空を見上げると目に入る「雲」。夏は入道雲が目立ちますし、ひこうき雲を見つけるとなんだかラッキーな気分になったりします。
雲を見ていると、何かに似ているなと思うことがあります。犬だったり猫だったり、ゾウだったりキリンだったり。このように、雲が動物に見える現象には、名前が付いているんです。
雲が動物に見えるのはパレイドリア現象のせい
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』(荒木健太郎・著/KADOKAWA・刊)は、映画『天気の子』の気象監修者でもある著者が、天気にまつわるおもしろくてためになる知識をわかりやすく解説している書です。
その中に、先ほどの現象についての記述があります。
その名もパレイドリア現象。ふだんからよく知っているものの形を、本来はそこに存在しないにもかかわらず思い浮かべてしまうという、心理現象のひとつです。
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』より引用
パレイドリアとは、ギリシャ語で「間違って見えるもの」という意味なんだそう。よく小さなお子さんが「あの雲、クマさんみたいだね」なんて言ってるのもパレイドリア現象。そう考えると、なんだか子どもが哲学者のように見えてきます。
人の顔に見える現象にも名前がある
ちなみに、雲が人の顔のように見える現象にも名前があります。
これはシュミラクラ現象(類像現象)といって、点や線が逆三角形に並んでいると、脳が人の顔だと判断してしまうというものです。
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』より引用
シュミラクラは英語で「偽者」という意味です。この現象、結構体感していると思います。壁のシミが顔に見えたり、心霊写真なんかもほとんどがこれで説明がつきます。たまに、街中で見かける無機物(ネジの入ったプレートとか)を見ても人の顔に見えることがありますが、それもシュミラクラ現象なんですね。
地震と雲はまったく関係ない
天気の本の紹介をしていますが、天気とあまり関係ない話になってしまいましたので、天気関連のおもしろいお話も。よく、大きな地震が起きたときに「そういえば、地震雲が出てた」なんて聞くことがありますが、実は雲と地震は関係がないんだとか。
地震雲と呼ばれることの多い雲として、空に立っているように見える細長い雲があります。これは地上から空を見ている方向と同じ向きに飛行機雲がのびたもので、実際には雲は同じような高さに水平にできています。
『空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑』より引用
つまり、地震雲だと思っているものは、そのほとんどが雲の現象。そもそも、地震と雲の関連性については、わかってないようです。迷信みたいなものなんですね。
天気は、もしかしたら一番身近な科学なのかもしれません。ただ雲を眺めたり、雨が良く降るなぁなんて感じたり、暑くてやってられないなんて思うだけではなく、本書を読んで天気や気候について少し知れば、毎日が少し豊かになって、天気でイライラしたりすることがなくなるかもしれませんよ。
【書籍紹介】
空のふしぎがすべてわかる! すごすぎる天気の図鑑
著者:荒木健太郎
発行:KADOKAWA
とっても身近な空や雲、天気ですが、じつは知らないことがたっくさん!「雲は何でできている?」「どんな種類の雲がある?」「虹を見るにはどうしたらいい?」「空が青いのはどうして?」「最近大雨が起こりやすくなっているの?」「『大気の状態が不安定』ってどんな意味?」などなど、空にまつわるギモンに、一気にお答えします!