「ギネス」といえば世界一。というイメージは多くの人が持っており、確かにそうです。ただ、それって一般的には「ギネスブック」のことではないでしょうか? お酒好きの筆者としては、「ギネスビール」のことも知っていただきたい。それに、実はギネスブックとも関係があることをご存知でしょうか。
ということで、ギネスビールを日本で発売するキリンから「何でも聞いてください」とセミナーに案内いただいたので、行ってきました! 改めて、ギネスビールの歴史や特徴などを7つのトリビアとしてお届けしたいと思います。
世界一であり世界初でもあるビール界の至宝
まずは、ギネスビールの歴史や偉大ともいえる功績から紹介。冒頭で「世界一」と述べましたが、ビールも世界一なのです。では、何が世界一なのか。そういったところから紹介していきましょう。
その1:世界一飲まれているスタウトビールである
ビールには素材や醸造法などによって様々なスタイルにわけられます。ギネスはその色味から黒ビールと称されますが、黒ビールにも「ポーター」や「シュバルツ」などいろいろあって、そのなかの「スタウト」というのがギネスのスタイル。そしてこのスタウトで、世界一の販売数量を誇るブランドがギネスです。
スタウトは“強い”という意味で、黒い色の上面発酵ビール「ポーター」よりアルコール度数やホップの量が当時多かったことから名付けられたそうです。
その2:日本でのビール醸造開始より100年以上前に創業
ギネスは1759(江戸時代/宝暦9)年、アイルランドの首都・ダブリンで創業。2019年の12月31日で260周年を迎える超老舗です。日本のビールは1869(明治2)年、キリンの前身である「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」の開設に端を発しているので、それより100年以上も昔。
そして、1965年にギネスは日本で発売を開始しました。当初は後述する「ギネス エクストラスタウト」のみ。その後1995年に樽詰めの「ドラフトギネス」、1997年には缶入りの「ドラフトギネス」を発売していまに至ります。
その3:世界初のナイトロジェンビアである
ギネスの味わい的な特徴のひとつが、クリーミーな泡。この理由は、ビールに窒素を含ませているから。そしてこの製法による「ナイトロジェンビア」(窒素ビール)として世界で初めて売り出したのが「ドラフトギネス」なのです。
ナイトロジェンビアは、ギネスの創業200年にあたる1959年に、世界初として紹介されました。
その4:フローティング・ウィジェットを発明した
ナイトロジェンビアとしていっそうの人気を得たギネスが、次に挑戦したのが缶でも同様のおいしさを実現すること。そうして誕生したのが、1988年から採用されている「フローティング・ウィジェット」という仕掛けです。
缶内に封入されたカプセルには窒素が入っており、開栓すると圧力によってそのガスが放出。一気に約300万もの泡が生成される、というのがフローティング・ウィジェットです。この功績は、あのインターネットを抑えて“イギリス人が考える過去40年で最も偉大な発明”として英国女王賞の1位に輝いたとか。
その5:あのギネスブックを生み出した
ギネスブックは、1951年当時のギネス社代表が仲間と狩りに行った際にした議論が起源。狩りの獲物のうち、世界一速く飛べる鳥は「ヨーロッパムナグロ」か「ライチョウ」かという話に。こういった事柄を調べて本にしたら評判になるのでは?という発想から生まれたのだそうです。
ギネスブックの初版は1955年と歴史は長く、こちらもすっかり定着しています。9000年の契約も大胆ですが、この本を作るという発想も非常にユニーク。現在は版権が売却されイギリスの出版社が所有しているものの、アイルランドのスゴみは計り知れません。
その6:日本にはギネスビールが2種類ある
前述したように、日本では先行発売された「ギネス エクストラスタウト」と、その後仲間入りした「ドラフトギネス」がギネスのラインナップ。同じスタウトながら、味のキャラクターはかなり異なり、ビール自体の個性の豊かさを実感させてくれます。
前者は瓶ということもあってフローティング・ウィジェットはありません。とはいえ泡のふんわり感はあって心地よい飲み口はしっかり。また、ビターなロースト香とシャープなのどごしが同居していて、ビールらしい爽快感が楽しめます。
後者はクリーミーな泡のなめらかなタッチと、ゴクゴク飲めるスムースな余韻のメリハリが印象的。甘味と苦みのバランスが絶妙に両立していて、ドリンカビリティ(おかわりしたくなるウマさ)も抜群です。
その7:一般的なビールよりヘルシーである
「ドラフトギネス」のカロリーは100mlあたり35kcalで、350mlのグラスに注いだ場合は123kcal。これは一般的なビールに比べて若干抑えられていて、つまりはヘルシーなのです。
また、「ドラフトギネス」は一般的なビールよりもあえて炭酸ガスが半分に設定されています。そのため、お腹にたまりにくく、それもドリンカビリティの高さに関係しています。炭酸が半分でありながら泡がきわめてクリーミーというのも驚きですよね。
シェフに、料理にギネスを使うことで味がどうなるかを聞いたところ、調味料やスパイスの味がまろやかになったり、ローストのニュアンスを含んだコクが増すとか。事実として料理との相性はよく、アイルランドではギネスシチューという一皿が親しまれているそうです。料理に使うのはややもったいない気がしますが、今後ギネスを飲む際は本稿を参考に、また会話のネタにも使っていただけたら!
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