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2018/11/8 21:00

熟練の注ぎ手が語る、ビールの元祖「ピルスナーウルケル」の底知れぬ魅力

「ピルスナーウルケル」というビールをご存知でしょうか? 1842年から、チェコのピルゼンと呼ばれる小さな町で作られているこのビールは、現代のビールの元祖ともいえる存在です。

 

世界で売られているビールの生産方式は約100もあるそうなのですが、この7割を占めているのがピルスナー。一番搾り、プレミアムモルツといった日本で多く飲まれるビールの生産方式もピルスナーですが、その元祖こそ、ピルスナーウルケルなのです。

 

これでもかというほどのこだわりが詰まったピルスナーウルケルには「醸造家がビールを醸造する。ビールの注ぎ手がビールを完成させる。」というコンセプトがあります。その注ぎ手として特別に認定された人物には「タップスター」という称号が与えられるのですが、このほど日本人のタップスターが初めて誕生しました

 

11月7日、その日本人タップスター・佐藤裕介さんによるピルスナーウルケルの試飲会が開催されました。本稿では、歴史あるビールの魅力を掘り下げながら、味についての紹介していきます。

 

飲んだものに感銘をもたらす、ビールの最高傑作

いまから176年前に誕生したピルスナーウルケル。過去にロシアなどでライセンス生産されていたこともあるそうですが、品質の問題からすべて打ち切られ、現在ではチェコ・ピルゼンでのみ醸造されています。

↑黄金色に輝くピルスナーウルケル。表面の泡はきめが見えないほどに細かい

 

こだわりのポイントは数多くありますが、そのひとつに原料があげられるでしょう。まずは、他の醸造家が盗もうとしたほどに上質なピルゼンの軟水。さらにチェコ東部のモラビアで生産された大麦を、自社で精麦した麦芽。スパイシーな香りが特徴的な、名産地・ザーツで作られたホップ。これらをピルスナーH酵母で発酵させて、ピルスナーウルケルは生み出されます。

 

もちろん、作り方にもこだわりがあります。醸造の一部を木樽で行う並行醸造に加え、ピルスナーウルケルの生みの親・ジョセフ=グロルが生み出したトリプルデコクション(3回にわたる糖化を行う醸造法)といった歴史ある製法が、いまも受け継がれているのです。

 

製造過程で糖が抜けきっていないため、ピルスナーウルケルの味わいには、ビールらしい苦みのなかにしっかりとした甘みがあります。筆者も試飲させていただきましたが、他のピルスナービールと明らかな違いがあるその味からは、温もりすら感じられました

 

↑しっかりした味のあるピルスナーウルケルには、肉料理がよく合う。試飲会で出されたのは、右奥から時計回りに、自家製のロースハム、リエット、キュウリのピクルス

 

ピルスナーウルケルのアルコール度数は4.4%と、国内の一般的なビールと比べてやや低めです。ですが、明確な主張をする繊細な甘みのある泡、喉奥にずっしりと残る味わいで、飲みごたえは「こんな軽いと思えない」と感じさせるほど重厚なもの。初めてこのビールを飲んだ人は、もれなく驚かされることでしょう。

 

注ぎ手の佐藤さんはタップスターになる前からヨーロッパやアメリカの現地を回り、世界のビールに精通した人。その佐藤さんも初めて飲んだピルスナーウルケルには深い感銘を受けたそうです。

 

注ぎ手の傑出した技が、ピルスナーウルケルを完成させる

冒頭にも書いたように、このピルスナーウルケルのコンセプトは「醸造家がビールを醸造する。ビールの注ぎ手がビールを完成させる。」というもの。それほどまでに、ピルスナーウルケルにとって注ぎ手「タップスター」の存在が重要なのです。

 

↑ピルスナーウルケルを注ぐ佐藤さん。ビールに向けるまなざしは真剣そのものだ

 

タップスターになるには、現地工場での研修とレストランでの注ぎ方の訓練、そして最終試験の合格が必要とされています。佐藤さんは生産地・ピルゼンで、まさに“ビール漬け”の生活を送り、テストを見事クリア。全世界に150人ほどしかいないタップスターの129番目として名を連ねました。

 

↑佐藤さんが現地での研修中に使っていたというノート。右側のページは英語でびっしり埋まっている

 

その試験を受ける前には、ビールに精通した佐藤さんの存在を知ったピルゼンの生産者から、彼のもとに「タップスターになってほしい」と渾身のオファーがあったそう。晴れてタップスターとなった佐藤さんには、ビールの作り手も深い信頼を寄せています。

 

↑佐藤さんのタップスター認定証。プロの注ぎ手である証だ

 

毎年10月にピルゼンで行われるピルスナーフェストには世界から5万人の人が訪れます。それほど、ピルスナーウルケルは世界から根強い支持を集めているのです。

 

佐藤さんは、その魅力をこう語ります。「ピルスナーのブランドはたくさんあるけれど、ピルスナーウルケルはオンリーワン。このユニークさが、世界中からの支持を集める一番の理由です。タップスターとして認められたとき、ヘッドタップスターのヤンから『Welcom to Family』と言ってもらい、『ビールは一番楽しいお酒だな』と改めて感じました。このビール体験を日本で広く伝えていきます。

 

ピルスナーウルケルが誇る感動の味はもちろん、ビールファミリーの温かさを、あなたもぜひ体感してみてください。

 

 

【佐藤さんの注ぐビールが飲めるお店】

ブラッセリー・ビアブルヴァード

東京都港区新橋5-10-8 カルチャーセンタービル2F

営業時間:月~金/17:00~23:30(L.O 23:00)、土/16:00~23:00(L.O 22:30)

定休日:日曜・祝日

http://www.beerboulevard.com/

 

ビルゼン・アレイ

東京都中央区銀座6-4-14 HAOビル1F

営業時間:月~金/16:00~23:00、土日祝日/14:00~22:00

定休日:不定休

http://www.beerboulevard.com/pilsen/