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2023/9/8 18:00

その用語、日本語じゃダメですか? 新感覚のビジネス用語集『新入社員、会議についていけません。』担当が語る制作秘話

「会議のアジェンダを共有します」「水曜日にフィックスで」などなど、日頃からカタカナのビジネス用語を口にしていませんか?

なんとなくわかったつもりで使っていても、実は相手に伝わっていなかった! なんてことも。今回はそんな誤解しやすい&されやすいビジネス用語をまとめた『新入社員、会議についていけません。』をご紹介します。イラストを担当したうのきさん、企画・編集担当をしたGakkenの浦上啓太さんに、制作秘話をたっぷり伺いました!

 

「これって日本語にできるよね?」が企画のタネに

ビジネス用語集と聞くと真面目に解説された辞書のような本を想像しますよね。しかし『新入社員、会議についていけません。』は、白目をむいた男性社員が表紙に描かれ、帯には“宇宙一しょうもないビジネス用語集、爆誕!”とのコメントが(笑)。新入社員の田中くんが、社長や取引先から放たれる70個のややこしいビジネス用語に翻弄される様子を楽しみながら、ビジネス用語を学べる新感覚の用語集になっています。

−−今回の企画はどのように立ち上がったのでしょうか?

 

浦上さん「私は社会人3年目で、普段は小中学生向けの参考書を編集しています。社会人生活を送るなかで、『アジェンダ』とか『フィックス』ってカタカナのビジネス用語に違和感を感じるようになってきまして……。アジェンダなら『議題』、フィックスなら『確定』と日本語で全部伝わるのに、あえてカタカナにする意味とは? と、思ったのがきっかけです。この感覚は自分だけなのかな? と思っていたのですが、SNSや社内でも同じ感覚の人がいたので、ユーモアを交えながらおもしろおかしくビジネス用語を解説できる本を作ろうと企画し、うのきさんにご相談しました」

 

うのきさん「僕も浦上さんと同じ違和感は感じていたので、お話をもらって楽しく描かせてもらいました。感覚としては、大喜利に近かったですね。ひとりで『ボキャブラ天国』をやっているみたいな(笑)。たまに筆が乗りすぎて『ボケの意味がわからないです』って浦上さんに注意されたことは何回もありました。とはいえ、なかなかいいアイデアが浮かんでこない時もあったので、楽しい半分、苦しい半分。制作中は、オンライン会議で浦上さんとどんなボケがいいかお互いに意見を出し合って、イラストを仕上げていきました」

 

浦上さん「本当うのきさんと一緒でなければできなかった一冊です。オンライン会議も楽しかったですね(笑)。『新入社員、会議についていけません。』の構成は、ページをまたいで用語の解説をしています。この用語ってどんな意味だろう? とか、田中くんはどんなボケをするかな? とか、ページをめくるワクワクを感じながら楽しく読んでもらいたいです」

 

定番のビジネス用語とおもしろおかしく向かい合う

当初、『新入社員、会議についていけません。』に掲載するビジネス用語の候補は150ほどあったそう。最終的にはどんな業界でも通じやすく、キャラクターたちをイキイキと描ける70用語に厳選されました。「本当は、VUCA(※1)やKPI(※2)といったアルファベット用語も掲載したかったのですが、流行り廃りも激しいので掲載は見送りました」と、浦上さん。

※1 変化[Volatility]・不確実[Uncertainty]・複雑[Complexity]・曖昧[Ambiguity]の頭文字をとった言葉で、将来の予測が困難な様子を示す
※2 Key Performance Indicatorの頭文字をとった言葉で、重要業績評価指標のこと

 

ここからは、『新入社員、会議についていけません。』に掲載されているイラストと共に制作秘話をご紹介していきます。

 

浦上さん「予約という意味の『アポ』のイラストは、この本の方向性、おもしろさが決まったものだったと思います」

 

うのきさん「アポとアッポーって割とベタベタな感じのほうが、田中くんのアホっぽさが際立っていいなぁと思ったんですよね。『エビデンス』で部長がエビダンスしているのも気に入っています(笑)。あと、ダジャレのように言葉を違うトーンとか切り口で描くのも楽しかった。『サマリー』は、完全にダジャレですからね!」

 

浦上さん「仕事をしていてよく聞くのは『フィックス』。締め切りが決まっている出版業界にいるからかもしれませんが、安心する言葉なんです。『〇〇がフィックスしたよ!』って聞くと心からホッとします(笑)。逆に新人社員では使わないと思ったのは、利害関係者という意味の『ステークホルダー』ですかね」

 

うのきさん「僕は普段でも『タスク』は、よく使っちゃいますね。日本語で作業っていうより、タスクって伝えたほうがわかりやすいなと思います。将来を見通す意味がある『ビジョナリー』とかは、唇が忙しくなるので使いたくない単語だな〜って思ってました(笑)」

 

ビジネス用語と共存していける未来を目指して

ページをめくる度に楽しさが増していき、楽しんでいるうちに言葉の意味も理解できる『新入社員、会議についていけません。』。最後に、どんな人に読んでもらいたいか伺いました。

 

浦上さん「社会人になる前の方、新人社員でビジネス用語の意味がわからない方、部下の言っていることがわからなくて困っている方に読んでいただきたいですね」

 

うのきさん「海外旅行に『地球の歩き方』みたいなガイド本を持っていきますよね? それと同じように、会社に入社したら『新入社員、会議についていけません。』を携えてもらって、社会の荒波を乗りこなしてほしいです!」

 

浦上さん「この本ではビジネス用語をゼロにしようとしているのではなくて、どうやったら向かい合えるか? そんなヒントを届けたかったんですよね。ビジネス用語って使い心地もいいので、つい使っている人も多いと思うのですが、正しい意味をお互いに理解しないまま共通言語かのように使われてしまうのは問題だと感じています。ビジネス用語を使いがちな方にも読んでもらって、場面に合わせて最適な言葉を使ってもらえたらうれしいです」

 

うのきさん「この本を通じて、ビジネス用語と上手に共存できるといいですよね。日本語のほうが伝わるなら日本語で、説明が長くなるものはビジネス用語で、と使い分けられると自分も相手も心地よい会話ができるようになりますよ」

 

 

『新入社員、会議についていけません。』は、新人社員はもちろん、幅広い年代の方が楽しめる一冊です。一度読むと「あ、この用語は日本語で伝えた方がわかりやすい」と発見できるので、ビジネス用語を“つい”使ってしまう方にも手に取っていただきたいと思います。また表紙カバーを取るとおもしろい仕掛けもあるので、こちらは手に取った方のお楽しみ! 会社の読書棚にもぜひ加えてみてくださいね。

 

【書籍紹介】

新入社員、会議についていけません。

著:Gakken
発行:Gakken

コミット?シナジー?バッファ?リソース?それ全部、日本語で言ってくれ!!ビジネス用語に振り回される全社会人の味方です。

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