飲食店はいま、新型コロナウイルスの影響でデリバリーやテイクアウトに取り組む店舗が増えている。「お弁当はじめました」「持ち帰りやってます」といったのぼりを見かけたり、各地域の有志による飲食店まとめサイトなどが立ち上がったりしている。
ラーメン店のツマミで飲む“ラ飲み”の至宝として以前取材した「もちぶたラーメン 利田商店」も、今般テイクアウトを始めたと聞きつけ、早速行ってみた。
「飲めるラーメン店の最高峰、利田商店で“ラ飲み”の極意を知る」
https://at-living.press/food/2755/
あの“酒泥棒”はテイクアウトでも健在だった
飲めるということはつまり、酒のアテが充実しているということ。それはテイクアウトでも同様だ。麺類以外の料理もラインナップされていて、家飲み用のつまみを買うにも重宝する。内容は日替わりだが、つまみの看板メニューである「もやしくずチャ~シュ~」だけは、常時用意されている。
「もやしくずチャ~シュ~」は、ラーメンに使うもち豚チャーシューの切れ端と湯切りしたもやしをメインに、スープ、醤油ダレ、もち豚の背脂、ニンニクなどで味付けした料理。パンチの効いた味付けで、酒が進むであろうことは間違いない。量が多く、食べごたえも抜群だ。
そのほか、持ち帰りメニューは日替わりで4~5品ほど。この日はご飯のおかずにも酒にも合うと店主がすすめる「牛ホホ肉ビ~フシチュ~」も持ち帰ることに。
食べてみると、確かにウマい。牛肉のうまみがしっかり出ているうえ、柔らかい部位であるホホ肉を使っているためリッチさも上々。味わいはビター系ではなく野菜の甘味やトマトの酸味を生かした万人受けするタイプで、酒なら赤やロゼのワインが合うだろう。
鶏と魚介のうまみに豚の甘い背脂が加わる激ウマラーメン
もちろん麺類は外せない。同店ではすぐに食べられるものと、家で調理するものの2種類があり、前者は汁なしタイプとなる。そのなかから、食事にもつまみにもなる人気メニュー「汁なしあぶらーめん納豆」をセレクト。
ここで同店のラーメンを紹介しよう。スープのベースとなっているのは鶏と魚介系のダシ。もちろん「もち豚」も使っているが、これは背脂やチャーシューの素材であり、動物系スープは鶏ガラがメインだ。12時間ずつ2日に分けて丁寧に抽出する。乾物にはカツオと煮干し、干したシイタケやスルメイカ、さらに昆布なども使う。この重層的なうまみのスープにもち豚の背脂を加えることで豊かな甘味を重ね、毎日でも食べたくなる一杯を生み出しているのだ。
汁ありと汁なしでスープと背脂の比率は変わるものの、使う素材は基本的に一緒。また、麺も同じものを使う。最初から一気に混ぜてもいいが、より堪能したいのであればまずはそのまま麺をすするべし。そして少しずつ味の変化を楽しんだら、全体をよく混ぜてズズズーッと。
なお、「もち豚」は商標登録されているブランドもあるが、同店で使っているのは特定銘柄ではなく、日本の養豚業界で良質な豚=もち豚と定義されているものである。つまり、ハイクオリティな豚をできるだけ安価で仕入れ、コストパフォーマンスの高い絶品ラーメンを提供しているということだ。