ベリー、チョコレート、ナッツ……このコーヒーはどんな味?
「スキルアップクラス」では、プロがコーヒーの味を確認する手法「カッピング」を体験できます。ワインでいう「ソムリエ」のように、コーヒーにもプロフェッショナル制度が存在します。その中でも有名な資格の1つが、 CQI(Coffee Quality Institute)が認定する「Qグレーダー」。コーヒーの味を評価するプロフェッショナルです。
スキルアップクラスのカッピングコースでは、このQグレーダー資格を持つ講師から、カッピングの方法をレクチャーを受けられます。
コーヒーを味わう前に、まずは腕試し。4つの透明な水が用意されました。4つの水のうち3つには塩み、甘み、酸みがうっすらとつけられています(それぞれ薄い塩水、砂糖水、クエン酸水です)。そしてもう1つはダミーの水。水につけられたわずかな味を試すという、味覚のテストです。
味覚の状態を確認したところで、いよいよ本番。カッピングの体験です。その際、円グラフのようなものが書かれたシートが渡されます。そのシートは、「COFFEE TASTER’S FLAVOR WHEEL」と名付けられたもの。SCAAとWCR(World Coffee Research)という2つのコーヒー団体が策定した「コーヒーの味を表現するときの基準」です。
「COFFEE TASTER’S FLAVOR WHEEL」の内側の円には「FRUITY(フルーティー)」や「SWEET(甘み)」「ROASTAED(香ばしい)」といったコーヒーの味を表現することばが並び、外周に行くにしたがって、より詳しい説明になっていきます。
このシートを参考にすれば、「このコーヒーはフルーティーの中でも、特にベリー系の香りが強いね。そう、ラズベリーの香りだ!」といったように味を表現できるわけです。そして、その表現は世界共通で通じるようになっています。コーヒー生産国で品質管理に携わる人から、消費国でコーヒーを出すバリスタまで、世界中の人が同じ表現を使えるコーヒー界の「共通言語」というわけです。
カップテスト、実践
講座では、ブラジル産とグァテマラ産の2つのコーヒーで、その香りを表現しました。まず、挽き立ての粉の状態で嗅いでみると、ブラジル産は「ナッツの香りもするし、チョコレートの甘さもある……」といった印象。対してグァテマラ産は「すごく華やか。ローズのよう。イチゴやラズベリーのような甘酸っぱさも感じる」と、これだけで産地や品種の違いが実感できます。
さらにカップテストでは、コーヒーに直接お湯を注いだときの香り、お湯を吸って膨らんだ粉をスプーンで割った時の香りと、3段階で香りを確かめます。
そして、カップテストで最後に行うのがテイスティング。スプーンですくって、味を確かめます。この時のお作法は、スプーンにすくったコーヒーを直接なめず、蕎麦をすするようにズズっと吸い込むというもの。すこしお行儀が悪いようにも思えますが、こうすることで口の中に香りが広がり、味が分かりやすくなるのだといいます。
ふだんはただ「おいしい……!」とだけ思って飲んでいるコーヒーでも、実際に表現してみると、驚くほどの複雑な味の要素が詰まっているのが分かります。そして、粉をかいでみたとき、お湯を注いだとき、熱いうちに飲んだとき、冷めたときと、それぞれのタイミングで香りの印象が変わるのも発見でした。
「おいしいコーヒー」を作るためにも、コーヒーの味を的確に認識して、表現できるプロフェッショナルの存在は欠かせません。ふだん何気なく飲んでいるおいしいコーヒーも、それが手元に届くまでに、何人もプロの舌が支えているのだろうな、と考えさせられる体験でした。
キーコーヒーのコーヒーセミナー「スキルアップクラス」は、隔月開催で全3回の構成。それぞれの講座は、1日で完結する内容です。次回は2019年1月16日に開催されます。予約はキーコーヒーのホームページからできます。