本・書籍
自己啓発
2021/7/30 11:00

10代の若者とその親の悩みを瀬戸内寂聴さんがまるっと解決!『97歳の悩み相談』

久しぶりにテレビ電話をした大学の友人から「ちかちゃん、瀬戸内寂聴さんに似てきたね」と言われ驚いた私。しかし妙に親近感が湧いてしまい(笑)、瀬戸内寂聴さんの本を色々と読み始めました。祖母の家にあった法話のカセットテープを聞いたことはありましたが、「あれ? 本は読んだことなかったかも」と思い、気になった本をポチポチ。読んでみると、寂聴さんの言葉が乾いた心に沁み渡り、「似ている」と言ってくれた友人に感謝したのでした。

 

いくつか買った書籍の中でも2019年に発刊された『97歳の悩み相談』(瀬戸内寂聴・著/講談社・刊)は、大人の心にも響く言葉がたくさんありました。これは同年に瀬戸内寂聴さんが暮らす京都の『曼荼羅山 寂庵』にて行われた「10代のための特別法話」と「10代のための悩み相談」を再構成したもの。会話形式でお話が進み、1時間もあれば読めてしまうボリュームなので、普段読書をあまりしないという方や、忙しくて本を読む元気もないよ、なんて人にもおすすめできる本です。今年で99歳になられた瀬戸内寂聴さん。人生の大先輩は10代の若者にどんなメッセージを届けたのでしょうか?

 

恋愛のこと、家族のこと、10代の子どもとその親が寂聴さんに悩み相談

『97歳の悩み相談』は、「自分を愛せない人へ」「一歩を踏み出せない人へ」「人間関係に悩む人へ」「大人とうまくいかない人へ」「将来が不安な人へ」「子育てに迷う親たちへ」という6つのカテゴリに分かれて、42個のお悩みが掲載されています。

 

気になるところから読むだけでも十分楽しめますが、最初から順番に読んでいくと、読み終わるころにはまるで自分の悩みまで解決したような清々しさを感じられます(もう36歳のおばさんですが……w)。

 

10代の若々しいお悩みにも真摯に向き合う当時97歳の瀬戸内寂聴さんも素敵で、いつかこんなおばあちゃんになれたら、なんて図々しくも思ってしまうのです。お悩みの内容も10代だからと侮ってはいけません。「何をやろうとしても、なかなか続けられません」「他人と自分を比べて、劣等感を持ってしまいます」など、大人より大人なお悩みもちらほら。

 

さらに、親からの相談として「息子の生活態度が悪くて、腹が立ちます」なんて面白い話もあるので、これに対して寂聴さんがどんな回答をしているのかも、読んで確かめてもらいたい内容です。今回はこの中から、気になった2つの相談をご紹介しましょう!

 

大人が望む「普通の人生」を生きたくない!

15歳の女の子から「大人は自分らしく生きろと言いながら、結局はいい大学に行け、いい会社に入れと言います。普通の人生しか生きられない世の中はおかしいと思います。」というお悩みを聞いた寂聴さん。一体、この悩みにどう答えたと思いますか?

 

「普通の人生しか生きられない」と言うけれど、じつは普通の人生を生きることがいちばん、難しいんです。「普通の人生しか」じゃない、「普通の人生こそ」なかなか生きられない。普通に生きられたら楽だけど、人生はそうはいかないものです。

(『97歳の悩み相談』より引用)

 

実際にはもっと長く答えているのですが、「あなたの言うことは正しい」と肯定しつつも、このような回答ができるのは寂聴さんだからこそだと感じました。私だったら「そうだよね。ごめんよ」くらいしか答えられない!

 

自分を振り返ってみても、10代のころって「普通がつまらない」って思っていましたよね。大人になってから、普通のすごさ・ありがたさって知るものなのかもしれない、親が言っていたことも今なら理解できるなぁ〜と感じます。私自身も「自分もこの回答に納得できるくらい、大人になったんだなぁ」と感慨深く感じました。

 

どうしたら行動できるようになりますか?

続いては、「私はいつも、ああなりたい、こうなりたいと思うばかりで、自分から進んで行動を起こせません。」という17歳の女の子からの相談です。

 

何かをしたいと思いながらしない残念さと、したけれども失敗した残念さとを比べたら、したいことをしなかったほうが、ずっと悔しい。だから、したいことは全部やりなさい。

(『97歳の悩み相談』より引用)

 

さらに寂聴さんは、「若き日にバラを摘め」という言葉とともに、若い時ならバラのトゲで傷ができても回復力があるからすぐ治る。心の傷と一緒だよ、と話してくれています。これはもっと若いころに知りたかったよ〜!

 

確かに、大人になってから傷を負ってしまうと色々と言い訳をして回復が遅くなることや、傷口に塩を塗ってくるような人も現れるので、バラを摘むなら若き日に……というのは納得です。けれど、現在99歳の寂聴さんと比べれば私も若造なはず! 「あなたもやってみなさい」という声が聞こえてくる気がしました。

 

他にも『97歳の悩み相談』には、たくさんの経験を積まれてきた寂聴さんのあたたかい言葉がたくさん掲載されています。中高生なら読書感想文の課題図書としてもお勧めですし、短い夏休みを読書で満喫したい大人にも楽しんでいただけるはずです。ぜひご覧ください!

 

【書籍紹介】

97歳の悩み相談

著者:瀬戸内寂聴
発行:講談社

人間関係、コンプレックス、恋愛、家族、将来のこと。若い世代のリアルな悩みに、97歳の寂聴さんが答えます。人生の大先輩が贈る、幸福に生きるための知恵!

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