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2021/10/22 18:45

なぜ「日記兼用お料理家計簿」は65年以上のロングセラーなのか? 家計簿アプリではできない人気の秘密を聞いてみた!

毎年「来年こそは家計簿をつけよう……」と思って、本屋さんや雑貨屋さんの家計簿コーナーをウロウロする私。最近では、レシートを撮影するだけで手軽に家計簿をつけることができるアプリも出てきていますが、スマホにダウンロードしても2週間くらいで更新ストップ……続けられません(涙)。

 

私のように「次こそ続けるぞ!」と思っている方、また「そろそろ家計簿をつけようかな?」と考えている方、65年以上のロングセラー家計簿『日記兼用お料理家計簿をご存知でしょうか? わかりやすく費目が分類され、記入しやすい日報・週報・月報の家計簿欄に、日記などその日の出来事を自由に書けるフリースペース、300以上のお料理レシピと、別冊で癒されるお花のカレンダーまでついた1冊なのですが、娘の嫁入り道具として渡したり、50年以上愛用する主婦までいる人気の家計簿なのだとか。

 

今回は、2022年度版が発売されたばかりの『日記兼用お料理家計簿』について、担当者さんに詳しくおすすめポイントなどを教えてもらいながら、ロングセラーの秘密に迫りたいと思います!

 

50年以上使う愛用者も! 長年愛されている『日記兼用 お料理家計簿』とは?

『日記兼用お料理家計簿』が発売されたのは、今から65年以上前。戦後、少しずつ人々の暮らしが豊かに変わり始め、冷蔵庫や洗濯機など日用家電が出始めたころでした。

 

当時は、婦人生活社という出版社から「お料理家計簿」という名前で出版されていましたが、2004年から学習研究社を経て、現在はワン・パブリッシングが発行しています。

 

毎年、ひと目でわかるかわいいキルトが表紙にデザインされており、表紙をめくればオールカラーで美味しそうな料理のレシピがずらり!

 

↑季節ごとのおもてなし料理が掲載されているので、ホームパーティやお祝いごとにも役立ちます。レシピは大庭英子さんが監修

 

巻頭ページだけでなく、家計簿の中にもレシピが掲載されているので、毎日の献立を考えるときの料理本としても役立ちます。旬の食材についての一言メモも便利。

 

↑掲載されている全てのレシピ数を合わせると300以上に。「豆もやしのナムル」「フライド大根」「れんこんのオイスター炒め」などひとつの食材でできる作り置きにもおすすめな副菜もたっぷり掲載されているので、無駄なお買い物もなくなりそう!

 

また、家計簿の目次前には、折り込みで「この家計簿の使い方と予算の立て方」「ボーナスの収支と使い方一覧表」が付属していますが、その文章に漂う昭和っぽさに65年のロングセラーの証を感じてしまいました。

 

月々の限られた収入を生かして、健康でゆとりのある暮らしの設計をしていくのは、家計をやりくりするあなたの腕次第。きちんと家庭を守り、毎日の生活を豊かにするために、この家計簿をぜひご利用ください。

(『日記兼用 お料理家計簿』より引用)

 

どうですか? 「家計をやりくりするあなたの腕次第」と言われるとちょっと頑張りたくなりますよね(笑)。このページだけ読むと、割烹着を着たくなってしまうような……そんな懐かしさも感じさせてくれます。

 

ちなみに、毎年行っている読者アンケートによると、回答した人の約77%が11年以上使っているとのこと!

 

また「生きている限り使い続けます」「コロナ禍で自炊が増えたので、レシピがたくさんあって助かった」「母の代から親子で使っています」「結婚してから50年以上、毎日欠かさず使い続けています」という愛あるメッセージもたくさん寄せられているそうです。素敵だー!

 

あえて「変えない」がロングセラーに

では早速、『日記兼用 お料理家計簿』の編集を担当されている広田美奈子さんにお話を伺いましょう!

 

——本日はよろしくお願いします! 65年以上愛されている『日記兼用 お料理家計簿』ですが、どんな読者さんが多いのでしょうか?

 

「毎年アンケートを実施しているのですが、その応募者の平均年齢は、69.7歳。結婚されてから使い続けていただいている方も多く、ありがたいことにほとんどがリピーターさんです。この家計簿が発売された当時は、『君に家計をあずけるよ』なんて働く旦那さんのお給料でやりくりする家庭が大半だったので、専業主婦の家事のひとつに家計簿は欠かせないツールだったのだと思います。今は共働き家庭も多くなり、個人が家計簿アプリでお金を管理することが多いかもしれませんが、毎年の家計簿を1冊にまとめられて、家計の変化が一目でわかるというのは、手書きの家計簿ならでは。1年の終わりにじっくり振り返りながら、日記に記された思い出と一緒に残せるのもメリットだと思います」

 

——なるほど! 読者さんからの感想も拝見させてもらいましたが、どれも熱のこもった、愛あるコメントが多いですよね。

 

「そうですね。毎年、家計簿を取っておいて本棚に飾っている……というご家庭もあるみたいです。私が担当になって8年ほどなのですが、10年以上前の家計簿を見たくても、手元には残っていないんです。国会図書館なども調べたのですが、昔のものは見つからなくて。私も見せてもらいたいくらいです(笑)」

 

——ロングセラーならではの悩みですね(笑)。65年以上と長きにわたって愛され続けている家計簿ですが、どこか変化させている部分はあるのでしょうか?

 

「毎年、巻頭のお料理ページはテーマを変えて掲載しています。監修いただく料理家の先生も変えているので、トレンドや読者さんのニーズに合わせたものにしています。あと、最終ページにあるお金についてのコラムも、その年のトレンドに合わせた内容を掲載していますよ」

 

——家計簿の中身やフォーマットは変更しているのでしょうか?

 

「実は、一切変えていません。私が担当になって、以前の担当者さんから最初に言われたのが『中身を変えないこと』だったので」

 

——秘伝のレシピみたいじゃないですか!

 

「そうなんです(笑)。家計簿って毎日のように触れるものなので、読者さんにとっては書き慣れているフォーマットが一番いいんです。30年以上愛用いただいている方もたくさんいらっしゃるので、項目の掲載順番や費目の内容、全体のレイアウトなどは、私が引き継ぐ前からずっと同じもので変わっていません」

 

——すごい……! あえて変えていないんですね。

 

「読者アンケートに、不要なところはありますか? という質問項目を設けたのですが、『ありません』『今のままでいいです』という意見がほとんどで。変わらないからこそ、使い続けてもらえているのだと考えています」

 

——これだけ長く使われているイコール使いやすいということなんでしょうね。今までほとんど家計簿を続けられなかった私ですが、来年こそ! この家計簿で頑張れそうな気がしてきました。

 

「ありがとうございます。でもそんなに力まないでください(笑)。家計簿は、最初から完璧に埋めよう! 家計簿つけよう! と意気込まないことも大切です。たくさん費目わけされていますが、全部を埋めなくても大丈夫なんです。私は、買い物をしたらレシート・領収書ポケットに一旦入れておいて、時間があるときにまとめて書いちゃいます。品目も分けずに、支出合計と日記だけ書くときもありますし」

 

↑巻頭に付いている「レシート・領収書ポケット」もロングセラーの秘密のひとつ

 

——力みすぎか。確かに毎回「山に登るぞ!」くらいの気合いで始めて、疲れて離脱している気がします……。

 

「最初は、一週間の支出合計をまとめてみて『あれ? なんか今週出費多くない?』とか、月報をまとめて『先月より5000円食費浮いた! ラッキー』くらいにつけてもらっていいんです。大切なのは、書くこと。アプリなどは登録も楽なので、無意識で作業できちゃいますが、手書きの家計簿って自分の手で書いていくので、いろんなことに意識が向くようになります。そこでたくさんの気付きを得ることもできるので、まずは書いてみる、そこから始めましょう。無理に高い目標を掲げず、まずは書いてみる。書く習慣が身に付いたら自分なりのアレンジをしながら家計簿を活用していく、そんな使い方ができると良いと思います」

 

——なるほど! 最後に、実はあまり知られていない『日記兼用 お料理家計簿』のおすすめポイントを教えてもらえますか?

 

「そうですね(ページをめくりながら……)。日毎のページの真ん中、ちょうど見開きの部分に、お手紙などで使える季節の挨拶文が掲載されているんです」

 

——面白い〜! これ、まったく気がつきませんでした!!

 

「例えば、7月の2週目は『花火大会のお誘い』、10月の1週目は『パートの斡旋依頼』、母の日や父の日の挨拶文まで、意外と使える文章かと。あとは、毎日の日記をかけるフリースペースにも豆知識が掲載されていますし、カレンダーや月間ページにあるお花も毎年カメラマンさんが撮影した写真を使っています。このお花を楽しみにしてくれている読者さんもいらっしゃるので、こちらも変えたくないエリアですね(笑)。家計簿・料理のレシピ・日記機能がメインですが、それを支える魅力的なコンテンツもたくさんあるので、毎日ページを開くのが楽しいと思ってもらえればうれしいですね」

 

——隅々まで見ていくと本当に面白いコンテンツがいっぱいですね。今日はありがとうございました! 1年後、ちゃんと使えたかご報告させてください(笑)

 

「書く」ことにこだわった家計簿が他にも!

『日記兼用 お料理家計簿』は、2021年12月18日(土)から使えるようになっており、さらに自由日付欄もあるので、お給料日を始まりにして使いたいという人にも対応が可能。

 

私も、来る12月18日に向けて、まずはなんでもないノートにレシートを書き写す練習を始めました。ただ書き写しているだけですが、「食費ってこんなにかかっていたんだ……」とか「つい余計な買い物しちゃうな〜」と自分を客観的に見ることができ、アプリを使っていた時よりもお金を意識できるようになった「気」がしています(笑)。はやく『日記兼用 お料理家計簿』を使いたい……別な意味で力みすぎている気がしますが、眺めているだけでも来年が楽しみになる、そんな家計簿だと感じました。

 

またワン・パブリッシングからは『日記兼用 お料理家計簿』のほかに、『おトクで使いやすい! おはよう!家計簿2022』(328円・税込)『いちばん使いやすい家計ノート2022』(300円・税込)『らくらく家計ノート2022』(387円・税込)と、用途に合わせた家計簿も発売中。

「まずは書いてみる」から始めて、気がついたら10年30年と使い続けられて、その思い出とともに家計の歴史も残していけるのは、アナログの家計簿ならではですよね。自分の家の歴史を刻むような気持ちで、来年から『日記兼用 お料理家計簿』を始めてみませんか?

 

 

『日記兼用 お料理家計簿』

編著:ワン・パブリッシング
定価:990円(税込)

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