2015年ごろから話題になっているミニマリスト。自分にとって必要最小限のモノで暮らしていくという斬新さから、たくさんの書籍も発売され一気に広がっていきましたよね。きっと実践した人も多いはず。
でも、ミニマリストに憧れて効率を極めてモノを捨てたのはいいけれど……なんだかちょっぴり寂しい。そんな人にぜひ読んでもらいたいのが『シンプリスト生活』(Tommy・著/クロスメディア・パブリッシング・刊)です。著者のTommyさんは、会社員をしながらYouTubeでご自身のシンプリスト生活を紹介されています。春の新生活に向けてどんなお部屋にしたいか悩んでいる方、引っ越しのタイミングでシンプリスト生活に切り替えたい! と考えている方はぜひ読んでみてくださいね。
ミニマリストとシンプリストの違いとは?
「ミニマリスト」と「シンプリスト」は似ているようで実は考え方がちょっと違っているのだとか。ミニマリストの語源となっているミニマルは、数や量が少ないことを示しています。一方で、シンプリストの語源となっているシンプルは、簡素とか単純といったことを示します。両者には一体どんな違いがあるのでしょうか? まず、ミニマリストについてはこのように書かれてありました。
ミニマリストといった場合、所有物の量や数に焦点を当てて、いかに減らすかを第一命題としている人と解釈した方が、語源にも日本における実態とも合っているようです。
(『シンプリスト生活』より引用)
一方で「シンプリスト」は以下のように解説されています。
つまり、シンプリストとは、自分にとってのモノゴトの優先順位を整理し、自分に正直にいることを重視して行動する人と考えられます。
例えば、身の丈以上に背伸びしたり、人からの評価を気にするより、自分の価値観で判断することができるし、自分のことをよく分かっていて、自分らしくない選択肢はうまく手放します。
(『シンプリスト生活』より引用)
ミニマリストは、いかに少なくするか? いかに捨てるか? にフォーカスしていることに対し、シンプリストはモノの数ではなく自分の生活・考え方をいかに簡素にするか? に着目した考え方といえるでしょう。
自分の価値観を言語化してみる
「よし! 今日からシンプリスト生活をする」と、モノを捨て始める人もいるかもしれませんが、何もかも手放せばいいということでもありません。大切なのは、自分にとって何が大切で、何が大事なのか、そして何がいらないのか、自分の価値観を言語化することなのだとか。著者であるTommyさんの価値観をご紹介しましょう。
私の場合は「日々を心地よく、心豊かに過ごす」ことが一番大事です。そのために、以下のことを心がけています。
・大好きなインテリアを追求しながら、家を世界で最も心地よい空間に整える
・家事や仕事の「やらなければならない」は最小限に簡素化し、時間と心の余白を確保する
・大切な人との時間、大好きな自然や山での時間を味わう
・フットワーク軽く行動する、未来の可能性を広げるために身軽でいる
・何はともあれ健康(『シンプリスト生活』より引用)
自分の中で「ポリシー」を作っておくと、頭の中もシンプルに考えられるようになりますよね。自分の場合はどうだろう? と考えてみましたが「楽しいことだけしたい」に行きつきました(笑)。自分のポリシーが決まれば、どうしたらポリシー通りに「楽しいことだけできる暮らし」ができるか自然と考えられるようになるんですよね。
人によって価値観は異なるので、これが正しいということもないし、〇〇すべきといったこともありません。自分のポリシーが決まってから、私は謎に本棚を整理したい衝動に駆られてしまい(笑)、楽しいことだけできる暮らしに必要のないと思った本と大切にしたい本を入れ替えることができました。
『シンプリスト生活』にはたくさんの事例が紹介されているので、これは自分に合いそう! と思うものからどんどんお試しすることもできますよ。
暮らしはシンプルにできても、仕事はできないでしょ?
『シンプリスト生活』は、5つの章で構成されており、シンプルに働くことについても書かれています。自分のお家や考え方がシンプルにできても、仕事ではそううまくいかないでしょ……と思ってしまいますが、著者のTommyさんは仕事でも自由にシンプルにできているそう。
仕事においても、暮らしにおいても、有限の時間やエネルギーを「大切なこと」にフォーカスし、それ以外はできるだけ排除することは、シンプルであるために必要な行動原理と言えます。
(『シンプリスト生活』より引用)
Tommyさんは「残業はしない」と決めて、定時にオフィスを出て帰宅後にYouTubeの動画制作や自分のやりたいことを副業にしています。これまでに色々な副業にチャレンジしたそうですが、ほとんど続かなかったそう。けれど、やってみないとどれが自分に合うかわからないので、やってみることが大切だと書かれてありました。
これもTommyさんの生活に「余白」があるからこそ実現できているチャレンジですよね。自分にとって何が大切なのか? そんな価値観を優先してシンプルに考えていくと、自分らしいシンプリスト生活ができるような気がしました。まだまだ日本では、〇〇さんがやっているから、みんな同じがいいからと「自分の価値観」を把握することが難しい文化があるでしょう。私も理想の「楽しいことだけできる暮らし」に向けて、シンプル思考で日々を取り組んでみたいと思います。
ミニマリストを目指してみたけどうまくいかなかった方、これから新生活を始める方など春から何かを始めてみたい人は、ぜひ読んでみてくださいね!
【書籍紹介】
シンプリスト生活
著者:Tommy
発行:クロスメディア・パブリッシング
好きなモノに囲まれて、小さく豊かに暮らす方法。時代はミニマリストからシンプリストへ。