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2021/2/10 6:30

金融の「ルール」「常識」「法則」を知り人生の利益の最大化をする−−『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』

2週間ほど前の話だ。アメリカ株式市場を舞台に『レ・ミゼラブル』の『民衆の歌』が響き渡るような出来事が起きた。

 

超有名トレーダー軍団vs名もなき個人投資家集団

「GameStop」という全米規模のチェーン店がある。アメリカでは小さな町のモールでもよく見るテレビゲームの小売店だ。2021年1月末、この会社の株価が1600パーセント上昇という爆上げを記録した。年明け直後の時点での価格18ドル84セントから1月29日には340ドルを超える驚異的なスピードの値上がり。筆者はそれほど経済通ではない。でも、株式投資を本格的に始めて1年半が過ぎた奥さんからこの出来事のスゴさをよーく説明され、驚くべき現象であることが理解できた。

 

なぜこんなことが起きたのか。株式市場での存在感を増し続けている無数の個人投資家が力を合わせ、はっきり言って冴えない銘柄の株価を意図的に上げるという行動に出たのだ。ウォール街のプロトレーダーたちを相手に喧嘩を売り、圧勝したともいえる。「Reddit」の「WallStreetBets」をはじめとするSNSの投資フォーラムでつながった名もなき個人投資家たちが結束して資金を大量に注ぎ込んだ結果、専門家も信じられないような角度で株価が急上昇するに至ったというわけだ。

 

金融リテラシーを上げたい

筆者は、株式投資という行いを10年前よりもはるかに身近に感じている。ちょっとまとまったお金があったとしよう。それを銀行に預けておくだけでは何も起こらない。当たり前の話だが、計画性もなくただおろして使うだけでは減っていくだけだ。そこで、そんなに大きな金額ではなくても参戦できる株式投資の方法を探って実践し続けている。まあ、実際の作業を担っているのは奥さんなんだけれども。

 

奥さんのおかげで少し読めるようになった株価チャート、そして毎日朝と夜に欠かさず見ている経済ニュースに加え、筆者の金融リテラシーをワンステップ引き上げるための新しいツールとなってくれそうな本を見つけた。

 

知的な人生設計とは

新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(橘 玲・著/幻冬舎・刊)には、「知的人生設計のすすめ」というサブタイトルが付けられている。2002年に出版された同タイトルのオリジナル版の内容を見直す方向性で加筆され、新版として出された。アップデートが必要な理由は、経済というものが、変化を止めることがない生体であるからにほかならない。ただし、変わらない部分もある。まずは、「はじめに」で記されているこの本の立脚点となる絶対的な原則を見ておきたい。

 

本書で繰り返し問うているのは、「経済的な視点から見て、私たちが生きているのはどういう社会なのか」ということです。それを知ることではじめて、“正しく”生きる方法がわかります。

                  『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』より引用

 

ざっくりとした構成は以下のようになっている。

 

Prologue   1995―2014

PART1 人生を最適設計する資産運用の知識

PART2 人生を最適設計するマイクロ法人の知識

PART3 人生を最適設計する働き方

Epilogue   新宿中央公園のホームレス

 

ここで強調しておきたいのは、各パートを読み始める前と読み終えた後に、「はじめに」で記されているこの本の原則についての文章に戻ることだ。このルーティーンによって理解度が高まる気がする。

 

黄金の羽根を見つけよう

タイトルに盛り込まれている“黄金の羽根”とは何か。著者はその概念を以下のように定義している。

 

制度の歪みから構造的に発生する“幸運”。手に入れた者に大きな利益をもたらす。

                  『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』より引用

 

ワールドカップサッカー日韓大会を例に、ていねいな書き口の文章で黄金の羽根についての説明が行われている。とても分かりやすいので、さまざまな仕組みに当てはめて自分なりに咀嚼し、展開していけるだろう。

 

ルール・常識・法則

70以上の項目でつまびらかにされていくのは、著者が自らの体験を通して紡ぎ出した「ルール」と「常識」そして「法則」だ。これら三つの要素が核心をなすこの本は「金融リテラシーを引き上げてくれそう」と書いたが、本書の真のテーマは人生を俯瞰して生きるスキルを高めていくことにちがいない。

 

経済が生体であることは、すでに1年間続いているコロナ禍を見ても実感できる。それに加え、これまで制度とされてきたものの大部分がリセットされる時代は確実に、そして静かに到来しつつある。著者が言う“正しく生きる方法”は、毎日重ねられていく小さな変化を見逃さず、変わらない部分を認識していくことによって育まれるのだろう。筆者に最も刺さった一文を記しておく。

 

経済的に成功するためには、経済合理的でなくてはならない。国家は神聖なものでも、崇拝や愛情の対象でもなく、人生を最適設計するための道具だ。

                  『新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』より引用

 

著者が示す「ルール」と「常識」そして「法則」を意識しながら生体である経済と向かい合っていれば、ある日突然、黄金の羽根のほうから近づいてきてくれるかもしれない。

 

【書籍紹介】

 

新版 お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方

著者:橘 玲
発行:幻冬舎

自由な人生を誰もが願う。国、会社、家族に依存せず生きるには経済的独立すなわち十分な資産が必要だ。1億円の資産保有を経済的独立とすれば欧米や日本では特別な才は要らず勤勉と倹約それに共稼ぎで目標に到達する。黄金の羽根とは制度の歪みがもたらす幸運のこと。手に入れると大きな利益を得る。誰でもできる「人生の利益の最大化」とその方法。

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