グルメ
2020/4/20 17:30

【街中華の名店】ヤミツキの味、良心価格、利便性。横浜のキングオブ街中華といえば「龍王」だ!

横浜で中華といえば、観光地でおなじみの中華街や「崎陽軒」のシウマイが有名だ。しかし、街中華でも素晴らしき名店がいくつも存在する。今回はそのなかでも、巨大ターミナルの横浜駅からすぐの場所にある「龍王」だ。

 

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↑同店は、1965年から続く、横浜駅で最も歴史の長い商店街「横浜西口五番街」にある

 

聞けば、多い日には600人を超える来客があるという。同店は53席と街中華では広めだが、これは1日11回転以上している計算だ。この数字は24時間安価で提供する牛丼店ならまだしも、街中華としては驚異的な数字である。立地がよくて通し営業という点も人気の理由ではあるが、それだけではこうはならない。圧倒的な魅力を紐解いていこう。

 

神奈川が誇るご当地麺を知ってるか!?

まず紹介したい一皿は、神奈川のご当地麺料理「サンマーメン」。「食べたことがない」という人もいるかもしれないが、実は市販の冷凍調理ラーメン売り上げNo.1はマルハニチロの「横浜あんかけラーメン」で、パッケージには「生碼麺 サンマーメン」と表記されている。知らず知らずのうちに食べている人は多いはずで、つまりはあの“リアル版”が味わえるのだ。

 

↑「龍王」の「サンマーメン」590円。細切りの豚肉、もやし、にら、にんじん、玉ねぎなどのあんかけが麺を覆うほどにたっぷりとのる

 

街中華メニューの味の骨格となるのがスープだが、同店は一般的な鶏ガラ、豚ゲンコツ、香味野菜のほかに豚足やこんぶも使用。量もハンパないため毎朝6時から炊くそうだが、これらの仕事がパワフルで奥深く、香り高い料理の数々を生んでいるのだ。

 

↑これが大量の注文をスピーディにさばくための厨房だ。強火力コンロや調味料がコックピットのようにズラリと並び、無駄のない動きと連携プレーで次々と料理ができていく

 

さらにはタレも独特。にんにくを強めに効かせ、隠し味に豆板醤を入れた特製しょうゆダレを多くの炒め物に使っており、これは「サンマーメン」のあんも同様だ。ふくよかなスープにパンチのあるあん、絶妙な中細ストレート麺がひとつとなった、至福の一杯となっている。

 

↑ふわっと漂うごま油の香りもおいしさを増強させる

 

メニューはいくつもあるが、ラーメン類は特に人気のカテゴリーとか。理由は「今週の感謝麺」という企画を設けているから。これは「タンメン」「味噌ラーメン」「サンマーメン」「豚骨ラーメン」の4品が週替わりで480円(通常590円)となるキャンペーンで、200杯以上出る日もあるという。

 

↑お得なセットもあり、きわめて良心的

 

ハマの赤いドラゴンは直球ならニラレバ、変化球ならパイコーで攻略

ご飯や酒のお供に人気の料理が「ニラレバ炒め」だ。特徴はガツンとした味わいとボリューム感。「提供するお皿、間違えてないですか?」と思わんばかりになみなみと、たっぷり盛られて提供される。

 

↑「ニラレバ炒め」580円。ちなみに毎週月曜は「ニラレバ炒め定食」をライス大盛り無料かつ680円で味わえるお得な日となっている

 

レシピとしては、特製しょうゆダレと中華スープを軸に、うまみ調味料、塩こしょう、酒などで味を調え、砂糖でインパクトを決定付ける。野菜はにら、もやし、にんじん、玉ねぎだが、特筆すべきはレバーだ。人気メニューであるため出数が多く、ためらうことなく毎日新鮮なものを仕入れられるので、嫌なくさみがなく食感にもハリがある。

 

↑肉はプリっと、野菜はシャキっとしていて、濃いめの味付けとのメリハリ感も秀逸

 

最後に紹介する料理は、ご飯メニューの人気者「パイコーハン」だ。これはパイコーというとんかつの中華あんかけご飯なのだが、本格中華風の味付けがされているためエッジがあるのが一般的。パワー系中華の同店なら、その破壊力も絶大なのである。

 

↑「パイコーハン」720円。「パイコーメン」も同価格であるが、ご飯のほうが人気なのだとか

 

パイコーの豪快さもさることながら、白菜、にんじん、玉ねぎ、たけのこ、長ねぎ、もやし、しいたけ、小松菜と具だくさんでトータルとしての満足度が高い。肉は豚ロースを使用し、下味にカレー風味の香辛料を使っているのが特徴。あんかけはほかの炒め物同様の味付けにしたあと、ラストに八角などが香る「五香粉」(ウーシャンフェン)という中華スパイスをあしらい、肉とあんかけに用いた風味付けがオリエンタルなおいしさを醸し出す。

 

↑ほんのりスパイシーな味付けを、野菜たっぷりの甘やかなとろみがやさしく包み込む。白米との相性は言わずもがなだ

 

同店の創業は1979年で、40年以上ここに根を張っている。価格の安さは長年の取引先とのよしみもあるが、界隈に居酒屋など数軒の系列店があり、大量仕入れができるというスケールメリットも関係している。そのなかでも特に人気なのが「龍王」で、20年以上前にスタッフ用のスペースなどをなくして客席を拡張したほどだとか。

 

↑厨房から配膳への橋渡しに重要なのがこの札。スピーディな連係プレーの裏にはこんな工夫もある

 

↑本格中華も得意な二井雅弘店長。高校卒業後に横浜中華街の名店へ入門し、界隈で長年腕を磨いた経験をもつ。横浜にいながら広島出身のカープファンとのこと

 

冒頭で述べたように、横浜には中華街やシウマイなどもあるが、そもそも中華料理のレベルが高い地であり、街中華もハイクオリティなのだ。その代表格がこの「龍王」。龍とはしばしば神の化身にたとえられるが、その王であるという店名は誇張でも何でもない。安定的な人気の高さは、横浜が誇るキングオブ街中華といっていいだろう。

 

撮影/我妻慶一

 

【SHOP DATA】
龍王


住所:神奈川県横浜市西区南幸1-5-24
アクセス:JRほか「横浜駅」西口徒歩3分
営業時間:月~金曜11:00~22:00(L.O.21:15)、土、日曜、祝日11:00~21:00(L.O.20:15)
定休日:なし

 

 

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