物価高騰が止まりませんね。先日、東京駅に用事がありウロウロとしていたところ大好きな崎陽軒の「シウマイ弁当」を発見。しかし、その価格が950円だったんです。シウマイ弁当に罪はないものの、ここまで来たか……とショックを受けました。
毎月のように値上がり商品が増えていく今、お家の家計状況を把握するためにも、家計簿をつけようと思うのですが…なかなか手がつけられず2023年も残り100日を切りました。そんな時、見つけたのが『レシート探訪』(藤沢あかり・著/技術評論社・刊)という一冊。『北欧、暮らしの道具店』の連載をまとめた本なのですが、時間を忘れて読み耽ってしまうほど心が躍る内容でした。
レシートは生活の記録?
『レシート探訪』には、著者である藤沢あかりさんが取材した26人のレシートの話が掲載されています。編集者さんやイラストレーターさん、スタイリストさんなどさまざまな年代、業種の方々のレシートを覗き見することができます。
少しずつコンビニやスーパーで買い物する人、一度にまとめて買う人、立ち寄ったカフェ、購入した雑貨などなどレシートには、その人の“生活の記録”が詰まっていました。『レシート探訪』を読んでいくと、レシートは、いつ・どこで・何を買ったかだけじゃなく、その時の気持ちも思い出させるのか! と気づかせてくれます。
いつもなら「レシートいらないです」と断ってしまうこともあるのですが、なんだかもったいない気がしてくるんですよね(笑)。週に一度、レシートを見返す時間があると、生活がいつもよりちょっと楽しくなるかも! ついでに家計簿もつけられたら一石二鳥じゃない? そんなふうに思わせてくれます。
これは捨てられない……はじめてのおつかいのレシート
みなさんには思い出のレシートってありますか? 『レシート探訪』を読むまで、思い出の品としてレシートを取っておくなんてこと考えてもいなかったのですが、めっちゃ素敵なエピソードが掲載されていたのでご紹介します。
著者である藤沢あかりさんのコラムなのですが、セブン-イレブンで買われた「ハム」と「アイスコーヒー」のレシートのことが書かれてありました。これだけを聞くとなんてことないものですが、実は息子さんが「自分で取るから場所だけ教えて」と500円玉を握りしめて、はじめてのおつかいに出かけた時のレシートなのです。
シワシワになったコンビニのレシート。いつもならすぐに捨ててしまうその一枚を、この日は大事に財布にしまった。
(『レシート探訪』より引用)
映画の半券やテーマパークのチケットはたまぁ〜にノートや手帳に挟んでおくことがありますが、はじめてのおつかいのレシートって、もう宝物みたいになりますよね。最近は電子決済で、レシートすら発行されないこともありますが、思い出とともにレシートを保管しておきたいな、と感じました。
そう思うと、結局値上がりしていて買わなかった東京駅の「シウマイ弁当」も買っておけばよかったとすら思います(笑)。いろんな商品がちょっとずつ値上がりして、それが当たり前に感じてしまう昨今ですし、値上がりにショックを受けた気持ちをレシートに込めておけば、また価格が変わった時、いろんな気づきを感じられるだろうと思いました。
レシートから見えてくる「その人らしさ」
今まで見向きもしてこなかったレシートですが、レシートを通じていろんな人の生活や暮らしをのぞいてみると、自分の生活についても大切に考えられるようになりました。『レシート探訪』の最後には、こんな一文が掲載されています。
テレビやネットニュースに流れてくる大きなニュースに比べ、日々の買い物など、些細な出来事かもしれません。けれど、暮らしとはそんな「なんでもないようなこと」がほとんどです。
ところが、だんだんと気づくことになりました。その「なんでもない」ように見えた買い物は、その人の意思決定そのものであり、「なにを選ぶか」は、「どう生きるか」のはじまりでもあったのです。(『レシート探訪』より引用)
何気なく選んでいるものでも、そこには自分の意思があるんですよね。疲れている時は辛いものを食べている、毎週キウイ買っているなど、数日だけでもレシートを残して振り返ってみると、その日の自分の気持ちも思い出せます。
家計簿をつけようとか、日記を書こうとか、年末が近づいてくると新しいことを始めたくなりますが、レシートを集めて振り返ってみる、これだけでも日々の暮らしがちょっと豊かになるかもしれません。
また『レシート探訪』を読むだけでも、毎日の「なんでもない」買い物に彩りを添えてくれます。普段なら捨ててしまっているレシートですが、思い出を振り返るように何枚か取っておいてみませんか? 今まで見えてこなかったナニカが見えてくるはずですよ!
【書籍紹介】
レシート探訪
著:藤沢あかり
発行:技術評論社
レシートには、暮らしが詰まっている。外出自粛のあのころ、そしていま。買い物の先にあった、変わりゆくなかの変わらないこと、新しく見えた景色ー。『北欧、暮らしの道具店』連載、“改稿+書き下ろし”待望の書籍化!
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