先日の記事で、ラーメン評論家の石神秀幸さんにインタビューし、家系ラーメンがここ数年で急増している理由に迫りました。その際に、石神さん自身が最も好きな家系ラーメン店はどこなのかを尋ねると、元祖である「吉村家」とのことでした。いまや全国に拡大するほど愛される家系の総本山ですが、ラーメン王が絶賛するほどの味とはいったい? 筆者も数年ぶりとなりますが、改めそのウマさを実食レポートしていきます。
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開店前から老若男女問わず大行列の超人気店
「ラーメンの紹介だけなら」ということで取材を承諾してもらい、いざ横浜駅へ。西口を出て、ビブレなどを越えてさらに進むと県道13号線にあたりますが、 その道路沿いに同店はあります。店主・吉村さんを中心に仕込みを早朝から行い、ラーメンを提供できるのは11時開店の約30分前とのことでうかがったので すが、予想を超える盛況っぷりにビックリ仰天!
開店30分前だというのにすでに20~30人の行列ができていました。しかもその約3割は女性で、お年寄りやお子様の姿もちらほら。飲食店のなかには一時のブームやTVの影響で爆発的な行列になるケースもありますが、同店は老舗であり、報道や掲載なども頻繁にはされません。なのにこの人気っぷりは本当にスゴい!
奥行きのある店内にはカウンターを囲むイスが26席ほど並び、小ぢんまりとした座敷もあります。その棚には、寄付などの社会福祉や文化興隆への貢献に対する感謝状と、各メーカーによって商品化された際のパッケージがズラリ。それらを眺めていると、ついにラーメン(670円)が到着しました!
豚骨×醤油×鶏油それぞれがハイレベルな味&好バランスなのが吉村家だ!
味の濃さに油の多さ、麺の固さなどのオーダーはできますが、あえて標準のラーメンで実食。このカスタムによりバランスは変わるのかもしれませんが、スープとタレそれぞれが絶妙にマッチしており、円熟のあるおいしさというのが第一印象です。
スープの表面には鶏油(チーユ)がくっきり。個人的にはこれが家系の味をもっとも特徴すべき点だと思います。ほどよくクリーミーな豚骨にキレのある醤油ダレが調和し、鶏油が芳醇な香りとふくよかなコクをプラス。そんな三位一体のおいしさが、家系の中毒性といえるでしょう。そして、その一つひとつがハイレベルかつ、好バランスなトライアングルを描いているのが吉村家です。
さらには存在感のある太麺、しっとりとした食感でほんのりスモーク香の漂うチャーシュー、磯の風味が宿る海苔、やさしいアクセントを持つホウレンソウなど、どれも激ウマ。インパクト大な味や豪快な店の雰囲気とは裏腹に、きわめて丁寧な仕事をされていることがわかります。
総本山は独自性や自由度の高さもズバ抜けていた!
同店の魅力はおいしさだけではありません。ラーメン用に独自開発した醤油や酢を作ったり、高品質な食材を採用したり、無料の調味料を豊富に用意したりといった配慮も群を抜いています。写真とともに紹介しましょう。
ラーメンそのもののおいしさを追求するとともに、多彩なトッピングや調味料を用意して好みの楽しみ方を提供するホスピタリティ。その奥にあるものは、お客を想うサービス精神ではないでしょうか。開店時間になると店内の約30席は一瞬にして一杯になり、だれもが幸せそうな顔に。
外に出ると、30人が入店したにもかかわらず、行列はさらにふくれ上がっていました。そしてのぼりには「お客様は我が味の師なり」の文字が! やはりこの謙虚な姿勢が、吉村家の味と人気を支えているんですね。行列は必至ですが、ラーメンが好きな人は一度食べることをオススメします!
【SHOP DATA】
家系総本山 吉村家
住所:神奈川県横浜市西区南幸2-12-6
アクセス:JRほか「横浜駅」西口徒歩10分
営業時間:11:00~24:30
定休日:月曜日(祝日の場合は翌日)
【URL】