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2021/4/8 6:30

SNSから手紙まで「書く」ためのスキルが盛りだくさん!——『暮らしを変える書く力』

あなたは、「書くこと」が好きですか?

 

職業柄「書くこと」ばかりしていますが、改めて聞かれるとオッ……とうろたえてしまう私。読むことは大好きだ! と胸を張って言えますが、毎日さまざまな原稿を書いていると、当たり前になり過ぎてしまい、「答えられない!」と思ってしまいました。

 

暮らしを変える書く力』(一田憲子・著/KADOKAWA・刊)は、各界で活躍している人たちの習慣を紹介する人気雑誌『暮らしのおへそ』の編集ディレクター・一田憲子さんの新刊です。言葉と丁寧に向き合ってきた一田さんの文章には、日々書くことを生業にしている人はもちろん、いつかライターになりたい、PRの仕事で活かしたい、SNSやブログで上手な文章を書きたいと思っている人におすすめできる言葉が、たくさん散りばめられていました。

 

 

文章には2タイプある

一田さんは、編集・ライターのお仕事以外にも「ライター塾」という少人数制の講座も開催されています。その中で最初に伝えているのが、雑誌記事のように「自分を出さずに書く文章」と、エッセイのように「自分を出して書く」2つのタイプがあるということなんだとか。例が紹介されていたので、以下を読み比べてみましょう。

 

自分を出さないで書く場合

東京吉祥寺の駅から徒歩3分。「えっ、ここに?」という雑居ビルの2階に、カフェと洋服の店「コロモチャヤ」があります。オーナーの中臣美香さんは、アパレル業界で働いたのち、ケーキ作りを学んだという方。1枚のシャツと、一皿のケーキが伝える心地よさはきっと同じ。そんな思いで作り上げた店は、中臣さんの歩いてきた道そのもの。手作りのケーキと香り高いお茶でひと休みした後に、明日着ていくシャツを選ぶ。そんな過ごし方ができます。

 

自分を出して書く場合

甘夏のタルトを頼んだら、びっくりするほど大きな器に盛り付けてテーブルに運ばれてきました。その余白の美しいこと! この器を選んだ人のことが知りたくなりました。「コロモチャヤ」は、カフェの横に洋服のセレクトショップがつながっている、「2つでひとつ」の店。オーナーの中臣美香さんは、アパレル業界で働いたのち、ケーキ作りを学んだと聞いて、このお店の形に「なるほど」と思いました。ケーキにも、器にも、シャツにも「コロモチャヤ」らしさが宿っている……。その繊細な視点に触れると心が刺激され、一度訪れるとまた行きたくなるのです。

(『暮らしを変える書く力』より引用)

 

どうですか? どちらも同じ「コロモチャヤ」というお店の紹介文なのに、書く視点が変わるだけでピックアップされる言葉がここまで変わってくるのか! と実感できますよね。

 

私がこのコーナーで書いている文章は、「自分を出して」書いているものがほとんどです。なぜなら、私が「読みたい」と思って読んだ本の中から「これはGetNavi webで紹介したい!」と思った本について書いているからです。これが「PR記事やインタビュー記事を書いてください」という依頼だった場合、自分の感想よりも読者に知ってもらいたい事実・情報を一番に伝えなければいけません。

 

この2つは無意識でやっている人がほとんどかもしれませんが、意識して書き分けることで、あなたの文章力はさらにアップするはず。

 

書くために必要な、インタビュースキルは「黙る」こと

私が高校生のころは雑誌やファンクラブの会報、テレビ・ラジオ番組くらいしかアーティストのプライベートや言葉を読み聞きすることができませんでした。それがいまや、SNSやYouTube番組、ウェブメディアなどにより、たくさんの記事が読めるようになりました。ファンになったアーティストなどの情報を追いきれないほど広がる推しがいのあるいい時代です!

 

追っているファンからすると「推しの知らないところを知りたい」のが本音だと思いますが、たくさんのメディアを追っていると「これはこの前、聞いたな」なんてエピソードの重複が出てくることも。

 

メディア側としては、可能ならその人の未知の部分にスポットを当てて新たな魅力も引き出してあげたい! と思うわけですが、限られた時間の中で、言葉を引き出すために焦って空回りしてしまうことも。私も毎度、反省の日々なのですが、『暮らしを変える書く力』にはこんなことが書かれてありました。

 

ときには、相手が「う〜ん……」と答えに窮することもあります。そんなときは気まずいけれど、とにかく待つ。それは、私の「問い」に対して、相手が真剣に考えてくれているという証拠だからです。

(『暮らしを変える書く力』より引用)

 

ぬお〜! 私は沈黙に耐えきれず「〇〇ですよね?」なんて聞いてしまっていた!! 一田さんはさらにこんなことも続けて書かれていました。

 

こうして「黙った後」に「その人でなければ語ることができない言葉」がやってきます。インタビュー中、手を替え品を替え、あちこちの方向から質問し、このきらりと光る言葉を聞いたとき、「あ、書ける」と思います。「聞く」スキルは、「書く」スキル以上に大切なものだと感じています。

(『暮らしを変える書く力』より引用)

 

猛烈に反省なう! です(笑)。

 

そんな一田さんの「聞く」スキルによって、新たな自分を発見できたと、モデルでバンドCzecho No Republicとしても活躍されているタカハシマイさんとのエピソードで語られていました。その記事はウェブメディア『@Living』で現在も公開されているので、合わせて読むと一田さんの「聞く」スキルを実感できますよ。

 

【参考】
“暮らしの編集者”が見た、清楚とロック、モデルとミュージシャン…「タカハシマイ」の2つの顔

 

本を閉じる時、「あぁ私って書くことも好きだな」と思わせてくれる

他にも紹介したい言葉がたくさんあるのですが、続きはぜひ『暮らしを変える書く力』を読んでみてください。

 

私自身この本を読むまで、「読むことは好きだけれど、書くことは仕事だからなぁ〜」なんて、考えていたのですが、読み終わってみると、自分自身の未熟さを猛烈に反省しながらも、「あぁ私って書くことも好きだな」と感じることができました。

 

「誰かに伝えるための文章を書きたい」と思っている人や、4月から新しい部署に配属になって不安だという人、自分のSNSやブログで思いをたくさんの人に伝えたいと思っている人、現役のライター・編集者、本当にたくさんの人に読んでもらいたい1冊だと思います。

 

書くことが好きな人が増えて、素敵な文章が世の中にいっぱい広がって、心が動くような一文と出会えたらうれしいですよね! 私も誰かにとっての素敵な文章を書ける人になれるよう努力しなきゃと、新年度に気合いが入りました。

 

【書籍紹介】

暮らしを変える書く力

著者:一田憲子
発行:KADOKAWA

会えないときこそ、必要なのは「言葉」だ。『暮らしのおへそ』編集ディレクターが教える新しい時代の文章レッスン。ブログ、メール、SNSや手紙など誰かに自分の言葉を伝えたいときに。

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