悩みは尽きません。最終的に他のだれが、何が、表紙を飾るのかは発売後のお楽しみに!

 

スーパー戦隊の起点から、1つ1つ描き起こしたロボ相関図まで!

―― 本の見所や、特に注目してほしいところはどこでしょうか?

 

芳賀 注目していただきたいのは、左上のイラストです。本来であれば、スーパー戦隊が勢揃いしたかっこいい絵を入れたくなるところですが、ここではネジレ次元へ飛び込もうとする瞬間の鮫島博士(のちの宿敵)を描き、メガレンジャー誕生の起点を表わしました。このように、本書ではスーパー戦隊の誕生や戦う理由に焦点を当てているのが大きな特徴なのです。

 

―― 特に苦労したところは?

 

芳賀 制作上、いちばん苦労したのはロボの合体相関図です。これまで体系的な資料が存在しなかったので、ロボットの一覧を見ながら「これとこれが合体して…」とパズルのように読み解きながら図にしていきました。こちらのボウケンジャーはうまくいったほうですが、近作になればなるほど複雑で、カオス化していくので、何度もくじけそうになりました(笑)

 

―― 「これだけは譲れない!」とか、そういうこだわりポイントはありますか?

 

芳賀 私が子どもの頃の特撮作品の図鑑には、ロボの透視図はつきものでした。透視図には、漠然とロマンや未来に対する希望のようなものを感じたものです。でも、最近はなぜかめっきり見なくなりましたよね。だから、本書を作る際は、絶対にロボの透視図を載せたい! と思いました。このバトルフィーバーロボの完成図があがってきたときには、子どものときの熱い感動がよみがえりましたね。

 

―― 最後に、「学研の図鑑」ファンの皆さんにメッセージをお願いします!

 

芳賀 スーパー戦隊を「学研の図鑑」のフォーマットで出す以上は、学習図鑑的な視点は必須だと考えました。「速さをくらべよう」のページは単なる最速ランキングにはしたくなかったので、監修の松井 大さんと何時間も検討しながら、なるべくユニークな乗り物や戦士を集めました。ほかにもこれまでになかった視点の特集ページがたくさんあるので、どうぞお楽しみに!

 

【商品概要】

監修:東映株式会社
(株)企画者104/松井 大
定価:本体3,300円+税
発売日:2021年4月8日(木)
発行所:(株)学研プラス