お酒も楽しめるカフェとして知られる「プロント」が、今春リブランディングし、デザインやメニューを中心に大きな進化を遂げました。そのリブランディング1号店となったのが、4月10日にリニューアルオープンした「プロント 銀座コリドー店」。
お披露目となった内覧会へ行ってみると、そこには外食の最新トレンドが随所に見られました。リブランドの特徴を中心に、トレンドを解説していきます。
リブランディングの狙いは“若返り”
まずは改めて「プロント」のことを解説。同店は1988年に1号店を銀座へ出店し、その後はプロントの小型店舗業態「イルバール」や、セルフカフェ「エ プロント」などを全国に200店以上展開。運営ブランドはほかにもあり、生ハムとワインが名物の「ディプント」、イタリアの老舗エスプレッソブランドillyのカフェ「エスプレッサメンテ イリー」、アメリカ・NYブルックリンで人気のオールデイブレックファーストを招致した「egg」などを手掛けています。
なお、リブランディングは屋台骨の「プロント」の話。同店はそもそも、昼はカフェで夜はバーという二毛作業態の先駆けですが、その特徴をより前面に打ち出しました。昼のカフェは、より明るくファッション性を高めるリブランディングを、夜は外食トレンドを取り入れたオリジナルの酒場業態「キッサカバ」へ業態変更を実施。ロゴを緑×黄色のデザインから黒×白に刷新し、夜はムーディーだった店内を明るくポップな雰囲気に変えました。※キッサカバ=キッサ(喫茶)+サカバ(酒場)
リブランディングの狙いには“若返り”があります。昼はソイラテやオーツラテといったプラントベースのラテメニューを新たに導入するほか、スイーツも強化。たとえばサンフランシスコの人気抹茶カフェ「STONEMILL MATCHA」の名物を商品化するなど、若年層にウケるメニューを取り入れています。
外食トレンド「ネオ喫茶」や「ネオ大衆酒場」の要素が随所に
17時半以降のキッサカバ業態は、外食や若者カルチャーの最新トレンドが随所にちりばめられています。まず象徴的なのが鮮やかな色のネオンサイン。これは80年代のポップカルチャーを取り入れたデザインで、外食でも「ネオ喫茶」「ネオ大衆酒場」といった業態でよく取り入れられているスタイルです。
派手なネオンを使ったユースカルチャーの世界観は他方面でも。例えばミュージシャンのPVでも多用されていて、Suchmosが2016年にリリースしたヒット曲「STAY TUNE」や、Official髭男dismが放った2019年の名曲「Pretender」は、あえてネオンサインを台湾に持ち込んで撮影されています。そもそも音楽業界では、70~80年代にデビューしたハイセンスなミュージシャンの楽曲を再評価したり、その音像に影響された若手ミュージシャンを含めて「シティポップ」としてカテゴライズする現象も起きています。
大きなのれんは「ネオ大衆酒場」というジャンルを象徴するアイテムのひとつ。「ネオ大衆酒場」は、古典酒場をリスペクトする団塊ジュニア世代(いまの40代後半~50歳)の飲食店経営者が、古典酒場の良さを生かしつつ、若い世代も利用しやすいようにカジュアル化させた業態(というのが定説。代表店は「大衆酒場ビートル」。メジャーな店をあえて挙げると「串カツ田中」)です。メニューの定番は、もつ煮込みや厚切りハムカツなど。ドリンクはビールよりもチューハイ(サワー)が推しになることが多いです。
昭和喫茶のメニューをつまみやシメに楽しめる
まずは代表的なドリンクメニューをオーダーしました。同店では“喫茶酒場のザ・ニューサワー”と題した洋酒サワーがオススメで、なかでも「クリア珈琲」がイチオシとのこと。
料理は名物の「チューリップ唐揚げ(1本)」(165円/税込)と、酒のアテにオススメだという「タコサンウインナー 10匹」(539円/税込)をオーダー。唐揚げでなく、あえてチューリップ唐揚げ(手羽元を使った変形唐揚げ)にするなど遊び心を感じる内容で、ビジュアルのインパクト的にも若者ウケする要素を感じました。
キッサカバと銘打つだけあり、昭和喫茶の食事メニューやデザートをつまみやシメに味わえるのも特徴的。しかもその数は豊富で、「キッサカバのナポリタン」(赤・白ともに869円/税込)「キッサカバの揚げ玉子サンド」「キッサカバのカツサンド」(ともに902円/税込)「かなり固めのクラシックプリン」(429円/税込)など充実しています。
キッサカバ業態は銀座店の前からテストマーケティングを行い、今年1月の品川店を皮切りに、エキア池袋店、池袋西口公園店、西新井駅店、神田店、大手町OOTEMORI店、ムスブ田町店、亀戸駅店では先行スタートしていました。また関西は大阪の堂島店からリブランディングを進めていて、5月中旬からは首都圏の直営店を中心に数十店舗の規模でキッサカバ化を進めていく予定だそうです。
外食の最新トレンドである、「ネオ喫茶」と「ネオ大衆酒場」の要素がちりばめられた新生「プロント」。約70店舗ある直営店はすべて刷新予定とのことで、今後も目が離せません。
※緊急事態宣言中、サカバの時間帯は閉店しています。 緊急事態宣言明けに再開予定です。
【SHOP DATA】
プロント 銀座コリドー店
住所:東京都中央区銀座6-2 コリドー街
アクセス:東京メトロ銀座線「銀座駅」C1出口徒歩4分
営業時間:平日カフェ7:00~17:30/サカバ17:30~23:00、土カフェ10:00~17:30/サカバ17:30~22:00、日祝カフェ10:00~18:00
定休日:なし
※コロナウイルス感染拡大防止のため、営業時間の変更がある場合がございます。ご了承ください。