ペットというと犬や猫を思い浮かべる人が多いでしょう。けれど、最近はアパートで飼われていた大蛇が逃げ出す騒ぎがあるなど、ペットも多様化しています。
散歩中に目に入る意外なペット
先日、近所でウサギを散歩させている人を見かけました。猫にリードをつけて散歩させている人は珍しくないですが、ウサギは初めて見かけました。以前はヤギを引き連れていた人もいましたし、大きなオウムを肩に乗せて歩いている人もいます。
ペットの世界もかなりの多様化が進んでいるのかもしれません。以前、友達の家に行ったら引き出しからフェレットが出てきたこともありましたし、蛇をマフラーのように首に巻いて出かける人もいました。一緒に暮らしたいと思える大好きな生き物と暮らせるなんて、素敵なことです。
白くてフワフワが欲しい
美大生の娘は、白くてふわふわの動物と暮らす夢を持っています。猫だったらペルシャ(チンチラ)(20-30万円)、犬だったらチャオリアというポメラニアン(約60万円)なのだそうです。ふわふわした生き物を見つめていると、それだけで癒されるからなのだとか。
この娘が先日、アザラシにハマりました。アザラシは普段は黒に近いグレーのような色合いですが、生後2週間ほどは真っ白な産毛にくるまれていて、それがたまらなく可愛らしいのだそうです。彼女は真っ白い赤ちゃんアザラシをひとめ見たいあまり、カナダや北海道に向かうことを今の目標としています。
ラッコは人間より美食
『動物の値段』(白輪剛史・著/KADOKAWA・刊)には、動物商の著者が過去に見聞きしたさまざまな動物の価格が載っています。パンダのレンタル料金が年間1億円と高額であることにも驚きますが、なによりも大変そうなのは維持費。動物は生きているのですからエサ代や檻代もかかるのです。
娘はラッコも好きです。アザラシと同じ北の海に暮らす可愛い仲間だからです。本にはラッコを個人が飼う場合の話が載っていましたが、かなり大変そうでした。なにしろラッコは美食家。好物がウニやカニなのですから、毎日高級料理を食べているようなものなので、野生と同じ環境でエサを与えると食費だけで1日5万円もかかるのだとか。月に150万円です。月にこれだけの食費を払っているヒトはほとんどいないのではないでしょうか。
さすがにこれほどのエサを与えるのは難しいので、動物園や水族館は、代わりにイカを食べさせているそうで、せつない話です。それでも食費は月に15万円になるそうです。そして、かなり深い水深を好むため、そのための水槽作りに数億円が必要なのだとか。ものすごいお金持ちじゃないとペットとしてラッコを飼うのは難しそうです。
動物を巡る輸出規制
世の中にはペットとして飼うことができる意外な動物もいろいろあります。たとえばもふもふしていて可愛いアルパカ。那須にアルパカ牧場があるのですが、そのホームページにも「販売しています」と書かれているので、牧場主になる機会があれば、ぜひ家族の一員として迎えてみたいものです。
しかし、本書を読むと、動物を輸入する際にはかなり細かい規制があることが分かります。コウモリやげっ歯類、サル類など、輸入自体が禁止されている動物もあるのです。著者が南米からチスイコウモリという吸血鬼のように血を吸うコウモリを輸入しようとしたところ、狂犬病を媒介する可能性があると知り、キャンセルしたというエピソードもありました。
また、サルを輸入しようとすると検疫に30日もかかるのだとか。流行病を上陸させないよう、以前よりさまざまな工夫されていることを改めて知り、私たちやペットの健康はこうした水際で守られているのだということに気づかされます。検疫をパスして無事に日本にやってきた生き物たちのことを、今後はさらに愛おしく感じられそうです。
【書籍紹介】
動物の値段
著者:白輪剛史
発行:KADOKAWA
ライオン(赤ちゃん)45万円、ラッコ250万円、トラ500万円、ゾウ3000万円にシャチは1億円!!…でも、エリマキトカゲはわずか5万円。動物園・水族館のどんな動物にも値段がある! 人気者たちの意外なお値段を決めるポイントはいったい何か? キリンやカバなどは、どのように輸送しているのか? すべてが驚きの動物商の世界。その舞台裏を明かした画期的な1冊! テリー伊藤氏との文庫版特別対談も収録。