2023年下半期から2024年までの「政治・経済」「スポーツ・エンタメ」分野のトピックを、カレンダー形式で紹介。情報番組のコメンテーターも務める経営コンサルタント・坂口孝則さんの解説を交えて、どのトピックに注目すべきか、我々の生活にどんな影響があるのかを探る。
※こちらは「GetNavi」2023年9,10月合併号に掲載された記事を再編集したものです。
この人が教えてくれました
経営コンサルタント 坂口孝則さん
調達・購買業務コンサルタント。コスト削減や仕入れの専門家としてテレビ・ラジオで活躍している。
コロナ禍からの解放をバネに飲食業界なども好転か
エンタメ・スポーツ分野においては、イベントの開催制限が終了した新型コロナの5類感染症移行は大きな転換点だった。
「2023年下半期はコロナ禍からの本格的な解放を意味します。隅田川花火大会やフォーミュラEが象徴的。消費活動が活発化し、いまだに落ち込んでいる飲食業界には好影響でしょう」(坂口さん)
日銀は2021年からコロナ禍による「強制貯蓄」というワードを用いており、冷え込んだ消費の反動に期待している。物価の上昇が止まらないなか、消費が抑えられたぶん懐が暖かい、という実感を持っていた消費者は多くないだろうが、今後の金融政策や暮らしへの影響はあるのだろうか。
「G20首脳会議やEU首脳会議、G7貿易相会合、日銀金融政策決定会合など国際政治と経済のトピックも多数控えています。特に日銀金融政策決定会合は、金利変動があれば住宅ローンや企業業績を左右することに。私たちはイベントの復活を喜びつつも、生活防衛の気持ちも緩められない半期になります」(坂口さん)
今年の下半期は、世界経済に大きな影響をもたらす可能性のある国際会議が控えている。また、日々の仕事・生活に直結するという点では、インボイス制度も事前に準備すべきことについてポイントを押さえておきたいトピックだ。
<政治・経済編>
8月24日ウクライナ独立記念日
1991年の同日、ウクライナは旧ソ連からの独立を宣言。また、2022年2月24日のロシアによる軍事侵攻開始からは1年半にあたる。今年6月以降ウクライナ軍は大規模な反転攻勢を始めており、なおも戦火が止みそうにない。
9月1日 関東大震災 発生から100年
1923年9月1日11時58分、相模湾を震源とする推定マグニチュード7.9が発生。死者10万人以上の未曽有の大災害を教訓とすべく「防災の日」になった。今年は内閣府主催の国内最大規模の防災イベント「防災推進国民大会」などを予定。
9月21日 日越(ベトナム)外交50周年
外交関係樹立50周年を記念して日本側は実行委員会を樹立。文化、芸術、スポーツなどの多彩な分野で相互理解を深め、友好を促進する活動は認定事業として、イベントを開催する。パナソニックやイオンなど様々なパートナー企業が参画。
10月1日 適格請求書等保存方式 (インボイス制度)が導入
より正確に消費税額を伝えることを目的として、仕入税額控除するためには必要事項を追加した適格請求書(インボイス)が必要になる制度。請求書フォーマットの変更や、課税事業者の場合は基本的に登録申請などをする必要がある。
10月26日 ジャパンモビリティショー (旧・東京モーターショー)が開催
旧「東京モーターショー」から刷新し、東京ビッグサイトで開催。自動車産業のみならず、ほかの産業やスタートアップ企業も含めたオールジャパンで作り上げる、「明るく、楽しく、ワクワクする未来の日本」をテーマにした体験型シンボルコンテンツを用意。
10月28日 G7貿易相会合
G7関係閣僚会合のひとつである貿易大臣会合が大阪・堺で開催。第1回会合(4月にオンライン開催)の成果やG7広島サミットでの成果も踏まえ、自由貿易体制の維持・強化、経済安全保障の強化について、さらなる協力を追求する。
2024年度上期 日本銀行券(一万円券、五千円券、 千円券)が刷新予定
2024年度上期中を目途に発行開始予定。一万円券には渋沢栄一(表)と東京駅(裏)、五千円券には津田梅子(表)と藤(裏)、千円券には北里柴三郎(表)と富嶽三十六景(裏)の図柄がそれぞれ採用される。
〜2024年夏 2030年冬季 オリンピック大会の開催地が決定
パリ大会の開催までには決定される方針。札幌市も候補地として招致活動を行っていたものの、東京大会に関する汚職・談合事件の影響でストップ。市民からの支持の低下もあり、2034年以降の大会も視野に検討している。
8月25日〜9月10日 FIBAバスケットボール ワールドカップ2023が開催
フィリピン・インドネシア・日本の3か国で開催。32チームが参加し、16日間の日程で92試合が行われる。2006年以来2度目の開催国となった日本チームの予選グループの試合会場は、すべて沖縄スタジアム。
9月8日〜10月28日(現地時間) ラグビーワールドカップ 2023が開催
通算10回目の節目を迎えるフランス大会は全9都市で開催。20チームが参加し、51日間の日程で48試合が行われる。日本チームは予選プールでイングランドやアルゼンチンなどと激戦必至の4試合を戦う。
9月29日 横浜・みなとみらい地区に 「Kアリーナ横浜」が開業
全2万席をステージ正面に向けて扇形に配置した、世界最大級の音楽特化型アリーナ。横浜が生んだアーティスト「ゆず」が開業公演を行う。ホテル「ヒルトン横浜」が隣接。 10月 第100回東京箱根間往復大学駅伝 競走(箱根駅伝)の予選会が開催 次回の箱根駅伝は、第100回の記念大会。東京・立川市で行われる予選会は、全国の大学に出場権がある。出場枠も3枠増やし、予選会からは13校が箱根への切符を手にする。
12月22日 映画「劇場版 SPY×FAMILY CODE White」が公開予定
2024年3月 日本初の公道本格レース フォーミュラEが有明で開催
「ABBFIAフォーミュラE世界選手権」の来季第7戦「東京E-Prix」は、東京ビッグサイト周辺の市街地がレース会場。FIA公認の世界選手権として初めて東京で開催される。
2024年7月26日〜9月8日 パリで夏季オリンピック、 パラリンピックが開催
パリ五輪では、ヒップホップをベースにしたダンス競技「ブレイキン(ブレイクダンス)」を新採用。日本・スポーツ庁の重点支援競技では最上位のS評価で、メダルに期待。
<エンタメ編>
各種エンタメ系イベントの開催状況はほぼコロナ禍以前の水準に。国際的なスポーツイベントでの日本チームの活躍にも期待したい。来年で「東京2020」から4年が経ち(実際の開催は2021年)、パリ五輪がいよいよ開催!
9月21日 日越(ベトナム)外交50周年
日越友好を維持して 日本の未来へつながるか
「日本での労働者が非常に多い国ベトナム。ベトナムとの友好関係を維持できるかが、日本の将来を決めます。交流イベントが多数開催され、企業間の取引がいっそう盛んに。ベトナム関連株をウオッチするのも◎」(坂口さん)
10月28日 G7貿易相会合
西側陣営の半導体包囲網完成なるか
「下期は半導体の出荷が一段落し、戦略を練る時期。生成系AIやEV、スマホなどが伸長するなか、西側陣営の供給網が完成するか。中国が西側の技術を生かせなければ他国に代替され、商品が値上がりする可能性も」(坂口さん)
9月29日 Kアリーナ横浜が開業
インバウンド時代にも強いスマート・コンパクトシティ
「世界的にMICE(※)が注目されるなか、中心部から歩いて主要地を回れる横浜に熱視線。特にインバウンド時代にはイベント・エンタメが重視されます。住む・働く・楽しむが集約する横浜への移住も選択肢」(坂口さん)
2024年3月 フォーミュラE@有明
新たな産業とムーブメントのきっかけに
「現在、日産自動車が参加しているものの、日本人に知名度が高いとは言えません。騒音が少なく都市開催に適し、観光や飲食需要が高まるのは当然で、F1とともに日本に新たな文化として根付くでしょう」(坂口さん)