立ち食いそば店の食べ歩きが趣味で、立ち食いそばムックも執筆したことがあるライター、平島憲一郎さんが気になるお店をレポートするコーナー。今回は、埼玉県・蕨の「蕨本店 生そば製麺処 蕎麦樹」を紹介します。同店は、十割そば専門店として知られた「山形屋」が前身。山形屋で修行を積んだ現店主がその技術と設備を受け継ぎ、2015年8月に「蕎麦樹」としてオープンしました。
製粉から製麺も自らこなし鮮度にこだわったそばを提供
そばは石臼挽きにしたそば粉を使い、それを店内の押し出し式製麺機で製麺し、直ちにゆで上げる。冷水で締めたそばはモッチリした食感が魅力でほどよいコシがあり、何よりそばの香りが鮮烈。鼻から抜ける前に口の中ですでに香りが感じられる。また、量は並盛りで300gとボリューム満点だ。
オススメはそばの香りを堪能できる「もりそば」だが、奮発して「鴨汁せいろそば」を試すのもいい。そばつゆに鴨肉とねぎを加えてひと煮立ちさせたつけ汁は、つゆと鴨の脂が一体化してうまみが濃い。これに芳醇なそばが出合うと、たまらないうまさだ。
同店は平日昼はそば好きのビジネスマン、土曜・祝日は家族連れで賑わう。女性客も最近増えてきているそうだ。夜は天ぷらを肴に酒を飲み、締めに絶品そばを楽しむ客も多い。
新鮮なそばのぜいたくな味をいつでも楽しめるとは、蕨の住人が羨ましい限りだ。