ビジネスはお願い事で成り立っていると言っても過言ではない。上司に、同僚に、部下に、そして取引先に。かく言う私も先日、あるデザイナーさんに少々急な案件を依頼したところ、こんな返信が届いた。
「◯日の夕方まではちょっと厳しいですが、なんとか間に合うように全力で頑張ります!」
私はこのメールを読んで、タイトなスケジュールを詫びると同時に、彼の伝え方のテクニックにいたく感動してしまった。
言葉の裏側に潜むホンネを探れ!
というのも、この一文の裏側にはたくさんの本音が見え隠れする。
「いきなり◯日の夕方までって言われても、他の仕事も山程あるし厳しいに決まってるだろ」
「でも、いつも仕事を評価してもらえてるし、できるだけ期待に応えたい」
「締切希望日までに納品するつもりだけど、タイトなスケジュールは今回だけにしてほしい」
本人に確認したわけではないが、おそらくこのあたりではないだろうか。相手の要望を受け入れつつも、自分の主張はしっかりと伝える。しかも角が立たないように。このあたりのさじ加減ってなかなか難しいが、彼はなんなくやってのけた。
コロナ禍で人と会う機会が減り、メールやSNSでの連絡が増えた昨今、些細な言葉の言い回しや表現ひとつがとても大きな意味を持つ。言い方や伝え方のチョイスによって、相手を快にも不快にもさせてしまうからだ。
先のデザイナーのように、好感度を下げないで自分の主張を伝えられるお願い上手になりたいけれど、どんな言葉のチョイスをすればいいか皆目見当がつかない! そんな人にお薦めしたいのが、『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』(石原壮一郎・著/ワン・パブリッシング・刊)である。巷に数多ある言い方ハウツー本の中で、一際異彩を放っている一冊だ。
事を荒らげず、自分の想いを伝えるには?
『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』が、他と異なる点。そのひとつが、紹介されているフレーズ数だ。全652フレーズとは、結構な数ではなかろうか。
頼み方、断り方、謝り方、ホメ方、怒り方、承諾、同意、反論、誘い、感謝の全10パートにわかれていて、きっと誰しもが直面する日常生活の中のシーンにおける、絶妙にうまい言い方を指南してくれている。
そしてもうひとつ、本書の大きな特徴は、おすすめのフレーズを紹介すると同時に、その言葉の裏側に潜む本音を解説しているところにある。たとえば「仕事関係の相手に反論する」ページを見てみると、
「念のための確認なんですけど」
ホンネ「そうじゃないだろ。しっかりしてくれよ、まったく」
【解説】取引の内容や条件が打ち合わせと違っていたり、上司が勘違いをもとに指示をしてきたりしたときに。相手の間違いをメールで指摘するときは、「ご確認いただけますでしょうか」が便利。
【発展】相手が間違いに気づいたら、「いえ、私のほうも記憶があいまいで」と下手に出ておく。「ほら、やっぱり」という顔をするのは禁物。
(『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』より引用)
といった具合だ。
このように、すべてのフレーズにホンネ・解説・発展が書かれているので、相手との関係性を崩さずに相手に自分の想いを伝えたいとき、どのフレーズがベストなのかがひと目でわかるようになっている。
大人としてスマートな会話を楽しむための豆知識がギッシリ!
『【超実用】好感度UPの言い方・伝え方』には、真似したいフレーズ以外にも、「活用したい大人の”クッション言葉”」や「マスク越しのコミュニケーションの基本」「赤っ恥注意! 間違いやすい慣用句」など、今すぐにでも使える知識が盛りだくさんだ。
もちろん、ビジネスシーンのみならず、友人やパートナー、家族、ママ友など、さまざまな相手に使えるフレーズも多彩に取り揃えられている。
きっとあなたは、ほんの少しの言葉の言い換えが、コミュニケーションを円滑にすることを痛感し、同時に言葉選びの大切さを再認識するだろう。この一冊が、明日からの人間関係を変えるきっかけになるかもしれない。
【書籍紹介】
超実用 好感度UPの言い方・伝え方
著者:石原壮一郎
発行:ワン・パブリッシング
「頼む」「断る」「謝る」「ホメる」「怒る」「承諾」「同意」「反論」「誘い」「感謝」の10 の章に分けて、知的でスマートかつ実用的なフレーズを紹介。使えば使うほど、人間関係が円滑になり、あなた自身の株も上がること請け合い。メールやLINE やSNS でコミュニケーションを取る場面で使いたいフレーズや、マスク越しの会話やリモート会議など、近ごろ気になるシチュエーションもしっかり網羅しています。
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