今回は、東京・中延の「大和屋」を紹介します。同店は、ゆで麺・甘辛つゆの正統派立ち食いそばを出す店。朝6時15分に店が開くと、10人で満席のカウンターは早起きの職人さんですぐにいっぱいに。その後もビジネスマンをはじめとした、幅広い層のお客さんで店内はいつも賑わっています。
熱々の甘辛つゆがうまい中延住民のソウルフード
本店の魅力は、第一につゆにある。丼が持てないほど熱々のつゆをゴクリと飲むと、そのうまみに笑みがこぼれる。だしは濃厚なコクを出すために、さば節のみを使用。カエシにはだししょうゆを使うが、これは静岡県掛川あたりの味なのだとか。
そして、そのつゆに浸っているのがふわふわのゆで麺だ。やや細めで独特のもっさり感があり、甘辛のつゆとよく絡む。天ぷらは16種類あり、ショーケースにずらりと並ぶ様は壮観。定番のかき揚げのほか、五目天やげそ天が特に人気だ。
同店はここでオープンして16年。店主はもともと浜松町で別の立ち食いそば店をやっていたが、バブル期の地上げに遭い閉店。中延で新規巻き返しを図った。幸運なことに、この場所は大和屋以前もその前も立ち食いそば店で、最初から〝常連〟がいた。
店主は、大和屋以前に中延駅前にあった店のつゆの味をあえて再現。ゆえに、数十年ぶりにこの地を訪れた人が「ここの味はいつも変わらないね」と喜んだという。大和屋は、中延定番の味を大切に守り続けているのだ。