一説として若者の酒離れやファストフード店での「ちょい飲み」需要などによって、居酒屋業界は不況だといわれています。そんな社会情勢にあって、快進撃を続けているチェーン店があるのをご存知でしょうか? この5年間で営業利益が10倍以上に伸び、2016年には一部上場。そして同年500店舗を突破した鳥貴族です。そこで東京支社に伺い、躍進の背景や人気商品などを聞いてみました。
1ブランドに注力&絞るからこそ磨き尽くせる高価値が鳥貴族の強み!
お話を聞いたのは、営業部を統括する山下陽取締役。まず知りたいのは、鳥貴族が好調な理由です。どのような取り組みが支持を得ているポイントなのでしょうか?
「最も評価をいただいている点は、やはり全品税抜280円均一という低価格。そして、高価値である商品力と自負しております。そのうえでより価値を向上しようと食材を見直したり、提供スピードを速めるためにオぺレーションを改善したりといった取り組みがありますね」(山下さん)
鳥貴族は均一価格居酒屋のパイオニア的存在で、なおかつそのリーズナブルなスタイルを一貫して続けている稀有な存在。商品づくりにも定評があり、特に焼鳥一本一本を店内で串打ちするほど手間暇をかけるのは有名です。チェーン店というと、セントラルキッチンで大量に作ったものを各店舗へ運ぶというイメージ。でも、鳥貴族の焼鳥は違います。そこにこだわる理由は、人の手で提供直前に串打ちをしたほうがおいしいからなのです。一方で、それ以外にも心がけていることはあるのでしょうか。
「共通しているのは全品税抜280円というメニューのなかで、味と質とボリュームの価値あるものを提供していきたいという想いです。そのひとつが昨年取り組んだ、フードメニューで使用する食材の国産100%化ですね。とはいえ、2017年の弊社のテーマは食の安全。さらに安心と安全をお届けできるよう尽力してまいります!」(山下さん)
串打ちも国産化も機械打ちや輸入食材に比べるとコストがかかります。それでも280円均一(税抜)にできる企業努力が鳥貴族の強さなのかもしれません。これは大手居酒屋チェーンが魚介類なども扱うなか、鳥貴族は鶏に特化した1ブランドだけを運営していることがひとつの理由。鶏が食材のメインなので大量発注ができるうえ、食材ロスも少ないからだといえるでしょう。
毎年少しずつテコ入れしながら新メニューも導入!
そんな鳥貴族ですが、毎年春と秋に一部のメニューをリニューアルしています。その詳細を聞くと、季節的な部分やオーダー数を加味して10程度の商品を入れ替えるとか。そこで、いま提供されている新メニューの一例を調べてみました。
高コスパの鳥貴族で特におトクな神メニューはこれだ!
さらに深掘りして、焼鳥と焼鳥以外のフードメニューのそれぞれ人気メニューTOP3も聞いてみました。なんでも、このTOP3は原価率も特に高い商品のようで、それだけコスパもいいとのことです。
<焼鳥人気TOP3>
【第3位】砂ずり(砂肝)
【第2位】つくねチーズ焼
【第1位】もも貴族焼(たれ)
<フードメニュー人気TOP3>
【第3位】とり釜飯
【第2位】ふんわり山芋の鉄板焼
【第1位】キャベツ盛
なお、ドリンクで圧倒的に人気なのは「金麦(大)」。700mlと大容量ながら、もちろん価格は税抜280円という高コスパです。話を聞いてわかったのは、おいしさを追求するだけでなく280円均一を長年貫いているという頑なな姿勢。この愚直さが店頭に掲げられた「うぬぼれ中」、すなわち自信へとつながっているのではないでしょうか。
設立35周年にあたる2021年に、1000店舗を目標に突き進む同社。そのためには、2017年の酉年がターニングポイントになるのではないでしょうか。次の機会には、昨今の鶏の盛り上がりに対する思いとともに、今年の意気込みや今後の企画について聞いてみたいと思います。
※本稿で紹介したメニューは、2017年3月時点のものです。