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2023/3/24 21:15

サトミツさんの言葉を読みながら、自分の生き方もじっくり考えられる一冊『スターにはなれませんでしたが』

春は、別れや出会い、いろんなことが起こる季節です。新しい環境に不安な人、楽しみな人、変わらない人、変えられない人もいるでしょう。夢や希望に向かってルンルンで進んでいる人は、そのまま楽しんでいただきたいのですが、ちょっとでも「このままでいいのかな?」「自分の価値が見出せない」と思っているなら、ぜひ『スターにはなれませんでしたが』(佐藤満春・著/KADOKAWA・刊)を読んでみてください。

 

著者のサトミツさんは、芸人だけでなく構成作家としても活躍している人。作家として関わっている番組はテレビ・ラジオ合わせて19本。『スッキリ』(日本テレビ)や『キョコロヒー』(テレビ朝日)、『オードリーのオールナイトニッポン』(ニッポン放送)などなど一度は見聞きした番組を担当されています。芸人からどのようにして構成作家の仕事もするようになったのか? 働き方や生き方に悩む人にお届けしたい一冊をご紹介します。

芸人でてっぺんになれない=辞めるだけじゃない

サトミツさんは本の中で「消去法で芸人を選んだ」と書いていました。多くの場合、芸人になりたい! 夢を叶えたい! というイメージですが、「他にやりたいことがなかった」という理由で選んだそう。しかし、しばらく芸人生活を続けていく中で、思っていた以上に過酷な世界だと実感します。「このままじゃ芸人として生き残れない」そう感じたサトミツさんは、辞めるのではなく、あることを始めます。

 

そこで僕が始めたのは「自分で山を作ってそこで一番になる」作業です。

芸能生活でも私生活でも「パンチがない」「個性がない」と言われ続けた僕は、目の前の高い山を見上げ、たくさんの才能に圧倒されて絶望した後、希少性の獲得に踏み出します。つまり、「芸人界」というどでかい山を降り、「トイレ」「掃除」「放送作家」という掛け合わせで自分だけの山を勝手に作り、勝手にその山で一番になってみたのでした。

(『スターにはなれませんでしたが』より引用)

 

目の前の高い山を前にして「無理だ」と下山し、新たな山に登る人がほとんどですが、自ら山を作る人はあまりいませんよね。正攻法では登れないと思ったからこその作業だったのかもしれません。これは、ビジネスパーソンとして働く人にも言えることだなぁと感じました。営業でトップの成績を取るのは絶望的だ、と感じているのなら、その山の近くに自分にしかできないことを掛け合わせて、新たな価値を作ってみるのはどうでしょうか? 例えば、「営業」「Podcast」「料理」を組み合わせて、自社製品の魅力を伝える音声番組を配信してみる……とか(思いつきです!)。ちなみに、この作った山は誰かに認めてもらうことを前提としないほうが良さそうです。自分が自分を好きでいられる状態を作ってあげることが大事だと、サトミツさんの本を読んで感じました。

 

人は「向いている仕事」にたどり着く?

現在のサトミツさんが担当する番組は19本! どうしてこんなに仕事が増えたのか自分ではわからないとも書かれていました。本を読んでいると「とっても謙虚な人なんだなぁ」と伝わってくる部分もあるのですが、私としてはこの思想が、サトミツさんを今のポジションに導いたのでは? と感じました。

 

僕の経験だけで言うと、人は必ず「自分の向いている仕事」「環境」「縁のある場所」にたどり着くと思います。

自分の向き不向きなんて、自分でわかるまでには時間がかかるものですが、周りの人はそこがよく見えていて、僕に合った仕事がどんどん残っていく。逆に言うと向いていない仕事は減っていくので、僕に何が向いているかは、今の仕事を羅列するとよく見えてくるなと自分でも思います。

(『スターにはなれませんでしたが』より引用)

 

30代後半になってくると、この言葉は妙に腑に落ちる部分がありました。仕事の向き・不向きって、自分ではすぐにわからないんですよね。Aがしたくて新卒で入社するも、Bに興味が出て転職。Bの世界では活躍できず、再びAに戻ったが、前より楽しく仕事ができるようになった……なんてこともあるかもしれません。「自分に合う仕事ってないのかな?」とお悩みのあなた、きっとたどり着くから大丈夫!

 

7名との対談も最高!

『スターにはなれませんでしたが』は、サトミツさんのエッセイだけでなく、7名の方との特別対談も掲載されています。登場するのは、オードリーの若林さん、春日さん、日向坂46の松田好花さん、DJ松永さん、南海キャンディーズの山里さん、日本テレビの局員である安島隆さん、テレビ朝日の舟橋政宏さんです。どれも「お互いが信頼関係を持ってお仕事しているんだな〜」と羨ましくもあり、自分もサトミツさんのように生きてみたい、そんな風にも感じました。

 

個人的には、読むたびに響く言葉が変わる一生読み続けられる本だなと思います。仕事における悩みは尽きないし、生き方も「このままでいいのかな?」と常に考えてしまいますが、正解は自分で見つけるしかありません。サトミツさんのエッセイは、〇〇しなさいとか〇〇がいいとか自己啓発本のような感じがゼロなので(笑)、自分で「こうしようかな」と一歩踏み出すことができる本です。読むたびに刺さるポイントが変わってくると思うので、常に悩みがちな人は、一家に一冊置いておくのがおすすめです。私も、読むたびに使う付箋を変えて1年ごとに読み比べてみたいな、なんて思っています。

 

【書籍紹介】

スターにはなれませんでしたが

著者:佐藤満春
発行:KADOKAWA

超がつくほど凡人な僕が“芸能界”という特殊な世界で20年サバイブしてこれた理由。放送作家として「オードリーのオールナイトニッポン」「キョコロヒー」など人気番組19本を担当!芸人・ラジオパーソナリティ・トイレや掃除の専門家としても幅広く活躍。多くの人気芸人、タレント、アイドルたちが信頼を寄せるサトミツこと佐藤満春の自叙伝的初エッセイ

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