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2021/9/8 19:15

「ハッピーターン」45周年!亀田製菓に聞く変遷、そして「あの粉」にまつわる話

1946年、新潟・亀田郷にて「亀田郷農民組合委託加工所」という水飴加工所を前身としてスタート。1957年に現在の名を変え、日本屈指の米菓メーカーとしてその名を知らない人はいないほどの地位を築いた亀田製菓。ヒット商品は数多くありますが、抜きん出ている2トップの商品は「亀田の柿の種」、そして「ハッピーターン」です。特に、完全なる自社開発だった「ハッピーターン」は、同社の代表的商品であると言っても過言ではないでしょう。

 

この「ハッピーターン」が登場したのは1976年、今から45年前のこと。このキリの良い年に、どのようなコンセプトで「ハッピーターン」が誕生したか、そして、あの「あまじょっぱい味」の秘密を亀田製菓 広報の池ノ上雄樹さんに聞きました。これに加え、「ハッピーターン」以外の亀田製菓の商品についてもお聞きしました。

 

「ハッピーが戻ってくる」という願いを込めてこの名になった!

――すでに多くの人が慣れ親しんでいる「ハッピーターン」ですが、類似商品もなく、また前例がなかった商品ではないかと思います。

池ノ上雄樹さん(以下、池ノ上) 「ハッピーターン」を発売した45年前の1976年以前には、洋風・欧風のおせんべいというのはあまりなかったため「だからこそ開発しよう」として始まったと聞いています。その上で、開発者が試行錯誤を繰り返し、当時としては珍しかった「パウダーで味付けをする」という方法を取り入れました。砂糖、塩、アミノ酸などを配合したあまじょっぱいパウダーでおせんべいを味付けし、包装紙もキャンディーやクッキーを包むようなリボン包装を取り入れました。とにかくそれまでにない商品であったことは間違いありません。

1976年発売当初の「ハッピーターン」

 

――この名の意味は「日本をハッピーに」というものだったそうですね。

池ノ上 そうです。発売当時、日本は第一次オイルショックを迎えており、日本全体が不景気で少し暗い時代でした。そんな中、お客さまにとって、あるいは日本にとって「ハッピーが戻ってくる」「ハッピーがターンしてくる」という願いを込めてこの名をつけたようです。

 

「ハッピーターン」のパウダーをご飯にかけて食べるファンも!?

 ――発売当時の市場ではどんな反応があったのでしょうか。

池ノ上 珍しい味ではありましたが、当初から「美味しい」「目新しく良い」といった好評の声を多くいただいたようで、すぐに多くのお客さまに受入れていただけたそうです。

 

――後には前述のパウダーが一部のファンの方の間で「魔法の粉」と呼称されるようになり、パウダー自体に注目が浴びることもあったように思います。

池ノ上 ありがたいことです。中にはお客さま自らが「ハッピーターン」のパウダーだけを落として、ご飯にかけて食べる方もいらっしゃるようです。弊社としては、「レギュラーが一番美味しい」と考えていますが、こういったニーズに応え、パウダーを2.5倍増量した250%タイプの商品もコンビニ限定で開発しました。

いわゆる「ハッピーパウダー」と呼ばれる粉のみをわざと落としてご飯にかけて食べる人も

 

左がパウダーを2.5倍増量させた「ハッピーターン250%パウダァァァァ!!」。右がレギュラーの「ハッピーターン」

 

「ハッピーターン」が進化してできた「パウダーポケット」「パウダーキャッチ製法」

――肝心のせんべい自体にはどんなこだわりがあるのですか?

池ノ上 鉄板を使って挟み焼きで作るような製造工程を採用しています。このことでカリッとした口当たりと、噛んだ際のサクサクした食感を楽しめるものにしています。

 

――1976年当初から、おおむね味のリニューアルはされていないのですか?

池ノ上 基本的にはしていません。ただ、2005年よりせんべい生地に「パウダーポケット」という溝を加えるようにしました。こうすることで、溝の中にパウダーが付着しやすくなり、より美味しくいただけるようになりました。

さらに2007年には「パウダーポケット」の溝と溝の間にさらにギザギザ、凹凸をつけ、より粉をつきやすく工夫しました。「パウダーキャッチ製法」というものですが、この工夫でさらにご好評をいただくことができました。

 

左が「ハッピーターン250%パウダァァァァ!!」、右が通常の「ハッピーターン」。いずれも「パウダーポケット」と呼ばれる凹凸、ギザギザをあえて施し、パウダーの味をより味わえるよう工夫されています

 

「ハッピーターン」公式キャラ・ターン王子の登場と、様々な取り組み

――2009年には「ハッピーターン」のイメージキャラクター・ターン王子も登場します。

池ノ上 はい。このターン王子もまた「かわいい」と好評をいただきました。小売店での店頭やイベントなどで着ぐるみとして登場したり、オリジナルグッズにしたりと、「ハッピーターン」の販促に一役買っている存在です。

「ハッピーターン」のキャラクター、ターン王子
東京おかしランドで8月30日まで実施された「ハッピーターン」のコンセプトショップのイメージ図

池ノ上 また今年は「ハッピーターン」誕生から45周年になるため、東京駅にある東京おかしランドで8月30日までコンセプトショップを展開していました。きなこがたっぷり入った「揚げぱん味」、スモーキーな香りを楽しめる「スモークハッピーターン」などの限定商品を販売していました。

 

――こういった派生商品は他にもありますね。「ハッピーターンズ」という新感覚フレーバーで味付けされ、綺麗なパッケージに入ったものなど。

「ハッピーターン」から派生した「ハッピーターンズ」。写真はフレーバーをまとめた30個入りの「ハッピーホップ」

 

池ノ上 「パウダー」に和三盆、黒糖みるく、塩バター、チーズなど様々なフレーバーを加えたもので、ギフトにも最適な商品です。現在、店頭でご購入できるのは阪急うめだ本店、神戸阪急、博多阪急のみですが、期間限定ショップを出店している時期もありますので、ぜひチェックしていただきたいです。また、阪急のECサイトなどでも購入することができますので、こちらも合わせてチェックしていただきたいですね。

 

亀田製菓の「あられ、おせんべい」には「ハッピーターン」以外にもヒット商品がたくさん!

――「ハッピーターン」のほかにも、亀田製菓には様々な歴史的商品、斬新な商品があり、こちらのお話もお聞きしたいです。

池ノ上 古い順からいくと、新潟限定の「サラダホープ」ですね。今年で60年を迎えた商品です。発売当初は「亀田製菓の期待の星になって欲しい」ということから「ホープ」という言葉を採用し、さらにサラダ油と塩で味付けしていることで「サラダ」という言葉も加えて、「サラダホープ」という商品名になりました。

 

新潟限定のあられ「サラダホープ」

 

――「サラダ」で言うと、有名な「ソフトサラダ」も亀田製菓の筆頭商品ですね。

池ノ上 こちらは1970年に誕生したもので、「サラダホープ」同様、サラダ油と塩で味付けしたものです。弊社の「ぽたぽた焼」もそうですが、「ハッピーターン」「サラダホープ」「ソフトサラダ」などは「ソフト系」のカテゴリーに入ります。

 

亀田製菓の人気商品の一つ「ソフトサラダ」

 

亀田製菓の「堅焼き系」「おつまみ系」のヒット商品は!?

――亀田製菓には硬いせんべいを展開する「ハード系」、「海苔巻き系」、「あられ系」、「おつまみ系」も数多くありますね。

あえて「割る」ことで、濃厚な味わいをせんべいに染み込ませた「堅焼き系」の「技のこだ割り」

 

10種類ものあられなどが詰まった「おつまみ系」の「つまみ種」

 

海苔巻きせんべいと、ピーナッツとの相性が良い「おつまみ系」の「海苔ピーパック」

 

忘れちゃならない亀田製菓の筆頭商品、「おつまみ系」の「亀田の柿の種」

 

池ノ上 いずれも、人気商品ばかりです。いずれも年齢を問わず、どなたでも美味しくいただけるせんべいだと思います。

また、今年2月に発売し、好調に売れているのが「無限エビ」という商品です。直近5年間で発売した新ブランド商品の中では最も早く100万袋を達成した商品です。

今年2月の発売以降、急激に大ブレイクした「無限エビ」

池ノ上 この名の通り「無限に食べられるえび味のせんべい」なのですが、SNSを中心に一気に広がっていき、若い世代の方から年配の方まで広い世代に親しんでいただけている商品になります。

 

「ハッピーターン」の味を、これから先もさらに広めていきたい

 ――これだけ数多くのせんべいを扱い、ヒットを出し続ける亀田製菓ですが、中でもやはり特別な商品であり、そして筆頭の売り上げを誇るのが「ハッピーターン」だと考えて良いでしょうか。

池ノ上 はい。売り上げナンバーワンは「亀田の柿の種」ですが、その次が「ハッピーターン」になります。「柿の種」は弊社が元祖ではない一方、「ハッピーターン」は弊社の独自開発によるものですので、やはり特別な商品です。

一方で、「『ハッピーターン』は日本人全国民が口にしたことがあるか」というと、そういうわけではありません。まだまだこの味を広めていきたいと考えていますし、やるべき課題は多くあると思っています。この45周年という記念すべき年以降も、さらに「ハッピーターン」が広まっていけるよう今後も注力していきたいと考えています。

「ハッピーターン」は、これから先の未来も人々をハッピーにしてくれそうです

「ハッピーターン」の45年の歴史と、亀田製菓の数々のヒット商品を紹介しましたが、亀田製菓の商品の歴史そのものが「日本のせんべいの歴史」にさえ思えてくるようでした。それだけ多くの日本人にとって親しみ深い亀田製菓の商品。これから先の未来にも画期的なせんべいを生んでくれることに期待を寄せるばかりです!

 

亀田製菓ネットショップ

https://www.kameda-netshop.jp/

 

撮影/我妻慶一