電車の移動中や外出先でよく本を読むのですが、声を出して笑ってしまい「あ、これ外だと読めない本だ」となったのが、掟ポルシェさんの『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』(掟ポルシェ・著/リットーミュージック・刊)です。
掟ポルシェさんといえば、ロマンポルシェでボーカル&説教担当として知られていますが、「食べもののことになると人格が変わる」のだとか。一体どれほど人格が変わるのか……ちょこっとご紹介しちゃいます!
掟ポルシェさん的、まずいメシとうまいメシが紹介されている本
掟ポルシェさんのTwitterをフォローしている人には「掟さんの新刊、爆笑なのぉ〜!! 読んで!!」とおすすめしたいのですが、「ん? 掟ポルシェって誰?」という人は、笑うどころか本を叩きつけてしまう可能性があるほど狂気を秘めているのが新刊『食尽族』です。著者である、掟さんご本人も「まえがき」でこんなことを綴っています。
初めて掟ポルシェの著書を読まれる、それが、これ! という方につきましては、ここでそっ閉じしたほうが、お互い身のため! そっちのほうが絶対精神衛生上いい! 無駄に傷つくのはよくない!
(『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』より引用)
なぜか……というと、掟さんの食へのこだわりが半端なく、好きな食べ物はとことん好き、嫌いな食べ物は息の根絶えるまでディスりまくるようなことが書かれてあるからです(笑)。
ここだけ読んで掟さんを嫌いにならないで欲しいのですが……「うどんを食べていて気が遠くなったのははじめてです」「これは料理の形をした公害!」「名物ってマッズイんですよね〜」と、結構なことが書かれています!!
一方、美味しい食べ物に対しては「もんのすごいソワソワして入店、恋焦がれる乙女の気分」「俺が今まで食べていたのはラーメンではなかったのかもしれない、そう思うぐらい」など好きというか熱狂している様が伝わってきます。掟さんの嫌いな食べ物が好き! という人は、心が傷ついてしまうかもしれません……。傷つきたくない人は、なんとなく目次を読んでから購入することをおすすめします(笑)。
九州の「うまくち」醤油について
ここからは九州にお住まいの方は傷つく可能性があるので、サッ! とスクロールしてください(笑)。
私も10年ほど前、数週間福岡に滞在していたことがありまして。そこでど〜しても許せないものがありました。それが「醤油」です。福岡の海鮮食べたい! とランチでちょっと良さげなお寿司屋さんに入ったのですが、醤油が甘くて……。当時はなんの知識もなかったので、なぜ甘いのかわからずにモヤモヤしていました。その後、うまくち醤油の存在を知り、文化を受け入れることができましたが、可能なら普通の醤油で食べたかったなぁ〜と振り返ります。
福岡に住んでいたことのある掟さんも、九州の「うまくち醤油」が苦手なのだとか。子どものころから甘じょっぱい味が苦手だったため、こんなことも書いちゃってます。
自分で「うまい」って言っているやつ、大抵ダメだからね。ほら、よくあんでしょ。ラーメン屋の店頭に「うまい」っつって幟出してる店。ああいうので1軒でもうまい店があったか? 本当に美味い店や美味しいもの作ってる店は、食えばわかるんだっての。「うまい」と名乗っているやつは基本信用できないように、うまくち醤油という名称自体、「そんなもんうまいかどうかは食べるほうが決めんだろバカ」と思ってしまいます。ナメんじゃねぇぞと。
(『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』より引用)
気持ちはめっちゃわかる……! ここだけ切り出してしまうとすごい掟さんが嫌な人みたいに思うかもしれませんが、全体通して読むと本当爆笑する本なので! お願いだからここだけ読んで「なんて本出してるんだ!」と怒らないでくださいっ!
掟流レシピも最高!
めちゃくちゃ食へのこだわりが強い掟さんですが、自炊にもかなりこだわっているそう。『食尽族』でもカレーや餃子などレシピが紹介されています。その中でも意外だったのが「おいしいご飯の炊き方」。お米のパッケージの裏には、30分くらい水に浸して〜なんて書かれてあったので、じっくり炊くほうがいいのだと思っていたのですが、掟さん曰く素早く研いで早炊きで炊いたご飯のほうが断然美味いそう。手順はこのように紹介されていました。
1:美味しい水で米を研いで浸す水をできるだけ澄ませる。
2:炊飯器の早炊き機能を使う。
3:炊きあがったらできるだけ早くふんわり混ぜる。
(『食尽族~読んで味わうグルメコラム集~』より引用)
そして、炊けたらすぐ食べる! も大切なポイント。
私も忙しい時は、早炊きをしていたのですが、炊けた後に混ぜずに放置していたためか、芯が残っていておいしくないな〜と思っていました。でも「3」をやるだけで、全然違う! 普通に炊いた時よりも、お米のおいしさがグッとつまっているように感じました。これから新米の季節にもなりますし、毎日のお米が普通だな〜変化が欲しいな〜という人は、騙されたと思って1回やってみてほしいですっ。
『食尽族』では他にも、掟さん流の食べログの使い方、(あまり使わないかもしれないけれど)ウニの雄雌の見分け方、ご当地名物について、『ラーメン狂走曲』の著者サニーデイ・サービスの田中貴さんとの対談、五反田にある『かれーの店 うどん?』のオーナーとの対談(これがマジ最高!)も掲載されています。
この秋は、「食欲の秋」を掟さんの本と一緒に楽しんでみるのはいかがでしょうか? 読み終わった後には、自分なりの美味いメシとまずいメシを振り返ってみるのもおすすめです(笑)。
食尽族~読んで味わうグルメコラム集~
著者:掟ポルシェ
発行:リットーミュージック
ニューウェイヴバンド、ロマンポルシェ。のボーカル&説教担当のほか、ユニークな文体でライターとしても人気を博す掟ポルシェ。
本書は自称「食べもののことになると人格が変わる」ほど食に執心する”食尽族”である著者によるグルメコラム連載(音楽エンタメサイト『耳マン』掲載)をまとめ、限定コンテンツを収録した「読んで味わうグルメコラム集」。