入店には必ず会員登録が必要で、なおかつなんらかの飲食店を営む人、または事業者でないと入店することが出来ないというプロ専用卸売り市場、メトロ キャッシュ アンド キャリー(以下、メトロ)。飲食のプロの世界ではよく知られた卸売り店です。しかし、一般人お断りですので、そこがどんなお店で、どんな商品が扱われているかはまったく想像が及びません。今回は、そのメトロに取材班が潜入しました。
一般人お断りにはワケがある! プロ専用卸売り市場「メトロ」が解決する「忙しすぎる問題」
【メトロの秘密①】徹底した鮮度保持のため、店内全体が冷蔵庫!
――まず、このメトロの店内ですけど、ものすごく寒いですね。
越智祥子さん(以下:越智) はい。魚、肉、青果、日配品、冷凍食品から酒類、グローサリー、菓子、ノンフードと飲食店のお客さまにとって必要となる様々な商材を扱っており、商品によって適切な温度で管理しています。
――何度くらいになるんですか?
越智 生鮮品エリアは、寒い所だと0℃くらいですね。ワインエリアは15℃前後です。ご来店いただくお客さまには貸し出し用の防寒ジャンパーも用意しています。
【メトロの秘密②】利用するための登録には営業許可書などが必要
――入店の際は、機械にカスタマーカードを掲げるとゲートが開く仕組みですね。
越智 そうです。事前にご登録をいただいて、カスタマーカードを発行させていただいております。食品を扱う事業者の方の場合は、「営業許可証(食品・飲食等)のコピーなど」「カード発行希望者の公的な身分証明書」「酒販免許をお持ちの場合は、その免許のコピー」などを事前にご提出いただく必要があります。
また、食品を扱わない事業者の方の場合は「会社概要がわかる書類」「カード発行希望者の公的な身分証明書」が必要になります。
【メトロの秘密③】プロも食べたことがないほどの多種多様な野菜を取り揃える
――まず、野菜ですが、これまた大容量のパックが沢山ありますね。
越智 そうですね。飲食店では大量に消費しますから当然大容量のパックで仕入れていただくほうがお得ですよね。
また、飲食店のお客さまより「時間がない」という声をお伺いします。これを時短していただくために、大根おろしや千切りキャベツなどをあらかじめ下処理した商品もご用意しています。
――海外の料理の場合、手に入れにくい食材もあると思うのですが、こうしたものも取り扱っているのでしょうか?
越智 もちろんあります。正直、私も「これは食べたことがない!」という野菜なども多く取り扱っています。もちろん、各コーナーには専門のスタッフがいますので、どんどん問い合わせていただきたいですね。
【メトロの秘密④】マグロ解体ショーもやる
――鮮魚コーナーもまるで魚市場のようですね。ここは店内ではさらに寒いですね。
越智 毎朝、新鮮な魚介を築地から仕入れてきており、鮮度を保つためなので、どうしてもこのコーナーは寒いですね。でも、その日のお買い得品、旬の魚を仕入れられるのでお客さまには人気のコーナーです。
あと、ときどきマグロの解体ショーなどのデモをやることもあります。
――マグロもあるんですか?
越智 はい。マイナス60℃の冷凍庫でマグロを常時在庫しています。基本的にはお客さんがブロックで買われることが多いのですが、築地のマグロ屋さんと同じくご要望に応じて加工いたします。
【メトロの秘密⑤】牛・豚・鶏は、ほぼすべての部位を品揃える
――そして、肉コーナーですね。ここも寒いですが(笑)、普段はあまり見慣れないというか、聞いたこともない肉が沢山ありますね。
越智 はい。飲食店の方ですと、様々な部位をメニューに出されることもありますので。牛・豚・鶏はほぼすべての部位を取り扱っています。
――しかし、こちらもまた巨大な肉の塊が多いですが、切ってもらうことは出来るのですか?
越智 冷凍品や内蔵などの一部商品を除いて、先ほどのマグロと同様にご指定いただければ切って販売させていただきます。
【メトロの秘密⑥】店内にソムリエがいる!
――お酒も充実していますが、特にワインは専門フロアがあるほど膨大なラインナップですね。
越智 ワインにも力を入れています。店内にはソムリエがおり、ご希望の味のものを適格にご提案出来るようにしています。
また、年に一度、ドイツの本社のソムリエチームがワイナリーと提携してオリジナルワインを共同開発をしていますので、一般に出回っていない当店でしか売られていないワインも販売させていただいてます。
【メトロの秘密⑦】店内にフォークリフトが走っている
――続いて、非食品のコーナーですね。これまた充実していますね。
越智 大きいものですと、業務用冷凍庫、レジスター、洗剤、ラップや消耗品などを扱っています。こうしたフード、ドリンク以外のところも常時在庫しているのも当店の特徴ですね。
――ときどき店内にフォークリフトも走っていますね。
越智 やはり大量のものが多いですので、どうしても商品個々が重くなりますので、こうやってフォークリフトで陳列の補充、移動などを行っているんです。
【メトロの秘密⑧】店内には仕入れを検討するコーヒースペースがある
――ひと通り回りましたが、店内にはコーヒースペースもあります。ここでは「今日も仕入れられた。お疲れ!」みたいなスペースですか?
越智 そういうお客さまもいらっしゃるかもしれません。ただ、ここでは主に仕入れの検討や当店のスタッフと商談をするための方が多いですね。あとは、お客さま同士のネットワーキングの場所でもあります。
――最後にお会計ですね。市場などでの仕入れはなんとなく現金のみの印象が強いですが、メトロさんではどうなのでしょう?
越智 VISAとマスターカード、またはデビットカードでの会計にご対応させていただいています。また、仕入れられた時間や金額にもよりますが、配送も行っています。
――そう考えると、例えば青果店、精肉店、鮮魚店さん、酒販店など、得意のいくつかの仕入れ先からバラバラに仕入れ、バラバラに届いたり決済していたところが、メトロだと、すべて一括で済み、さらに各分野の生の情報や知識も高まるというわけですね。
越智 おっしゃる通りです。当店のコンセプトは「一度の仕入れですべてが揃う」ワン・ストップ・ショッピングということですので、これが飲食店のお客さまにご支持いただいている大きな点だと自負しています。
市場の仕組みをすべて一つの店舗に集約してしまったメトロ。後編では、何故このような仕組みになっているか、現状の営業の様子などを、改めて越智さんにうかがいます。お楽しみに!