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2021/4/21 20:30

ガラパゴス化に陥らないための情報収集の方法とは?——『世界のニュースを日本人は何も知らない』

サブカルチャー的な事象に対する執着が強い筆者は、主流派マスコミという枠組みから外れるソースから発信される情報を積極的に、可能な限り多く拾うためさまざまな手段を講じている。

 

非主流派情報の集め方

主流派ではないから、時として――というよりほとんどの場合――情報の内容がエキセントリックなものになりがちなのだが、一つひとつを見ると決して的外れではない。それを主流派ソース情報でろ過し、希釈した上で咀嚼するようにしている。ものごとを正反対の視点から見ることで、真実の部分がより明らかな形で浮かび上がる。

 

いかにぶっ飛んだ内容でも、まったくの嘘だったということはない。どんな種類の情報にも一抹の事実が含まれているものだ。いわゆる「プロス・アンド・コンズ」(賛否両論)という二極論的な見方に、さらにいくつかの視点を加えて多角的に見ていけば、最終的に残す情報の質も上がるはずだ。

 

見過ごしてしまいがちなもの

自ら積極的に取りにいかない限り、おそらくは見過ごしてしまう情報に触れていくにはどうしたらよいか。ここで紹介していく『世界のニュースを日本人は何も知らない』(谷本真由美・著/株式会社ワニブックス・刊)は、そういうスタンスで読み始めるのが正解だと思う。

 

筆者の場合、知りたい情報を深掘りする手段としてYouTubeを使うことが多くなっている。それに加えてキュレーターアプリで集めた特定のウェブサイトや、さらには個人のブログまで追いかける。

 

ゆでガエルにならないために

この本の核の部分は、まえがきに記されている次の文章で過不足なく表されていると思う。

 

事実を直視せず重要なことを見逃している日本は、ぬるま湯のゆでガエルです。じわりじわりと熱されていき、やがて熱湯になったころには跳躍する力を失っているでしょう。たくさんの選択肢を失い、膨大な損失に苦しめられることになるのは目に見えています。

『世界のニュースを日本人は何も知らない』より引用

 

ガラパゴス化という表現は、情報を得るための手段や取捨選択の基準にも当てはまるのかもしれない。著者はこう語りかける。

 

この本は、そんな危機的な状況に置かれた日本のみなさんに、日本の外からの視点を提供し、さまざまな気付きのヒントを得てもらうための指南書です。すっかりゆで上がったカエルになってしまわないよう、世界のニュースにしっかりと目を向けて一人ひとりが意識を変えていくことを願ってやみません。

『世界のニュースを日本人は何も知らない』より引用

 

 

煽りの文言の裏側にある冷静さ

目次を見てみよう。

 

はじめに

序章 日本人はなぜ世界のニュースを知らないのか

第1章 世界の「政治」を日本人は何も知らない

第2章 世界の「常識」を日本人は何も知らない

第3章 世界の「社会状況」を日本人は何も知らない

第4章 世界の「最新情報」を日本人は何も知らない

第5章 世界の「教養」を日本人は何も知らない

第6章 世界の「国民性」を日本人は何も知らない

終章 世界の重大ニュースを知る方法

おわりに すべては日本人のこれからのために

 

ちょっと気になる項目をいくつか挙げておく。「世界のニュースを知らないことが命取りに」「本当はものすごく豊かなアフリカ」「大半の国は日本よりはるかに悲惨」「人種差別にも“格差”がある!」「AIなんて実は頭が悪い!」「効率は創造性を殺す」「欧州人、実は……読み書き計算さえヤバイDQNだらけ」

 

言葉遣いこそ煽りめいた響きに満ちてはいるものの、70に近い項目で語られる内容がきわめて冷静であることは特に強調しておかなければならない。

 

ステレオタイプに蝕まれるままに任せるか

「世界のニュースを知らないことが命取りに」の項目では、“ごく普通”の日本人的な意識と世界の現実のギャップが綴られる。

 

・2015年以降シリアやアフガニスタンからの難民が大量流入しているエーゲ海の島々を、“キレイ”だから新婚旅行で訪れたいというメンタリティ。

・同じ時期、爆破事件が起きたり、首都イスタンブールでの暴動を受けて戒厳令が敷かれたりしているトルコに、親日国家であることを理由に遊びに行きたいという楽観主義。

・欧米社会におけるインターンシップという制度の本当の仕組みを知らないまま、有名企業にメールでお試し雇用を申し込み、仕事を教えてもらおうとしたビジネスエリート志望者の思惑。

 

知らないことは仕方がない。しかし、知らないことによって被る損失の責任を、自分以外の誰かに求めるのは間違いだ。それに、どんなものにもステレオタイプ(誤った固定観念)がある。知らないことをそのままにしたり、受動的であり続けたりすることでステレオタイプに蝕まれるままに任せるか。それとも、自ら進んで求める情報を探し出し、自分の中ですでに構築されてしまっているかもしれないステレオタイプ的なものを正しい形に整えていくか。著者の思いは、「おわりに」に記された次のような文章にも込められている。

 

この世界には、これからの時代を生き抜くために必要な情報が山ほどあります。それらを自分にとって有益なものとし、生き抜くスキルに変えていくことが今後の鍵となるでしょう。

『世界のニュースを日本人は何も知らない』より引用

 

自分と情報との関係性を確かめる意味で、読んでおいて間違いない一冊だ。

 

【書籍紹介】

世界のニュースを日本人は何も知らない

著者:谷本真由美
発行:ワニブックス

報道/常識/教養/思考/日本の評価など、世界各国の印象がガラッと変わる! 新聞・TVではわからない世界の真実に迫る。

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