今回紹介するのは、日本酒に使われる酒米(さかまい)です。かなりマニアックですが、こちらを知っているだけで、周囲の日本酒好きに大きな差をつけられます。しかも、覚えるべきはメインとなるたった5種類でOK。ここでさらっと覚えてしまえば、日本酒選びがいままで以上に楽しくなりますよ。
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食用米と違って中心のデンプン質が大きいのが酒米
酒の原料に使われる米、いわゆる酒米(さかまい)は、正式には酒造好適米(しゅぞうこうてきまい)といい、酒の味の決め手のひとつ。通常の食用米と違い、中央にある心白というでんぷん質の部分が大きいという特徴を持っています。以下では、酒米の種類とともに、主な産地の地酒も紹介していきましょう。
その1
新潟の酒に合う淡麗な酒質になる
五百万石(ごひゃくまんごく)
主な産地:新潟県
後述の山田錦とともによく知られている酒米です。新潟県で開発され、いまも代表的な産地となっています。新潟の酒らしく淡麗ですっきりとして、キレのある味わいの酒になります。
五百万石を使った注目銘柄はコレ!
新潟県村上市
〆張鶴 月(しめはりつる つき)
2138円(1.8ℓ)
蔵がある村上は、良質の酒米を産出する米どころ。また、仕込み水は鮭の遡上でも有名な三面川の伏流水で、きめ細かな甘みを持つ軟水。この本醸造は淡麗な味わいながら、まろやかな米の甘みが感じられ、燗でもおいしいです。
その2
冷涼地での栽培に向き軽快な味わいに
美山錦(みやまにしき)
主な産地:長野県
1978年に長野県で開発された酒米。長野や東北などの冷涼地での栽培に適しています。出羽燦々などの親株になっています。酒はすっきりとして独特の酸味があり、軽快な味わいに仕上がります。
美山錦を使った注目銘柄はコレ!
長野県佐久市
明鏡止水(めいきょうしすい)
純米酒La vie en Rose(じゅんまいしゅ ラビアンローズ)
兄弟を中心に、蓼科山の伏流水で醸す蔵。「明鏡止水」は、酒銘の通り澄み切った酒質で人気を集めています。本品はアルコール度13~14度の低アル酒で、ライトな飲み口ながら、味の広がりと上品な香りが楽しめます。
その3
まろやかな美酒に仕上がる酒米の王様
山田錦(やまだにしき)
主な産地:兵庫県
酒米の王様。香りがよく、まろやかな味わいの極上の美酒になるため、鑑評会で金賞が獲れる酒米といわれていました。実際、こちらを使用したお酒は唸るほどおいしいものが多いです。特に兵庫県三木市、加東市の特A地区産は最高ランク。こちらを使用できるのは限られた蔵元のみで、そのお酒はほぼ間違いのない味といえます。有名な獺祭(山口県)、磯自慢(静岡県)をはじめ、上質な山田錦にこだわる蔵元は多く、近年は手に入りづらくなっています。
山田錦を使った注目銘柄はコレ!
兵庫県姫路市
龍力(たつりき)
特別純米生酛 山田錦(とくべつじゅんまいきもと やまだにしき)
3240円(1.8ℓ)
兵庫県特A地区産の山田錦にこだわり、揖斐川の清冽な伏流水で醸す蔵。本品は燗酒に合うよう、香りを抑えぎみに醸造されたもの。燗につけると柔らかな米の旨みが感じられます。蔵元いわく、燗の温度は48℃がオススメ。
その4
個性的な味わいのツウ好みの酒米
雄町(おまち)
主な産地:岡山県
酒米としての歴史は古く、百年以上も前から栽培されています。芳醇でコクがある独特の味わい。存在感のある個性的な酒米のため、雄町好きなファンも多く見られます。
雄町を使った注目銘柄はコレ!
岡山県真庭市
GOZENSHU9(ごぜんしゅナイン)
972円(500mℓ)
1804年(文化元年)創業の蔵。女性杜氏、辻 麻衣子氏を中心に醸しています。本品は岡山名産の雄町を使い、9人の蔵元が古代製法の「菩提酛(ぼだいもと)」で挑んだ意欲作。まろやかな熟成感があり、冷や、ぬる燗ともに楽しめます。
その5
旨み豊かな酒に仕上がる広島生まれの酒米
八反錦(はったんにしき)
主な産地:広島県
八反草という米をルーツとし、広島県で開発された酒米。豊かな旨みがありながら、すっきりとした酒質になる傾向があります。
八反錦を使った注目銘柄はコレ!
広島県呉市
宝剣(ほうけん)
純米酒宝剣(じゅんまいしゅほうけん)
2700円(1.8ℓ)
2004年に全国きき酒選手権で、20代の若さで優勝した杜氏が専務を務める蔵元。本品は、品のいい口当たりで、わずかな発泡感がフレッシュな風味を引き立てます。香り、酸味、旨みのバランスが絶妙で、食中酒にぴったり。
※現在、瓶には肩ラベルがありません
今回紹介した酒米のうち、もっとも基本となるのが山田錦。一方、もっとも個性的で見分けやすいのが雄町です。この2つの酒米を足がかりにして、色々な酒米の味の違いを探ってみてください。自分の好みの酒米について語れるようになったら、あなたはもう立派な日本酒通です!