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2023/3/24 11:30

【KFC】次世代に“おいしさ、しあわせ”をつなげる! ケンタッキーの環境への取り組み

温暖化や資源の枯渇、生態系の崩壊――。地球環境の保護は、いまや企業も個人も一体となって取り組むべき喫緊の課題です。創業者カーネル・サンダースのロゴや立像でおなじみのケンタッキーフライドチキン(KFC)でも、さまざまな施策を展開しているとか。今回は環境負荷低減のためにKFCが行っている取り組みについて調べてみました。

KFC_環境への取り組み

 

廃油リサイクル率100%! 一部は鶏の飼料に生まれ変わる

KFCの看板メニューといえば、いわずと知れた「オリジナルチキン」。調理後には使用済み揚げ油が排出されます。KFCではこの揚げ油をそのまま捨てることはせず、リサイクルを実施していますが、一部店舗では、鶏の飼料として登録飼育農場で再利用しているとか。
KFC_環境への取り組み
これは飼料から飼育プロセスにいたるまで厳しい基準を設け、管理しているKFCだからこそ実現したリサイクルループ。廃油リサイクルによる飼料化は現在、関西地区の直営52店舗で取り組んでおり、そのほかのリサイクル方法と合わせるとKFCの廃油リサイクル率はなんと100%だそうです!

KFCで使用するこの揚げ油はアブラヤシからつくられるパーム油で、RSPO認証(Mass Balance)を得ています。RSPO認証については追って説明しますね。

KFCは環境にも社会にも優しい認証パーム油を使用!
そもそもパーム油ってどんな油?

年間を通じて気温の高い熱帯の国々では、家庭用にパーム油を使用する地域もありますが、日本では冬に固まってしまうため、食用油としてスーパーなどの店頭で販売されることはほとんどありません。とはいえ、ショートニングやマーガリンなどさまざまな油脂の原料となるほか、化粧品や洗剤にも含まれており、スーパーに並ぶ商品の約半分に使用されているとも言われています。そんな世界で最も使用されている植物油であるパーム油ですが、近年は生産に伴う環境破壊が問題となっています。パーム油を生産しているのはインドネシアやマレーシアなどの熱帯の国々。とくにインドネシアは過去10年で生産量が約2倍に増えており、それにともなう森林破壊や生態系への影響、強制労働が指摘されています。

※イメージ

そこで2004年、世界自然保護基金(WWF)が中心となり、国際NPO団体RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil)を設立。農園や搾油工場で持続可能な生産が行われているか、またそのパーム油が製造・加工・流通過程において適正に管理されているかをチェックし、条件を満たしたものにRSPO認証マークを付与しています。

前述したとおり、KFCではそのRSPO認証を得たパーム油のみを使用しています。

■参照元:WWFジャパン https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2484.html

 

環境に優しい紙製パッケージを採用

チキンを入れるバーレルやドリンクカップなど、KFCの紙製パッケージは、すべてFSC®認証紙。筆者も紙のパッケージの横にFSC®のマークがついているのを目にしたことがあります。
KFC_環境への取り組み
野生動物のすみかとして、また二酸化炭素の排出吸収源として地球温暖化防止に重要な役割を果たす森林は、世界レベルで急速に減少しています。これを受け、1994年に発足した非営利団体がFSC®(Forest Stewardship Council®:森林管理協議会)。10の原則と70の基準を定め、適切に森林が管理されているかを審査しています。

FSC®に認証されるためには、森林管理だけでなく、森林から生まれた製品が消費者の手に届くまでの、生産、加工、流通、全ての工程が認証を受けなくてはなりません。このFSC®マークが入った製品を選ぶことで、世界の森林保全に貢献できるのです。

KFCでは、FSC®認証の資材に変更するだけでなく、紙の使用量そのものを減らすことにも努力しているそうです!

■参照元:WWFジャパン https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3547.html

 

世界の海を守れ! KFCは脱・プラスチックへ!

プラスチックは便利な素材ですが、近年、海洋汚染や温暖化など深刻な環境問題の原因の一つとされています。そのため、使用量の削減やリサイクルの必要性が叫ばれています。特に海洋汚染は深刻。適切に処理されず海に流れていったプラスチックごみは、世界で1億5,000万トンあると言われ、さらに毎年800万トン(ジェット機5万機相当の重さ!)が新たに流出していると推定されています。海に漂うプラスチックごみは、アザラシやクジラ、ウミガメをはじめ、魚や海鳥など多様な生物の命を脅かしています。

KFC_環境への取り組み
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プラスチックごみはいずれ5mm以下のプラスチックの粒子(マイクロプラスチック)になりますが、分解速度が非常に遅く、数百年以上海を漂い続けます。これらが世界中の海を浮遊して堆積し続ければ、海洋環境に甚大な影響を及ぼすことが予想されています。

この問題を解決するためには、ごみの量を減らす(Reduce)、再利用する(Reuse)、再生産する(Recycle)の3つが基本となります。

KFCでは、プラスチックスプーンやマドラーをプラスチックから、環境に配慮した素材に切り替えたりするなどの取り組みを行っています。
KFC_環境への取り組み
ウッドスプーンは順次切り替えており、この切り替えにより年間80.6トンのプラスチックが削減できる見込みとのこと。

また、プラスチック製のメニューボードの代わりにデジタルサイネージを導入するなどの対応で、プラスチックの削減に取り組んでいるそうです。
KFC_環境への取り組み

■参照元:WWFジャパン https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3776.html

 

レジ袋も環境に配慮した素材に

KFCはテイクアウト用の袋にも、環境の負荷を減らす工夫をしています。そのひとつがバイオマスプラスチックを使用したレジ袋の採用です。

バイオマスとは、動植物から生まれた再生可能な有機性の資源のこと。バイオマスプラスチックは、トウモロコシやサトウキビなど、植物由来の原料を利用してつくられています。

KFCではレジ袋をサトウキビ由来のバイオマスプラスチックの配合率を50%に引き上げ、さらに適正な厚みに見直すことで、年間のプラスチック使用量を155トン、CO2排出量を17%削減できる見込みだそうです。

いつの時代も変わらないおいしさを提供してくれるKFCですが、環境に対する取り組みは日々進化しています。次の世代にも笑顔でおいしくフライドチキンを味わうしあわせを残すため、私たち利用者も不要なカトラリーや紙ナプキンはもらわない、食べ残しをしないなど環境を守るための行動をこころがけたいものですね。