「K5」が兜町・茅場町再活性化の起点となる
最後はホテルの話を。2〜4階は「HOTEL K5」となり、20〜80平米の客室が20部屋用意される。コンセプトは「都市における自然との共存」とし、五感に訴えかけるシンプルで上質なホテルがモットーだ。
インテリアやプロダクトの設計は、スウェーデン・ストックホルムを拠点として活躍する3人の建築家のパートナーシップ「CLAESSON KOIVISTO RUNE」率いるデザインチームが担当。建物が醸し出す重厚感ある外観と、東京に点在する自然そのものからインスパイアされ、先鋭的でありながらもその場所における「時の重なり」や「日本の伝統」を意識したタイムレスなデザインとなっている。
数年前から、東京を中心にホテルの開業ラッシュが続いているが、その多くはやはり、東京オリンピック・パラリンピックを想定されたもの。だがこの「K5」はその枠を超え、ひとつの大切なミッションをはらんでいる。それが「日本橋兜町・茅場町再活性化プロジェクト」。同エリア全体の魅力を高める取り組みとして、地域にある資源を利活用し、街に新たな機能や文化をつくり出すという計画である。
日本橋兜町は明治以来、渋沢栄一が邸宅を構えていた地で、日本で初めて銀行や証券取引所などを起こしたことから、「コト始めの街」「投資の街」「証券の街」としての地歴を有する街。
その魅力を掘り起こすべく立ち上がったのが再活性化プロジェクトで、コンセプトは「REVITALIZE(新しい命を吹き込む) THE CITY」。「K5」の開業によって感度の高い人々が自然と集まるようになり、まわりに多様な施設ができ、街全体が色づき活気づいていく――そんなビジョンが掲げられている。
たとえばそれは、ゴーストタウンだったブルックリンが、クリエイターたちの移住と活躍によってアートな街へと変貌したように。ちなみに、ブルックリンの再生に、ビールで貢献したのが「ブルックリン・ブルワリー」。世界初の旗艦店として「B」がここに誕生した理由には、街の活性化への熱いパッションもあったに違いない。
日本橋兜町全体が再活性するきっかけとなりそうな、”点”である「K5」。同館の今後の躍進はもちろんこと、日本橋兜町や茅場町が今後どう変貌し、どんな店や施設が集まって生業が生まれ、どう盛り上がっていくのか。この街の再興の道のりを、注目していきたい。
※価格はすべて税抜
【SHOP DATA】
K5
住所:東京都中央区日本橋兜町3-5
アクセス:東京メトロ東西線・銀座線、 都営浅草線「日本橋駅」徒歩5分、東京メトロ東西線・日比谷線「茅場町駅」徒歩5分
https://k5-tokyo.com